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#短編小説

小説:イグニッションガール 【2000字ジャスト】

「低気圧ぶっころす」と、私は目が覚めると同時に呟いた。 パジャマにしているパーカーのフー…

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【小説】ドーナツ・ショップ

うまく説明はできないのだけれど、耳に入るだけでそれはクリスマスソングだとわかった。 英語…

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小説:ぼくらの時代

すりガラスの向こうの景色のように、どうしてもうまく言葉にできない感覚がある。 なんかこう…

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小説 : アフリカの山羊座【2000字ジャスト】

「今朝あなたの星座最下位だったわよ」と、事務所のドアを開けるなり先輩が言った。 殺意とま…

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小説:午睡のあとでもいいことたちへ

私がコーヒーを飲むのは、コーヒーのせいにするためだった。 眠れないのも、脈が早いのも、…

小説:ファイアズ 【2000字ジャスト】

踊り場の大きな鏡には、一か所だけ歪んでいる部分があった。 誰かが、ガラスは液体だと言って…

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小説:Youth Return

僕はコートのポケットから綿ぼこりを取り出し、アスファルトに捨てた。 自動販売機の灯りに照らされながら思ったよりも速い速度で落ちていった綿ぼこりは、僕になんの比喩も思い起こさせなかった。 部活が終わる頃にはすっかり薄暗くなってしまっていた。 僕は自動販売機で買ったミルクティーの缶で指を温めながら、いつものように学校の前のバス停に腰掛ける。 しかし待っているのはバスではなく、当時すこしだけ、ほんの短い間だけ親しくなっていた女の子だった。 小さな小屋のようなそのバス停は、夕方の

小説:ケサランパサラン 【2000字ジャスト】

僕はそれをケサランパサランだと言い張った。 海苔の佃煮の瓶に入れたそれを、僕は大切に机の…

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小説:ハルノシュラ【2000字ジャスト】

「いやーモトサなんてするもんじゃないね」 そう言って彼女は、手に持ったペットボトルで丸め…

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小説:イエスタディ【2000字ジャスト】

僕が生まれた年に生産されたそのバイクを、僕は二十歳の誕生日に手に入れた。 結婚することに…

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小説:ハムスター・ホイール

「……あ、もしもし?すごい耳クソがとれたんだけど、見る?」 「……じゃあ、うん」 「今写真…

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小説:遠野さん 【2000字ジャスト】

祖母の部屋から爆音でEDMが聴こえてきた。 それはまぁどうでもいい。 学校を辞めてから二か月…

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小説:リバーズ 【2000字ジャスト】

秒針ってこんなに遅かったっけか、と僕は思う。 心なしか、重力まで重くなっている気がする。 …

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小説:ツヅクオンガク 【2000字ジャスト】

カラカラカラと自転車のホイールが鳴く。 また今日も嫌なことがあった。 あの人にラインしそうになる指を折る。 めんどくさい女になりたくない。 めんどくさい女だとバレたくない。 そうして私はドライを装う。 あたし、スーパードゥラァァイ。 チェストの引き出しから古い音楽プレイヤーが出てきた。 香水の瓶みたいなかたちの音楽プレイヤーだった。 両親のどちらかのものなのだろうけれど、もはや知る術はない。 私はおそるおそるケーブルを繋いで充電してみた。 まだ生きている。 だがしかし、どう