藤紫

子供の頃の夢の1つを拾って来たので、ちょっとでも形にしたい。

藤紫

子供の頃の夢の1つを拾って来たので、ちょっとでも形にしたい。

最近の記事

成人の日に込めた思い

20歳の集いに向けて、着物を選び、前撮りをして美容室を予約して・・・。そんな友人たちの苦労とは無縁の私だけれど、成人の日が近づくに連れて憂鬱な気分になっていた。 着物は母のおさがりと子供の頃から決めていた。 赤い着物に金の帯。 祖母が選んだというその組み合わせを、祖母による着付けで着て成人式に出たのだと嬉しそうに話していた母のことを思い出す。 写真でみた母の姿は凛としていてとても綺麗で子供心に憧れたものだ。 「私、成人式でこれ着たい」 あの時の母や祖母の嬉しそうな

    • 新年明けましておめでとうございます 昨年始めた夢の続き、うまく文に出来なくて。 でも、読んでもらえるのが何だか嬉しくて。 もっと文を書くことを学びたい。 もっと優しい物語を書いてみたい。 そんな藤紫を今年もよろしくお願いします😊

      • きみの歌声に焦がれる

        12月に入り、今年も耳慣れたクリスマスソングがあちらこちらで流れるようになった。駅前広場の中央に飾られたツリーは、クリスマスに向けてますます存在感を増し、クリスマスの数日前ともなればサンタクロースが街中にあふれ始める。 クリスマスが近づいて色めきだつのは、私の周りも同じで、フリーだったはずの友人たちも、クリスマスを恋人と過ごす話で持ちきりだ。私と言えば、今年も1人きりのクリスマスイヴなのだけれど。 事の発端は、17歳のクリスマス。よりにもよってクリスマスイヴの当日に彼氏に

        • 幸せな待ち合わせ

          ぜえぜえと肩で息をしながら、坂道を登る。 いつもは車ですぐの坂道を、こんなに果てしなく感じたのは今日が初めてだ。 「何でぇ、若ぇのにだらしない」 前を歩くじいちゃんが僕を振り返って軽く笑う。 「ほれ、もうちょっとだ。頑張れ」 問答無用に坂道を大股で歩くじいちゃんが心なしか鬼に見える。 なんで、僕はこんなところにいるんだっけ? 歩くのを止めてしまったらもう歩き出せない気がして、足だけは一歩ずつ先に進めながら数時間前のことを思い出していた。 「隆雪!俺とゲームすっか?」

        成人の日に込めた思い

        • 新年明けましておめでとうございます 昨年始めた夢の続き、うまく文に出来なくて。 でも、読んでもらえるのが何だか嬉しくて。 もっと文を書くことを学びたい。 もっと優しい物語を書いてみたい。 そんな藤紫を今年もよろしくお願いします😊

        • きみの歌声に焦がれる

        • 幸せな待ち合わせ

          心が温かくなった日

          いつも通り。今日もそう思いながら仕事を始めたはずだった。 「熱っ!!」 高齢者のデイサービスで働いている私は、目の前にいる大勢のお年寄りに、いつも通りお茶を入れていた。 もともと、内気で人と接することに苦手意識を持つ私には、日替わりで何十人と訪れるお年寄りと世間話をすることも、大きな声で元気に動き回るスタッフの人たちと連絡事項のやり取りをすることも、上手にできない。なかなか就職が決まらず焦っていた大学4年の冬、ただ事務職というだけで応募し、やっと勝ち得た内定に飛びついた

          心が温かくなった日

          50年後の約束

          故郷の味というものがある。日本人にとってのそれが、おにぎりであるならば、私にとってのそれは、祖母が作ってくれた焼き芋だった。 私の祖父は料理人で、祖父に料理を習った母もプロ並みの腕前だ。そんなふたりと対照的に祖母は料理の出来ない人だった。 そんな祖母が唯一私につくって与えてくれたのが、庭で焚き火をしながら焼いたほっくほくの焼き芋だったのだ。 「夫も娘も美味しいものをたくさん作ってくれるから、おばあちゃん、料理の腕より笑顔が上手になっちゃったわ」 ふたりの作った料理はどれも

          50年後の約束

          あめ玉

          1つは私に。1つはキミに。 いつでも仲良くはんぶんこ。それが幼稚園に通っていた頃の私たちの当たり前。 桜が咲いた。中学に入って2度目の春に、今年もキミと違うクラス。 私は1つため息をついて、図書室の窓からサッカー部のグラウンドを見下ろした。小学生の頃からサッカーを始めたキミは、夢中になればなるほど、どんどん私の元を離れていく。幼馴染なんて、実は1番遠い存在。担任の先生の方が身近なくらい、ありえない距離感。 学年も変わってキミはとうとうレギュラーになった。すらりと背も伸

          あめ玉

          月のうさぎ

          月にはうさぎが住んでいる。 どなた様もそんな伝説を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? いくつかある伝説の中でも、もっとも一般的なのがインドの仏教説話。 老人に化けた神様のため食べ物を探しに森に入るも、うさぎは食べ物を見つけられず、自分自身を食べてもらうために火の中に飛び込み死んでしまいました。神はその慈悲深い行動をすべての生き物に見せるため、そのうさぎを月へと昇らせたという話。 そして、中国ではそんな月のうさぎは玉兎と呼ばれ、杵と臼で不老不死の薬を作ってい

          月のうさぎ

          夏の風物詩

             夏が近づくとよく売れるものの一つに花火専用の小瓶がある。花火に小瓶をかざし、瓶の真ん中に花火が来たところで蓋をしめる。そうして小瓶に閉じ込めた花火で夏を楽しむのだ。閉じ込められた花火は、ひと夏咲いて枯れていく。    これは、そんな花火の楽しみ方が生まれてしばらくした頃の話。 「おじいちゃん、来たよー」 ここから1時間足らずのところにある大学に通う孫が、他の家族より一足先に我が家に到着した。 「おう、よく来たな。暑かっただろう?」 そう言って孫の八重を出迎える。

          夏の風物詩

          自己紹介

          初めまして。藤紫と申します。 小説と呼べるレベルではないけれど、こう、頭の中のモヤモヤを小説みたいな文章にして吐き出せる場所として、登録してみました。 もちろん愚痴をダイレクトに書くつもりではないです。ただ、イライラしてるときのどす黒い感情を違う形で吐き出していけたらいいなと思います。 もちろん、うれしい気持ちも。 でも、イライラしているときの方が捗ったりするんですよね。 そんなこんなですが、どうぞよろしくお願いいたします。 一応、そんな面倒くさいことをしようと思

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