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娘が中学受験したいと言った

静岡県の私の住んでいる場所は、中学受験はあまり一般的ではない地域。
100人程度の学年で、中学受験したのは10人も満たない人数だった。
当然我が子も公立中学に行くものだろうと思って、特に塾などに入れる事はなく、小一からやっていたZ会の通信講座を、中学受験コースではなくハイレベルコースで受講していたくらい。学校のテストは割といい点数だったので、もう少し難易度の高い問題をと思い、算数の自由自在というテキストを毎日2問ずつ解くのを、小4くらいからやっていたが、これも受験を意識した事ではなく、難易度の高い問題を少し解くことで、頭の体操にもなるかなと思っていた。

娘が小5になってすぐ、引っ越しをすることになった。
小学校区の端っこ。中学校の学区も隣の中学との境目だった。
歩いて40分。往復1時間20分。なぜか自転車通学は範囲外とのこと。
これに夫が難色を示した。毎日1時間以上も通学時間かけるのは、部活や勉強で忙しくなる中学生にとって負担になるのではないかと。
でも、近くの私立中学なら歩いて20分で行ける。自転車通学もできるので、自転車なら10分かからないから受験を考えてみないかと言われた。
年中から続けているピアノの練習時間もしっかり作れるのではないかと。

私は、最初その話を夫からされた時に驚いた。
公立中学校から遠い事は、逆に体力がついて運動嫌いの娘には丁度いいのではないかくらいに思っていた。ずっと公立中学に通うだろうと思っていたので、私立中学を全く考えていなかったし、周りの受験を考えている家庭は当たり前に教育に熱心で、低学年から塾に通わせていたからだ。娘と仲の良い友達は受験する子が多く、話を聞くと皆塾に通い、夜遅くまで勉強していると聞いた。毎日宿題以外の勉強は通信講座含めて1時間程度の娘とは違う生活をしているなと思い、勉強が好きな意識が高い子が中学受験をすると思っていた。
私は公立中学校に進学でいいのではないかと返事をした。

ところが、小6になってすぐに夫が娘と私立中学校の説明会に行くと言ってきた。密かに調べていたようだ。面倒くさがりの夫が珍しいと思った。
コロナもあって、保護者は一人まで。夫が付き添うと言い、私は家で待つことに。
半日の説明会を終えた娘は、私立中学に行きたくてたまらなくなっていた。
設備が公立中学校よりも新しく、空調も効いている。先生の教え方も上手だし、体験授業も楽しかった。見学した英語の授業が外国人先生で楽しそうだったと言う。
色々なことが、魅力的に感じたようだった。
中学受験をしたいと、娘は言った。

その後すぐにあった小学校の面談で、先生に私立中学受験も視野に入れていると話すと、受験校は偏差値もそこまで高くないことから、娘の学力的に問題なく行けると思います、と言われた。
しかし、私はまだこの時点でも、公立中学でいいのではないかと思っていた。
娘の周りには受験する子が比較的多いが、みんな低学年から沢山勉強していて、もっと偏差値の高い中学を受験する。学校の勉強に少しプラスした程度の勉強量の娘は、公立中学に行って、その中で上の方を目指せばいいのではないか。
ピアノ教室で憧れている先輩も公立中学に進んでいるので、勉強もピアノも部活も頑張る先輩と同じように公立中学校で頑張ってほしいと思っていた。

夏休みの初めに私立中学校の模擬試験の案内があったが、丁度ピアノコンクールの日程と重なってしまい、受けることができなかった。
試験の難易度が分からないと今後の勉強の方向性が分からないから困るかなと思っていたが、私立中学校から終了した模擬試験のテスト用紙が送られてきた。
テストをやって送り返せば採点までしてくれるとあり、これはありがたかった。
早速、時間も計って一人でテストを解かせてみた。
娘は、国語で習ってないものが出たが、算数は分からない問題はなかったから、大丈夫だと思うと言っていた。
結果が送られてきたものを確認すると、両教科8割以上できていて、国語は受験者の中では最高点だった。算数は計算ミスや小数点の打ち間違えだけで、問題は全て理解していた。
テストの成績が良かった事は嬉しい事だが、私は逆に、その私立中学校に行っても周りよりも成績がいいからと思って努力しなくなるのではないか、と不安になってしまった。
しかし、他の受験するような中学校は遠方だったり、とても学力レベルが違うところだったりで、選択肢としてはない。
公立中学校のトップの子と成績を争った方がいいのではないかという気持ちになった。

夏休みから秋までずっとピアノのコンクールや発表会で忙しく、私の頭の中はピアノのスケジュールでいっぱい。
娘もピアノが忙しいので、受験勉強を特別することなく、いつも通りの宿題にZ会の通信講座、自由自在の算数を一日2問だけを続けていた。
国語は以前から本を読むことが好きで、読解力はある程度身についていたことと、Z会の国語は読解問題がメインだったこともあり、対策は全くしなかった。
算数は模擬試験で受験特有の問題が出たが、自由自在やZ会の思考力問題をある程度解いていた事で理解ができていたので、特別な対策はせずに今まで通りのことをしていこうと思った。
娘には、受験することをどう思うのか、私立中学は宿題の量などが公立中学よりも多くなるだろうし、高いレベルのことを要求されることが多くなると思うが頑張れるのかを確認したが、受験したいと言う気持ちは強いままだった。
夫は娘が行きたいならば行かせればいいという感じだった。
二回目の模擬試験は現地で受け、算数は最高点、国語も上位の点数を取ることができた。

冬になり、願書を出す時期となった。迷っていたので、担任の先生に早く決めてくださいねと言われるくらいギリギリまで決められずにいた。
最終的に金銭面のことや、娘の意思、受験するために今後どうしていくかの確認をして、結局受験を決めた。
娘の質の高い勉強がしたい、近い学校がいい、綺麗な環境で生活したいという気持ちが強かった。
願書を出した後は、今まで通りの勉強と、面接が試験にあるのでその練習をして当日を迎えた。
模擬試験も受けていたし、面接の練習も毎日のようにしていたので本人は落ち着いていたように思う。
結果は合格で、今現在その中学校に通っている。

ほとんどの子供が公立中学校へと進むので、今まで築いてきた保護者同士の関係が薄くなってしまっているように感じる事はあるが、一部の保護者とはまだ仲良くさせてもらっている。しかし、娘の中学校の保護者との交流はあまりないため、情報が得られないなどの不便は感じる事はある。
娘は公立中学と比べて毎日の宿題が多いことに慣れるまでは苦労していたが、今は少しは楽になっている様子。
新しい友達との関係も今のところ良好で、クラスや部活のメンバーで休日に遊んだりすることもある。
クラス内で小さなトラブルはあるようだが、先生がすぐに対応してくれるようで困っている事はないようだ。
今は英検や漢検を受けるために、勉強を頑張っている。勉強に対して目標を持てたり、目的を持って学習することができるようになったのは良かったと思う。
ピアノのやる気は落ちてしまったように思うが、その分は勉強を頑張ってくれればと思っている。
まだ公立中学校でも良かったのではないかという気持ちはあるが、娘が決めた学校で目標に向かって頑張ってほしいと思っている。


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