【詩】ひとり
モノクロの紋様を指でなぞった。
苦し紛れの吐息が
砂の被ったそれの正体を露わにする。
もうじき動き出す。
500m先に進んでる
あなたを
ずっと眺めながら私
進んできたの。
秒速1.7m進むあなたと私
一度だって落ち合うことはできない。
眺めた背中からは
たくさんの若葉が生え始めていた。
摘み取って、摘み取ってしまいたくて
そしてすりつぶして飲み込んでしまえば
きっとうまくいくと思って。
心臓が生むリズムの鼓動も
鼓動のリズムに合わせて進める歩も
目の前のあなたと
真後ろにいるあなたとも
違っている。
私たち誰も一緒になれない、ならない。
内奥から湧き出た言葉を
生のまんまに発した時にだけ
繋がることができる。
その瞬間をただ得たいだけ。
それだけが十分なんだ。
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