マガジン

  • artsyな言葉たち

    自然、感情、美、哲学など、心奥に得たことを綴る。

  • フェミではない私(女)の備忘録

    1996年、コギャル・アムラー・ルーズソックスが流行した頃に私(女)は生まれた。制服のスカートは膝が隠れるくらい、宇多田ヒカルの方が好きだし、ソックスどころかタイツを履くような悟り世代。女だから、という理由で何かをあきらめたことも決断したこともないわ。いつでも自分が美しいと思うものを選択してきたもの。そうでしょ、悟り世代。だからいつだって悟ってんでしょ。フェミじゃないけど、アンチフェミでもない私(女)がしたためる私(女)の考えごと。

  • Poetry:

    ただうたうだけ、それは自由な世界。

  • ショートストーリーズ

    短くて、無くなっちゃいそうな話たち。

  • ふじ展 リテラルアーツ

    美術、芸術作品を言葉に移しかえます、描きかえます。 言葉による、万感得たる瞬間。 それこそ! リテラルアーツ!

最近の記事

お湯だしの麦茶をつくる

2Lのプラ容器(注ぎ口付き)に 沸騰したてのお湯をドバドバーッと注ぎ込む快感。 流し込まれるスピードに間に合わない湯気が 容器から逃げるように溢れ出る。 注ぎ込まれるお湯は、 容器を満たすとともに音階を踏む。 入れ終われば 瞬間、静寂。 まるで誰も知らない海底湖のおもむき。 ティーパックさえ浮かんだまま黙ってる。 私が触れない限り。 #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay #literature #poetry #poetics

    • 自然、私の注意

      ガラスのコップが私に語りかける 本を読めば 一粒の水滴がツーっと流れ落ちるのに視線をとられ 筆を進めれば 正方形の氷が溶けカランと音するのに 手が止まる 汗をかいたガラスコップも クリーム入りのアイスコーヒーも 私を知らないはずである 私の名前も経験も、生まれも、存在も知らないはずである ではなぜだろう 私の全身細胞の注意を払わせる 染みのついたソーサーは黙っているのに #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay #lit

      • 【詩】そのまま

        金箔の指先をひとかじりする 生まれたての模様が広がる 昨日みた夢の 真ん中で フルートの吹く部分と ボタンの数々だけを 剥ぎとること のんびりと 水面を伝わった心の音 聞き取ってくれたから まっすぐに返事をする 「何時間でも寝てられるから、 そのままでいてくれればいいよ」 そうこたえた 真後ろの鏡が 乱反射して私を突き刺したままだ #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay #literature #poetry #poetics #na

        • 【詩】たどう

          向かい側の生活 そのアウトラインを辿ってみた 右足に履いたレザーブーツは マスタードカラーの紐がほどけて でんでん太鼓の両手みたいに自由気まま 左足に履いたお勝手サンダルは靴裏の内側だけ削れてる 揃った靴は全部誰かにあげてしまったから 残ってる靴は全部バラバラ 思うように歩けない それでも 路肩にたなびくハルジオンや 真っ直ぐに幹を伸ばす楠の木の梢を しっかりとみられるから 私は歩ける 辿っていける 多分20mくらい先には 地割れしたアスファルトが パッキリと道を断っ

        お湯だしの麦茶をつくる

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        記事

          ノースカロライナのクリスマスセーター

          ノースカロライナで着てた ダッサダサのクリスマスセーター ドネーションに出したんだ 初夏の今でも 思い出しちゃうほどに 気に入ってたのに 上半身の全部が痒くなっちゃうくらいに けばけばでも 2日にいっぺんは着てたのに ドネーションに出したんだ 深緑の地に 真紅の袖口 襟元 不格好な2匹の犬がじゃれあってるシルエットがどーんっと描かれてて その犬の首元にはギンガムチェックのリボンが外付けされてて それは気に入らなくて取って捨てた 雪が降った最初の日に着てやろうと 数日

          ノースカロライナのクリスマスセーター

          【詩】ちから

          縮んだパンケーキに 塩気のあるバターを べったいスプーンで押し付ける 向こうの方から聞こえる声に 耳を傾けないように 押し付け続ける 横に縮んだパンケーキは 縦もずっとずっと薄くなってく 左耳の鼓膜に カワセミの啄ばみを感じて 聞こえない 右耳の真ん前にはたぶん ススキが一面に広がってる さわさわという雑音だけ 聞く べったいスプーンは どんどんどんどん 折り曲がってく かたい面に当てられ続けて 消えたバターに 穴の空いたパンケーキ 柄が取れたべったいスプーン

          【詩】ちから

          【詩】たまる いかる

          木目の色合いを 変化するまで眺めていた 夕方の七時 文句の一つ言えなくなって 昨日の折りたたみ傘は 水が滴ったまま 音速で変わってく ムラのある気持ちに 仕切りをしてしまったから 事の始末に 目を向けないままで 苦しい ボタンが外れない 襟元が外れない 誰かとってしまってよ 憐みは要らない 慈善も要らない 怒りだけが偽りない 偽らない #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay #literature #poetry #poetics

          【詩】たまる いかる

          【詩】ひとり

          モノクロの紋様を指でなぞった。 苦し紛れの吐息が 砂の被ったそれの正体を露わにする。 もうじき動き出す。 500m先に進んでる あなたを ずっと眺めながら私 進んできたの。 秒速1.7m進むあなたと私 一度だって落ち合うことはできない。 眺めた背中からは たくさんの若葉が生え始めていた。 摘み取って、摘み取ってしまいたくて そしてすりつぶして飲み込んでしまえば きっとうまくいくと思って。 心臓が生むリズムの鼓動も 鼓動のリズムに合わせて進める歩も 目の前のあなたと

          【詩】ひとり

          【詩】さようなら、ポセイドン

          ポセイドンの奥の方から 野太い声がした 魂の声 心のむせび泣き メランコリーの隙間に 目を当てて こちらを見ている 見下ろして 見上げてる この頃は栄えてきてる 心臓を覆う繊毛 密集してまるで絨毯 右から左へ波打ってる 強いということも 弱いということも 私にとっては無味の桃 しぶきも一切無関係 もぎ取った時 私たちの目が見つめあったこと 手が少しだけ震えていたこと 触れたこと それも全部無関係 さようなら、ポセイドン #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自

          【詩】さようなら、ポセイドン

          【詩】膜破り

          しっかりとすくい上げてほしい 柔らかな表面 なめらかな肉体 プリンのような内容を含んで そんな中に埋もれていってしまった 私の魂は 息ができない ゆで卵を包む薄膜みたいな 煮た牛乳からうまれる薄膜みたいな そんなものに真空パックされてる たぶん 爪楊枝とか アイスピックとか お父さんが毎晩使ってるフロスの先端とか そんなのでほんの少し触れてくれれば良いのに そんなきっかけは 誰のポッケにもあるのに 空気のないふくらみが 科学的根拠を超越して どんどん大きくなってく

          【詩】膜破り

          同時多発的事象

          この同時多発的に起きている事象よ。 窓に張り付いているクモの巣が 枯葉を取り込んでつらつらと揺れている ピアノのペダルが長引かせる音の反響 間近の葉っぱ、1メートル先の枝、10メートル奥の幹、もっともっともっと先の木。 下手な陶芸の注ぎ口、螺旋水面のたわみ 足のない机、アラビア文字 乾いた文面、目にかかる日の出 日中 進み出でるわ、私の声 開いた戸棚を閉める時に思い出される事象、同時多発的な事象 瞬間に混在する多種 #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自

          同時多発的事象

          寂れたツタヤ

          数年ぶりの町のはずれにあるTSUTAYA、 とてもさびれてた。 今じゃ音楽もベッドの上でダウンロードするのが常。 アナログなやり方は面倒だからなくなっていく。 でも、 夏の夜中にどうしても観たい映画を自転車で借りにいく無駄な時間も 白いタンクトップのおじさんが返却ついでに家庭で出たであろう2Lペットボトルを店前のゴミ箱に捨てる光景も 店内の眩しすぎる真っ白な蛍光灯も 嫌いじゃない、全部美しい無駄だ。 面倒なことには、 たくさんの美しい無駄が付いてくる。 そういう風に思

          寂れたツタヤ

          夜中のウグイス

          夜中の1時、 3階の窓から真っ暗な静寂に並ぶ瓦屋根をぼーっと見ていた。 ほーけきょっ! と鳴く声。 こんな夜中にウグイスなんて おかしいなあ。 真下に連なる街路樹の方に目を向けると スーツ姿のおじさんが ゆっくり歩きながら口笛を吹いてた。 ぴよっ ぴっ なんだか嬉しいそう。 ウグイスは音によって私たちに春の喜びを与える。 おじさんは喜びを得てそれが音になったんだね。 季節はずれのウグイス。 喜びは表すことで、 また誰かの喜びになるんだね。 #文学 #小説 #エ

          夜中のウグイス

          変わることの美しさ

          私は変化している空が好き。 台風によってスピードの速い雲、 ゆらゆら沈む夕日、 マジックアワーに向かう匂い。 変わらないこと 永遠のもの 人はそれらを求める。 変わることの自然さを 知らないのだろう。 変わっていくことこそ美しいんだよ! #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay #literature #poetry #poetics #nature #philosophy #あたしのエッセイ

          変わることの美しさ

          除毛 除あたし

          真夜中の4畳半。 下弦の月がこちらを見下ろしてる。 薄ピンクの柄がついたカミソリ、 月の光のもと すねに沿わせる。 ゆっくりと あたしが削られていく。 このまま髄まで、 あたしの芯まで剃り切ってしまったらいいのに。 夕飯にスライスした新じゃがみたいにね! #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay #literature #poetry #poetics #nature #philosophy #あたしのエッセイ

          除毛 除あたし

          足の甲のファンタジー

          真昼の下り電車に乗った。 車両には五人くらい、 私の右斜め前に40くらいのおじさんが座ってた。 仕事が休みなのか ラフな服装。 青地に赤の鼻緒がついたビーチサンダルを履いてる。 足の甲の部分、 なんか気になると思ったら 黒やグレーや白の毛がぼわっと生えてた。 なるほど、 と眺めてたら 自分の甲がムズムズ ツンツンと活発になってきてる気がした。 なんか生えてきちゃうんじゃないか。 #文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay

          足の甲のファンタジー