カラスの行方

人通りの少ない林道を
今日も自転車で走っていた。

青々しい高い木々がアーチ状に囲うデコボコの道路、
どんなに回避しても
凹凸に自転車ごと飛び上がってしまうのにはもう慣れた。

人も車もいないから道路中央を悠々と走る。
突如、黒い物体が前方上の方からこちらの方に向かってやってくる。
はっ、
と見上げると立派なカラスが
私の真上を真逆の方角へ地面と平行に飛んで行った。
偶然の重なり
凛々しく、美しい、瞬間だった。

家に帰ると
「聞いてくれよ」と彼。

「今日自転車漕いでたらさ
前から突然カラスが来たと思った瞬間
頭突いて飛び去っていったんだよ！
めちゃくちゃ痛かったんだよ」

ふふっ
かわいそうにね
私はきっと自然の愛され者なんだわ。

見せてみて、ケガはない？
笑いながら私は言った。

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