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【どぶろく】に化けた手打ち蕎麦

 前回「春小雨手打ち蕎麦とおじいさん」で 書いた「おじいさんの手打ち蕎麦」は どうなったのか?

 実は 前回の記事に書いた「二日続きのお客さん」の 一日目の来客で「おじいさんの手打ち蕎麦」は「どぶろく」に 化けたんです。

 一日目の来客は 高校「音楽部」からのお付き合いの彼女の次男さんが
和歌山の女性と恋愛結婚して、そのお母さんが これまた【手作りの どぶろく】を作ってられるとか…?

彼女曰く
「あんナ! 次男の嫁のお母さんがナ 以前 私が和歌山に遊びに行った時【どぶろく】を出してくれはったんやん、それがなあ ほんと、美味しかったんで 私が『おいしい、おいしい!』って言うて飲んでたら、嫁のお母さんが『来年から作ったら 送りますに』って言うてくれはったんやんかあ、それで、一年目 送ってくれはった【どぶろく】は あんまり美味しいんで、あっという間に主人と空けてしもうたんやけど、【どぶろく】知ってる?」と聞かれて、私が 弾けるように
「【どぶろく】? 知ってる、知ってる! 面白い言葉やろ?それになんか 白い濁ったお酒のようやん? 飲んだことないけど 名前だけは知ってる。大学の時 なんで知ったんかおぼえてへんけど、友達のお母さんに『へ~【どぶろく】知ったはるのん!」って、びっくりされたわあ。きっと本か何かで知ってたんやと思うけど… 飲んだことないわあ、【マッコリ】に似てるやろ?」と言うと、彼女は「【マッコリ】は甘いけど、【どぶろく】は 甘くないねん、今度 持って来てあげるわあ、半分やけどな!」ということで持って来てくれることになったのが その日だったのだ。

その日は お寿司を配達してもらい、我が家での茶話会!
そんな日の 思わぬ「お持ち帰りの手おみやげとおみやげ話」が 「春小雨手打ち蕎麦とおじいさん」の蕎麦だった。
彼女とは 同じ「音楽部」の団員以来の「親友」に なっていた。

 

こうして、何十年の付き合いで「親友」になる人も居てるけど、何年経っても「しっくりこない人」もいる。
私は 彼女のことを「親友」だと思っている。
しかし、「親友」だと実際 感じたのは つい最近のこと。
私たちは 彼女と私の「つき会い方」ひいては「人柄」そして 何よりも
二人の「人生の生き方 向き合い方が 同じだ」ということに気づいた時、私たちの心の絆が しっかり結ばれていたことに気づいたて、初めて私の心の中で ピョン!と「彼女は親友だあ!」という言葉が浮かび上がってきたのだ。 

 その日の昼食時に 背高のジュース瓶半分のおみやげの【どぶろく】を【ぐい飲み一杯】だけ 二人でいただき、ほろ酔い気分で 益々二人の話は盛り上がった。
残った【どぶろく】は イヒヒ!と思いながら、冷蔵庫に入れる私。
ところが、一人では なかなか飲む気分が起こらず、日が過ぎていった。

 後日、甘酒を買って、冷蔵庫を開けて「私って、もう!」と、思った。
だって、二本目の甘酒を買ってしまって まだ一本目の甘酒が冷蔵庫に 残っていたのを見つけたから…
見ると瓶の底が見えるくらいの分量だったので 〈整理しようと!〉っと     温めた牛乳に 加えた途端、もろもろが浮いてきて 何やら発酵していた。
〈なんで甘酒が…?もろもろに…?〉それを見つめながら 嫌な予感がする〈腐ってる? いや、発酵食品やから 大丈夫やな!〉と 自分を納得させ一気に飲んでしまった。
その直後、胃の中が カ~ッ!と熱くなり 頭がオデコが ふんわかふんわかしだす…〈 なんだあ? これ…? え! え~? まさかあ…? 〉
思い出したんです、その時に! 忘れられていた【どぶろく】を…!!

そうなんです!
彼女には ないしょ!
【どぶろく】の牛乳割を 一気に飲んだ私
【おじいさんの手打ち蕎麦】が【どぶろく】に化け
【どぶろく】が 私を化かして【甘酒】に…?

いや、… 違うか~?
とにかく、
彼女には 内緒にしておいてくださいね!

どぶろくが甘酒に化けた昼下がり

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