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折に触れて

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その時々の出来事は、ちょっとしたドラマのような時がありますよね。そんなこんなを書いてみました。
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#折に触れて

消されるはずだったもの

消されるはずだったもの

 2020年11月7日娘の死から娘のことや作品を書かせていただき、 ほっとしていた矢先、古い書籍の間から 閉じられたA4紙の入って膨れ上がった茶封筒を見つけた。

 もう何十年も前のヨレヨレになった古い茶封筒には ぎっしりと手書きやPCを使って書いた詩や作品が入っていた。
きっと、娘が京都で一人暮らしをしていた時に書かれたのでは…?

それを開けて広げてみる。もうPCのインクが消え読めないような作

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昨日までの風景(11)

兄から来た便りの冒頭に こんな文がありました。

「お便りありがとう。文才はどこから学んだのですか、懐かしく読ませてもらいました。母親は生きる哲学の祖、日本の戦後復興も母親の生き様エネルギー、明治、大正、昭和の賜です。今の日本の…」

とありました。
4人姉妹のたった一人の長男としての想い、苦い戦争を一番多感な青春期に経験した分 社会及び世界情勢や状況を敏感に分析するなど、昔と同じようにちっとも変

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昨日までの風景(10)

昨日までの風景(10)

 兄から便りが来た。
何十年もの間 個人的に便りを交換した記憶はない。
昭和18年2月3日、わたしは今日で実質79歳になった。
兄は私の一回り上だから兄の誕生日の2月19日に91歳になる。
 兄と便りを始めたのは「昨日までの風景(9)」に記した。

 実家を久しぶりに訪れたのは去年の11月下旬の頃だったと思う。    その後、新年を迎え、間もなく従弟の年賀状に手紙を書きたくなった私は 従弟に手紙を

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今年のバレンタインデー

今年のバレンタインデー

 今年のバレンタインチョコレートは早かった。

お正月入って第2週目には 生協で色とりどりのチョコが載った

だいすきなウイスキーボンボン!

生協に出ていたので まずは 私自身のご褒美に

それから

1月の終わりに 2月にお見えにならないパソコン個人教室の先生に 

2月に入ってすぐ ボランティア活動でご一緒の3丁目の寅さんに

そして、

昨年まで、車で病院に送ってもらっていたお隣のご主人に

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風花や同窓会の便り来て

風花や同窓会の便り来て

 年賀状を書いたのが 40枚。3分の1は企業から、残りの3文の1は 親戚で 同窓生は後の3文の1とはいかなかった。
送った人のうち1人はメールでもう1人は電話で返事が返ってきて、久しぶりの長話。それも ええもんやなあ!と 思うようになった。
そして、年賀状が来た人の2人は「来年からのお年賀は失礼いたします」と書かれていた。

 もうそんな年齢になったんやなあ!と考えさせられた。そしてやっぱり、同窓

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「イーハトーブ賛歌」by多和田史(2)

「イーハトーブ賛歌」by多和田史(2)

 「イーハトーブ賛歌」(1)でこのピアノ曲は「組曲」であったほうが…と書いてしまったのでそれを確かめる為に、一昨日 月一の内科診察の後 足を延ばして、ヤマハ音楽教室に行ってきた。

 積み木を並べたようなビルの6階に「ヤマハ音楽教室」はある。     その受け付けで
「あの~、つかぬ事をお訊ねしますが 多和田史さんの『イーハトーブ賛歌』のピアノ曲は『組曲』ですか?」と聞くと、
「お待ちください」と

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「イーハトーブ賛歌」by多和田 史(1)

「イーハトーブ賛歌」by多和田 史(1)

 宮沢賢治の理想郷「イーハトーブ」を ピアノ曲として多和田 史さんが作曲された曲だと思う。
以前から挑戦していたのだが、いつも中途半端で投げ出されたままだった曲
なぜなのか? 再度この曲を弾いてみた。

 この曲は 最初から強い調子で始まる。そして、音域がとても幅広くて 大きい。 それ故、弾きごたえがあり、多和田さんの思いが並々ならぬ思いで作曲されたのも伺える。只、趣味で弾いている私が言うのも お

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今、あのひとは…【1】

今、あのひとは…【1】

 アパート編

             (1)

 ことし79歳になる私は 本当に色々なことに出会い,その都度夢中で、 なんとかこなしてきた。
 「若いということもあったんやなあ」
その当時は必死の形相でやったはずのことが 時間が経って振り返ってみると、あんな面白い経験は普通の主婦にはめったに出来ないだろう、と思うようになった。そこで、その体験談を書いてみようと思う。

           

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今、あのひとは…【2】

今、あのひとは…【2】

従兄弟への手紙

前略失礼いたします。
 新年をお迎えになりその後如何おすごしでしょうか?
いつも年賀状に来るべき年の抱負を書いておられ、さすがは!と感心しております。
今年の年賀状に自筆で「父が頂いた絵、私の書斎に掲げています。懐かしさで一杯です」と書いてくださり、私の方こそ有難く懐かしく、お手紙を書きたくなりパソコンに向かった次第です。
 いとこ同士でありながら自由に行き来できなかったことは残

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この一年を振り返って

この一年を振り返って

 私が「note」を始めたきっかけは 長年原因不明の痛みで悩まされていた娘の病名が「多発性骨髄腫」とわかり「余命1年半」と告げられた時でした

 娘は猫を飼っていて その猫の餌と猫砂をAmazonで購入していたので、その買い方を教えてもらっていた時、不意に娘が
「私、[note]やってるけど、お母さんもやりたい?」と聞いてくれたことが始まりでした。
あれは一昨年の春だったと思うのですが…。
あれか

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「まど・みちお詩集」を読んで

「まど・みちお詩集」を読んで

☆おそろしいドロップ

海の魚よ 海にいるもの達よ!

あれは 君たちの ほしいものではないのだ

海の中の 赤いあめ玉のような

波にけずられた 黄色い星のような

海にうかぶ 海にただよい

君たちの「おいしそう!」を そそるものは

何だと思う?

海の魚よ 海にいるもの達よ!

砂浜にうちあげられた

大きなお腹の 仲間を見たかい?

海の魚よ 海にすむもの達よ!

あれは 君たちの ほし

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”代書や‘‘初めます?(2)

”代書や‘‘初めます?(2)

 「”代書や”はじめます?(1)」を読んで「マイトリ♪さん」がコメントをくださった。その中で「ラブレターの代筆も 素敵にお書きになるんだろうなあって思っています」と書いてくださったことで思い出したことがある。

 マイトリ♪さん、のコメントの返事にも書いたのだが…。

「そうなんです。こんな私はきっと母譲りだと思います。
なぜか?っと言えば…。」その返事を詳しく書くと…。

 すぐ上の、つまり 私

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今、私は…

今、私は…

☆ひなたぼっこ

せなかに ひがあたると
せなかが あつくなってくる
ガラスごしの ひなたぼっこ
ねこが ねむそうに めをほそめた

☆このいえは とりで

このいえに いれば こわくない
こわいひとかどうか
わたしが わかれば
こわいひとは はいれない
ぜったいに
はいれない

☆隣家の正装

カンカンカンと 金属棒の音がして
隣の家は 美しくなった

カンカンカンと金属棒の音がして
うすい幕が

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”代書や‘‘始めます?(1)

”代書や‘‘始めます?(1)

 私の住んでるところも 高齢者が多く、40年も住んでいると新参者も 古だぬきになる。なんだかんだと言いながら親を見送りそして夫を見送り、私 なんざぁ 娘まで送ってしもたわさ!

 年の功というもんわ、ボーッと生きてりゃ、なにがしか付いて来もんね。
私の周りにゃ 同い年が数人と上のもんばっか!
「仲良し3人組」というと、なんや可愛らしい3人組か、と思うやろ?
それがぁ、私が一番下でふたりとも87と9

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