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あの日、私は選挙に行かなかった。

(これは選挙に行かなかった過去のことを
思い出して書いた日記です。)

いつものようにタクシーで帰る午前1時
もうすぐ企画の持ち寄りだ
私の案が通るといいな
先輩の案になるのは分かってるけど
でもたくさん案を出さないと
やる気ないって思われる

寂しいな
染み入るように寂しいな
支えてくれる人がいたらな
結婚して子供産まなきゃな
でも出会いどころじゃないな
この暮らしはいつまで続くかな

ポストからチラシがはみ出している
そういえば最後にポスト開けたのいつだ?
久しぶりにポストをあけた
選挙の紙が入っていたので家に持って入った
残りのチラシはエントランスのゴミ箱に捨てた 

何日か経った土曜日
週明けに持ち寄りがあるから
昼から会社で仕事した
1日中デスクで企画考えた
休日は誰もいないから仕事が捗るな
いつも先輩にかかってくる
電話もかかってこないし
夜まで会社にいたらクタクタに疲れた
疲れたから自分に帰ることを許してあげる
平日と同じような深夜帰り
シャワー浴びて寝た

日曜になった
昼ごろに起きた
外は雨が降っていた
眠かった 
寝ても寝ても眠い
体が鉛のように重い
明日は月曜だ
また仕事にいかなければ

そういえば選挙は今日だったっけ
机に置いてある選挙の紙をベッドから見る
区議会議員の選挙らしい
区議会議員ってだれ?
ニュースでも見たことない
ていうかテレビも新聞も見てない
調べるのもめんどくさい
ていうかどうやって調べるの
どうせスーツを着たおじさんでしょ
誰がやっても同じでしょ
そもそも私はいつか結婚して別の街に住むのだし
地元の人が投票すればいい
私1人行かなくても何も関係ない

眠い休みたい
今日のごはんどうしよう
スーパーは遠すぎる
外食する店も遠すぎる
洗濯物が溜まっている
エマールで洗わなきゃいけない服たくさんある
洗うのめんどくさいけど
洗わねば来週着て行く服がない
ゴミを捨てるのもめんどくさい
皿を洗うのもめんどくさい
とにかく眠い

寝て起きたら外は暗くなっていた
あと30分で選挙が終わる
もう投票行くの間に合わないや
でも眠かったから仕方ない
別にいいよね行かなくても
お腹すいたけどなにを食べようか
外食に行こうかいつもみたく一人ぼっちで

私は20代の若い女性なのに
自立していて幸せなはずなのに
なぜこんなに寂しいんだろう
いつか幸せになりたい
だれかそばにいてほしい
仕事で成功したい
男に引かれないほどほどの成功
でも30歳までにそれができるかな?

考えたくない
将来とか何も考えたくない
ダメだ仕事のことを考えなきゃ
24時間仕事のことを考え続けるのが
プロなんだから
でも眠いもう無理だ
おやすみなさい

・・・こうして私は選挙に行かなかった。


過去の私のような人に、どうすれば政治に興味を持ってもらえるのだろう。ずっと考えています。