【短編小説】14.はじめてのなかま【その角を通り越して。】
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「成功だね、これでやっと元通り」
また聞いたことのない声と一緒に
キーとドアが開いて
今度はスラリとした背の高い男が入ってきた。
「こんばんは、便利屋のサトウです」
「便利屋?」
もしかしたら僕より若いか、同じくらいか。
黒縁メガネのその男は
片手で名刺を差し出しながら
「やっと見つけました、行方不明のお兄さん」
そう言って、胡散臭いくらいの作り笑いをしてきた。
この人も、計り知れない闇を抱えている…
メガネの奥にある目は少しも笑っておらず
つかみどころのない飄々とした態度が何とも危なっかしい。
「どういう…?」
僕は名刺を受け取りながら、そう言った。
おばあちゃんの日記を読んで
大体の事を理解したような気がしてはいたけれど
何を信じて、
これからどう生きていけばいいのかよく分からなくなった僕は
恐る恐るそこにいる2人に問いかけた。
「僕は一体、何者なんですか?」
「まだ分からぬか、お主はろうそく屋の店主。
そして、この世界の星空を作る者じゃ」
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