【短編小説】9.おかしな、せかい【その角を通り越して。】
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気がつくと僕は暗闇の中にいた。
真っ暗な中に、意識だけが浮かんでいる感じ。
手を動かしているはずなのに何も見えない。
フワフワした感覚がしばらく続き、僕はまた気を失ったようだ。
気がつくと
僕はいつもの部屋に倒れていて、
窓の外には二つの大きな月が煌々と輝いていた。
おかしい。
何となく体が重いのは倒れたせいなのか、
あの匂いのせいなのか。
僕にはよく分からなかったけど、
この場所がさっきまでいた世界ではない事は明らかだった。
窓の外の月は見たこともない大きさだし、何より二つ浮かんでいる。
何があったか思い出そうとしても
浮かんでくるのは辛い思い出だけ。
分からないことが多すぎて、考えることをやめると
不思議と気分が軽くなった。
どうでもいいか。
それが答えだった。
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