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【短編小説】3.かがみよ、かがみ【その角を通り越して。】

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めらめらと、炎が揺らいだ。

過去に飛んでいた僕の頭の中が、一気に現実へと引き戻される。
僕は古びた椅子に腰掛け、窓の横に掛けられた鏡を見据えた。
古い額縁にはめ込まれた鏡は所々が白く曇っていて、
いくら拭いても美しい銀色には戻らなかった。


古い燭台や作業台。
壁には、埋め込まれるように古い本棚が並び
いつの時代の物かわからない茶色い本や
古びた雑貨に埋め尽くされていた。


古びた鏡越しに見るいつもの部屋の中。


ほんの一瞬鏡から目を外した。
瞬きをしただけかもしれない。
その間に眠りに落ちてしまったのかもしれない。


次に鏡の中を見た時。

鏡の中には扉があった。
おばあちゃんの声が頭の中で響く。


――あの扉を見たらお前も魔法使いの仲間入りだ――


ひゅう、と。
風が吹いて、冷たい空気が頬を掠める。
夢から覚めたのか、瞬きをしただけなのか。

次に鏡を見るとそこはただの部屋。
鏡の中に、扉はなかった。


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