日記 月もない真っ暗な空
ベランダに水が入ったコップだけを持って、そのまま地べたに座り、夜空を眺めた。月一つ見えない真っ黒な空だった。地元にいたころは都会が少し曇っただけで月さえも見れないなんて思いもしなかった。
今日はうまく睡眠薬が効かなかった。それにも慣れてきたので、適当に空を見上げたり音楽を聴いて過ごす。早く日が出てしまえば楽なのにと思う。でも、今この時間がすごく楽しいと思う自分もいる。私はあまり光や外界の音というのが得意ではないらしい。夜中は自分にとって刺激になるものが何も無く、心地がいい。けれど、明日のことを考えると寝れない自分に焦りを感じていく。
スマートフォンの電源を入れ、ある人とのトーク画面を開いた。少し文章を打って、少し悩んで、文章を消して、スマートフォンの電源を落とした。ある人というのは大学のサークルの先輩だ。私よりも重度の鬱を患っている。けれど、面倒見のいい先輩で連絡をすれば、電話をかけてくれたり、会いに来てくれさえする。さすがに迷惑だし、今回はそこまで切羽詰まってない。
じゃあどうやって眠気が訪れるのを待とうか。少し難しいことを考えてみようか。不幸比べについて。私は先輩と比べると私の方が特殊な点は弟も不登校だったことと産まれたその日から宗教にはいっていることぐらいだと思う。先輩は両親の離婚について板挟みになったそうだ。離婚の原因はあまり子供が知りたくないようなことだった。症状は先輩の方が重度で年数も長い。私は一年弱ほどで先輩より軽度である。
では、どちらの方が不幸でしょう。と問いかけられても、症状が重いのは先輩だけれど、それを不幸だというのも何か違う気がする。じゃあ私の方が辛くないとされるのかというとそれも違う気がする。不幸比べというのはあまり意味のある行為だとは思えないなと感じる。
そういう病気や立場にある人がいるという事実を知っただけでは、幸不幸はわからないなと思う。色んな人と出会うようになって特に思う。それは本人の問題で他人には決められないものであるから。
少し、空が明るくなった気がする。それと同時にあくびがでる。私は立ち上がり、ベランダから出て、もう一杯水を汲んで飲み干してからベッドにもぐった。