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【読書メモ#5】僕は君たちに武器を配りたい 瀧本哲史(著)

今回は、今年8月に47歳の若さで亡くなられた
エンジェル投資家で京都大学客員准教授 瀧本哲史先生の
「僕は君たちに武器を配りたい」について
取り上げてみたいと思います。

これから就活を始める学生さんや
20代の社会人といった、
若い世代の皆さんに是非一度読んで頂きたい一冊です。

■読もうと思ったきっかけ

以前から瀧本先生の本やインタビュー記事を何度か読んだことがあり、
その辛辣で的確な指摘やコメントが好きでした。

8月に亡くなられたということをニュースで知り、
とても残念に思うと同時に、
瀧本先生のベストセラーと呼ばれる
「僕は君たちに武器を配りたい」をまだ読んだことがなかったので
読んでみよう!と思ったのがきっかけです。

■【メモ①】コモディティ化を避け、スペシャリティになれ

市場に出回っている商品が、個性を失ってしまい、消費者にとってみればどのメーカーのどの商品を買っても大差がない状態。それを「コモディティ化」と呼ぶ

人材についても、この「コモディティ化」が
世の中で進んでいると瀧本先生は述べられています。

例えば昨今の資格取得ブームも
実は不安解消ビジネスであって、
TOEIC800点以上や簿記のような会計知識を得たところで
世の中にこれくらいの資格を持っている人はたくさんいるので
全く差別化にならないとのことです。

当時休職中で暇だったので、簿記の勉強していた私は、
ここで一気に勉強をする気が無くなりました。笑

勉強できても、高学歴であっても、技術を身につけたとしても、
他者と差別化することができず、コモディティ化の進む社会。

このコモディティから脱出するために
瀧本先生はその人特有の「スペシャリティ」を得る必要がある
述べられています。

■【メモ②】生き残る4つのタイプ

ではどうやってスペシャリティとして生き残ることができるか?
瀧本先生はスペシャリティのある人間として、
次の6つの働き方を示されています。

1.商品を遠くに運んで売ることができる人(トレーダー)
2.自分の専門性を高めて、高いスキルによって仕事をする人(エキスパート)
3.商品に付加価値をつけて、市場に合わせて売ることができる人(マーケター)
4.まったく新しい仕組みをイノベーションできる人(イノベーター)
5.自分が企業家となり、みんなをマネージ(管理)してリーダーとして行動する人(リーダー)
6.投資家として市場に参加している人(インベスター=投資家)

ただし上記のうち1と2の「トレーダー」および「エキスパート」は
価値を失いつつあるとのことです。
「トレーダー」は物を右から左に流すだけで価値を生み出さず、
「エキスパート」は変化の激しい現代では
いま需要のあるスキルでも、すぐに需要がなくなる可能性があることが
価値を失いつつある理由だそうです。

■【メモ③】しょぼい競合がいるマーケットを狙え!

新しいビジネスを見つける際、
「しょぼい競合がいるマーケットを狙え」という鉄則があるそうです。
※そもそも競合がいなければ、そこはマーケットと見なされない。

そのために潰れそうな会社に入り、
その後、その会社を潰す会社を自ら作ってしまうのも手段だと
瀧本先生は述べられています。
なんとも大胆ですよね。笑

落ち込んでいる業界にこそ
イノベーションのチャンスは眠っているそうで、
ある分野でコモディティ化しても
別の分野で新しい価値を生み出す可能性があるそうです。

■【メモ④】イノベーションの発想術

イノベーションの発想術として、
その業界の常識を書き出し、
次にその常識の反対を検討してみるのが良いそうです。

この方法は最近読んだ別の本でも述べられており、
一度やってみたいと考えています。

また他の業界で、これは良いというアイデアを
徹底的にパクるという方法も瀧本先生は薦めています。笑

■【メモ⑤】歴史に名を残すリーダーの素養とは

日本人の多くは謙虚で素晴らしい人格を持ったリーダーを好むが
そういう人は実際にはリーダーにはなれないと
瀧本先生は述べられています。
実際、歴史に名を残すレベルの企業を作ったリーダーは
みなある種の「狂気の人」であることが多いそうです。

例えば彼の有名なスティーブ・ジョブスですが、
敵とみなしたソフト会社のAdobeシステムズを潰すために
iPadでAdobeの動画を動かすソフト「Flash」をサポートせず
全面戦争を仕掛けたと話題になったそうです。
またMicrosoftのスティーブ・パルマーも
インターネット黎明期ににブラウザの分野で競合だった
ネットスケープを叩き潰すために、
彼らが有料で配っていたブラウザを無料で配布しました。
その際にバルマーは
「(ネットスケープへの)酸素の供給を止めるんだ」と言ったそうです。

いかにリーダーが強烈なパーソナリティを持っているか、
このエピソードから垣間見ることができるかと思います。

また過去に強烈なコンプレックスを持っている人も
リーダーになる素養を持っているそうです。

■まとめ

この本が出版されたのは2011年で
もう8年ほど経っているのですが、
今後多くの仕事がAIや人工知能に置き変わると言われる現代だからこそ
改めて読んでよかったと思う1冊でした。

本書では人材のコモディティ化から脱出するために
スペシャリティが必要だと述べられていますが、
AIや人工知能に仕事を奪われないためにも同じ事が言えると考えます。

スペシャリティとして生き残るためにどうすれば良いか、
方法論が具体的に述べられているので、
是非若い人に一度読んで頂きたい一冊です。

長文、読んで頂きありがとうございました。

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