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教師のできごと①

どうも、はる先生です。
フリースクールを立ち上げたばかりの初心者経営者です。

先日はフリースクールを立ち上げるまでの経緯①を投稿しました。

そんなこんなで教師を辞めた私ですが、本稿では趣向を少し変えて、教師時代のほっこりエピソードを少しだけご紹介させてください。


私が、教師になって3年ほど経った頃のお話です。

その頃の私は、何とか教師としての仕事にも慣れ始め、煩雑な事務作業も心を無にしてこなす毎日を過ごしておりました。

普段の生活では、自分の担任する子たちと、勉強に遊びに毎日起こる諸問題にあれこれと忙しなく動き回り、まさに「トイレに行く暇もない」状況でした。高学年の担任に加え、人数の少ない学校ならではの分掌(色々な役割分担)の多さに、先生ってやっぱ忙しいんだなあ、としみじみ思っていました(笑)。

今でこそ学校もデジタル化、簡略化と働き方改革が進んでいます。しかし、当時は”紙でないと”という意見や考え方も多く、放課後、教室で仕事を終えて職員室に戻ってくると、私の机の上にはミルフィーユのようにバインダーにはさまれた書類の山が出来上がっている惨状でした。

そんな忙しさのあまりか、ふと気がつけばもう夏休みが迫っている季節になっていたのです。

夏休みというと先生もお休み、と思われがちですが、基本的には平日は普段通りの勤務です。子どもがいない、仕事がない状態であれば有給を取得してお休みをとることもできるのですが、その年は色々と仕事があったこともあり、夏休みも仕事をすることが予想できました。

夏休みも仕事が山積みか…と思いつつ、夏休みの宿題も配り終えていよいよ子どもにとっては最高の夏休みが始まろうとしたある日、ある2人の子から話しかけられたのです。

「先生、ぼくたち夏休み一緒に宿題やろうと思うんだ。」

「へえ、いいね。暑いから熱中症とか気をつけながらやりなよ。」

「早く終わらせて釣りに行きたいから。」

とここまで会話をしてズッコケそうになりました。宿題への意欲は釣りにいくためかい、と。ただ、もともとその2人が確かに釣りが、というより魚が大好きなことは知っていました。持ち物も魚、お絵かきも魚、なんでも魚を描くほどの魚好きだったので、確かにと納得したのです。

「でも宿題難しいところ分からないから、先生のところに夏休み行ってもいい?」

と、まさかの夏休みの学習延長戦を申し込まれてしまったのです。これまでも学校のプール開放などと合わせて、長期休みの間に勉強を教えてもらいに来る子はごくたまにいたのですが、子ども側からやりたいと言われたのはこの時が初めてでした。

動機が多少気になるものの、宿題をちゃんとやろうとする意欲と、答えがわからないならいっそのこと教えてもらおうという潔さに、内心私はほっこりした気持ちにもなりました。

「でも、ここに来るのはもちろんおうちの人にいいよって言ってもらわないとだめだよ?それに夏休みの時間もここに来る分減っちゃうけどいいの?」

と心配していたことを伝えましたが、

「大丈夫、お母さんたちにはちゃんと説明するから。それに勉強はしっかりやらないと。」

と、まさかの強気発言でした。

これまで、普段の生活では見られなかった、新しい彼らの一面を知れたことが嬉しかったことを覚えています。

ここまで強気に説得されたら、私も応えたくなります。校長先生のところに、2人が勉強を教えてほしいということを伝え、学校に来ることを許可してもらえないかを直談判しました。

交渉の末、しっかりと送迎をしてもらい安全を保証できるならいい、という許可をもらい、その夏2人と午前中の間学習することになったのです。(こうなるまでには紆余曲折あったのですが…)

私は横で自分のミルフィーユのように積み上がった仕事の山を片付けつつ、分からない問題がきたら、解き方を教えてあげる、というような流れでした。

そして、その日の勉強が終わると、彼らは嬉しそうに

「午後からは川で魚釣ってくる!」

と元気に帰っていくのでした。

もう何年も前の出来事ですが、今でも記憶に残る2人でした。ほっこりした心地よさを感じながら、こんな夏休みもいいなとしみじみ思った夏でした。




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