人の本質なんて、簡単に変わらないのだ。【その2】
#20230802-186
2023年8月2日(水)
ノコ(娘小4)の習い事の夏合宿3日目、また夏空が戻ってきた。
窓の外はまばゆい強い光にあふれ、買い物に行く気力がわかない。
目下、蛾の一種ホシホウジャクの蛹が2体。オオスカシバの卵が1個にその幼虫が8匹いる。
それぞれの状態を確認し、幼虫のケースを掃除する。
私が知る限り、オオスカシバはわりとのんびりとした性格で葉を挿した器を移動させても動じず、クチナシの葉を食べ続けている。口器は確かに動いているが、葉だけ見ているとまるで溶けるように消えていくのでおもしろい。まるでスチロールカッターの熱されたニクロム線が発泡スチロールを切っていくときのようだ。
見ていて飽きない。目が離せない。
糞の状態、それぞれの成長具合を見ながらその背をそっとなで、声をかける。もちろん返事はない。
脱皮前の眠に入っている個体もいる。脱皮後は食欲が増すので、食草をもっと用意したほうがよさそうだ。
今日こそは片付けをしよう!
そう思ったのも束の間、小説を読みはじめてしまった。
もともと私は本に没頭する。
何度も呼ばれて顔を上げれば、今、自分がどこにいるのかわからないほど物語の世界にひたってしまう。あっという間にここではないどこかへ行ける。
ノコが来てからは、読み方が浅くなった。そこまで集中して読むと時間の経過がわからなくなるし、ノコに呼ばれても返事ができない。
ノコが来る前が酸素がなくなるまで海の底に沈んでいたのなら、今は浅瀬で足首を濡らしている感じだ。時折腰を伸ばして、周りを見まわす。そんな感じ。
今日は沈んでもいい。
時折、トイレに立つ。喉が渇いたら活字に目を落としたまま、手探りでマグカップのなかの液体を喉へ流し込む。
昼が過ぎた。昼食を食べなきゃと思いながらも本を閉じることができない。
さっき、遠くで洗濯機の終了ブザーが聞こえたような気がする。干さなきゃと思いながらも、魔法が使え、妖精が舞う世界から帰って来られない。
早朝勤務のむーくんは、退社時刻も早く、日があるうちに帰ってきた。
ちょうど長編小説を読み終えたところ。
玄関ドアが開く音によろよろと迎えに出る。
「ずっと本読んじゃった」
朝早くから仕事をしてきたむーくんにそう告げるのは、昨日より恥ずかしい。
「いいんじゃねぇか。こういうときしか読めないからな」
むーくんは片付けに手をつけた気配のない家のなかを気にせず、笑った。
広い広い心のむーくんに感謝!
そして、私の本質は子育てをしようが、ちっとも変わっていなかったことに気付く。
たっぷり寝たくて、どっぷり本に没入したいのだ。
そんな簡単に変わるもんじゃない。
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