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娘がいうには「今日のママは最低」らしい。

#20230715-167

2023年7月15日(土)
 にち、海の日。
 世の中は今日から三連休らしい。
 我が家はむーくん(夫)が暦通りの勤務でないため、あまり実感がない。
 ノコ(娘小4)も来月に習い事の発表会があるため、リハーサルを含めた練習回数が増えた。三連休もそれに消える。

 昨日、学校から帰ったノコに改めて三連休のスケジュールを伝えた上で、宿題をどう割り振るか決めるよういった。三日目の海の日は、時間上、ほぼ宿題はできないと思ったほうがよいことも付け加えた。
 ノコは金曜日の宿題を少なめにし、残りを土日に等分ーーいや、日曜日のほうが多いかもしれないーー後ろになるほど量が増す、後まわしパワーを発揮させた。
 「今日(金曜日)、もう少しやっておいたほうが後が楽だと思うよ」
 一応、私はそうアドバイスした。
 見通す能力がまだ未熟なノコは、毎度のことながらどこまで本気かわからない「大丈夫、大丈夫」を連発し、少量の本日の分の宿題を済ますと、大好きなTVテレビタイムに突入してしまった。
 ママはいったからね・・・・・・

 一夜明けて、本日土曜日。連休初日。
 ノコの予定によると、漢字ノートを4ページやらねばならない。集中力が持続しないノコにとって4ページはかなりの量だ。
 「試しに1ページに何分かかるか測ってみたら? そうしたら、4ページにどのくらい時間がかかるか予想できるよ」
 「わかった」
 ノコは定規の穴に鉛筆の先を突っ込んだり、筆箱のふたを開け閉めしてマグネットがカチカチいうのに耳をそばたてたりしながら、1ページに30分かけた。
 「ママァ、1ページに30分かかったぁー!」
 「30分かぁ。じゃあ、4ページ終わらせるにはどのくらいかかりそう?」
 「・・・・・・えっとー、30と30と30と30だからぁ・・・・・・」
 いやぁ、4年生でしょ。そこは掛け算使おうよ。
 「うげぇ、2時間???」
 惜しい。1ページは済んでるから、正確にはあと1時間半だね。
 「15分休憩するぅ」
 よろよろと自分の部屋へ向かうノコ。
 30分宿題して15分も休憩するんかい。いつものことながら、突っ込みどころ満載だよ。
 この時点で既に12時。
 今日の習い事は14時半出発だ。お昼も食べなきゃいけないし、身支度もーー休日でも洗顔や髪結いは朝のうちに済まそうと散々いっているのにーーまだ起きぬけのままだ。
 はたして、間に合うのだろうか。

 時折、咳をするノコ。
 「宿題も終わらないし、咳もしてるから今日のレッスンは休もうか
 私がそう提案すると、ノコは私を睨み付け、足をドンドンと踏み鳴らした。
 「ヤダ! ヤダ! ヤダ!」
 そこまでいうなら気張って宿題を進めるのかと思いきや、昼食後にいった台詞はこれ。
 「ママァ、お腹いっぱいで苦しいから12時50分まで休憩するね」
 時間のなさをわかっているのかなぁ・・・・・・ いや、わからないのだろう。
 ノコは自分の部屋へ行き、居間に戻ってきたのは予告時刻過ぎの13時15分。
 にこやかにテヘヘとばかりに小首を傾げる。
 「ちょっと寝ちゃった」

 「早く宿題やってね
 遅れたことにはふれずに私がそういうと、ノコは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。
 「今日やる分の宿題を終わらせないと、レッスンには行けないよ」
 「・・・・・・嘘だと思った」
 なぜそんな嘘をいわねばならぬのだ?
 「いったよね」
 「ママ、優しいから」
 「それは優しさじゃないね」
 ふてくされたノコはテーブルに向かったが、宿題をやるのではなく、予定表に荒々しく書き込んでいる。そして、それを私に投げて寄越す。
 紙は格好よくビュッとは飛ばず、ふわりとおかしな方向へ飛んでから床に落ちた。
 見れば、今日の分の宿題は、明日に後まわしされていた。

 「進み具合によって予定を変更することはダメではないけれど、明日にこんなにまわしては尚更終わらなくなるよ。今日の分は今日済まさないと、連休中に宿題が終わらない。レッスンに遅刻してでも終わらせてください」
 歯をむき出しにして、ノコが私を睨みつける。噛みつかんばかりだ。
「じゃあ、習い事の欠席理由は"ママのせい"って書いてね!」
 居間のドアをバタンと閉めて、自分の部屋へこもってしまった。
 "私のせい"かい・・・・・・
 宿題を計画的に進めなかった自分のせいだろうに。
 遅刻や欠席連絡はインターネットを通してする。理由欄は選択で、自由記述ではない。ノコには悪いけど、"親のせい"なんていう選択肢はないんだな。

 宿題を続ける気配のないノコに階下から声を掛ける。
 「宿題やってさ、遅刻してでも行けばいいんじゃないの?」
 さて、遅刻してでも宿題を済ませる根性がノコにあるだろうか。
 諦めて、今日は欠席だろうか。
 耳を澄ませていると、ややしてノコの部屋のドアが開く音がした。
 どうやらかろうじて根性は残っていたようだ。

 おやつもしっかり食べてから、レッスンに向かった。
 1時間の遅刻。
 宿題の計画表には「今日のママはさいていだった」と書き殴ってあった。

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