駄々こね、駄々こねの帰り道。
#20231005-250
2023年10月5日(木)
「アイス、食ーべーたーい!」
児童相談所を出たところで、ノコ(娘小4)は頑と動かなくなった。
我が家から担当の児相までは遠くーー車があればそうかからないのだが、車がないのでバスや電車、自転車を駆使するーー今日はバス2台のルートだ。あまり運行本数がないので、乗り継ぎが微妙だ。1本目に乗り遅れると、2本目の待ち時間が長くなってしまう。
秋分の日も過ぎ、このところ日暮れが早くなってきた。
あんなに暑かったのに、朝晩は空気がひんやりと湿気を帯び、秋の気配を感じる。
「いつものバスに乗れないと、次のバスが遅くなっちゃうから。家に着く頃には暗くなっちゃうよ」
「なるわけないじゃん!」
児相へ通う際、ノコにお菓子袋を用意する。飴にビスケット、チョコレート、お煎餅などを入れている。片道1時間半かかる道のりが少しでも楽しくなるよう、いつものおやつより多めだ。
それでも、ノコはアイスを食べたいとねだり、手を引いても踏ん張り動かない。
お菓子をしっかり食べたので、今日の分はおしまいだと話しても動かない。
いつものバスに乗れないと、帰るのが遅くなると説明しても動かない。
帰宅したら、学校の宿題に夕飯、入浴とぎゅぎゅっとやることがてんこ盛りだ。
こんなところで時間を食っていられない。
そもそもアイスを買う時間はない。
反対に、いつもの1本目に乗れれば、2本目までの間に買うチャンスはある。
手を引いて、手を引いて、バス停が見えてきたところで、バスが発車してしまった。
30分、時間が空いてしまった。
こんなかたちでノコの希望を叶えるのは癪だ。私の気分だけではない。いくら今日が「特別だよ」といっても、ノコは次には忘れ、「このあいだは買ってくれたくせに」と非難するので極力「特別」を作りたくない。また駄々をこねれば叶うと学習させたくない。
それでもただ待つには30分は長い。
仕方がない。効き目がないと知りつつも「特別だからね」という台詞を口にしてから店に入った。
30分遅れで1本目のバスに乗れた。乗り継ぎが悪くなってしまい、2本目のバスまでまた30分待つ。スマートフォンでほかのルートがないか検索すると、日に数本走る市営のバスが5分後にあることがわかった。ただバス停がわからない。地図を見ながら、薄闇のロータリーを見まわす。
「ポテト食べたい」
アイスを食べ終えたノコがロータリーにあるファストフード店を見付けていう。
「お店見たら食べたくなっちゃったんだね。でも、帰ったらすぐお夕飯だし、今日のおやつはもう十分食べたよ」
「食べる」
「もう少しで出るバスに乗れそうだから、それに乗って早く帰ろう」
「食べる」
「お家からのおやつも食べたし、特別のアイスも食べた。今日のおやつはおしまいです」
「じゃあ、自分のお小遣いで買う」
バス停が見付からない。
「今日のおやつはおしまい。バスが来ちゃう」
「ママって、いじわるだね」
深いため息が出る。
人に尋ねてバス停にたどりつき、なんとか帰宅。
とっぷりと日は沈み、夜の暗さだ。ノコはわけがわからないという顔をしている。日が短くなっただけでなく、帰り道に2時間半。いつもより1時間オーバーだ。暗くて当たり前。
我が家に灯る明かりに気が抜ける。私たちより早く、仕事から帰ったむーくんが待っている。
まずは夕飯、それから入浴に宿題。
学校に、児相にとノコも疲れているのはわかる。
早く寝るためにテキパキもできないだろう。
さて、ノコの就寝は何時になるのやら。
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