【思考実験】アル中はコロナを撃退できるか?

 コロナ禍の世の中、巷では消毒のためのアルコールが溢れています。アルコールには殺菌効果があるというのは皆さんご存知ですが、もしかするとお酒をたくさん飲めばコロナも退治できるのでしようか。
 筆者が大学院まで6年間分子生物学を学んできた知識も活かしつつ思考実験していきたいと思います。

※念のためお断りしておきますが、これはコロナ対策にアルコール摂取が効果的という話ではございませんのでご留意ください。

なぜアルコールでウイルスを撃退できるのか

 ものすごくざっくり言うと、ウイルスは脂質とタンパク質、DNA (新型コロナウイルスの場合は RNA)で構成されているのですが、アルコールはタンパク質を壊す働きがあるため死滅させられるのです。
 ちなみにウイルスだけではなくバクテリアなどの微生物もアルコールで死んでしまいますし、我々人間がアルコールを飲む時も、実は胃の細胞などは大きなダメージをうけています(人間もタンパク質でできているので)。

いくらお酒を飲めばウィルスを撃退できるのか

 消毒用のアルコールは通常約70%のエタノール(アルコールの一種)入りで、濃度が下がるにつれて殺菌効果も下がっていきます。

 ※以下はウィルスではなくバクテリアや菌に対してのアルコールの作用の解説ですが参考になります。
アルコールと殺菌の話 - 花王

 新型コロナウィルスについても、脂質とタンパク質にダメージを与えるのには少なくとも20%のエタノールが必要だと仮定します。
 つまり、人間の体内の血中濃度の20%をエタノールにすればコロナ撃退できるのではないでしょうか?

 人間の血液は2リットルなので、ものすごくざっくり言うと、40%の焼酎を2リットル飲み、尿として水を2リットル排出すれば可能です。
 アルコールの致死量は1リットルあたり300グラム程度なのて、この場合400グラム程度になるのでアルコール過剰摂取で残念ながら死亡です。しかもこの濃度ですら最低限なのでウィルスを撃退できない可能性もあります。

結論。コロナより先に自分が死んでしまう。

 ということで、残念ですがいくらお酒を飲んでもコロナは撃退できないようです。静かにstay homeするほうが良さそうですね。

カエル

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