解放、新たな価値、ガイドライン…2021年のフリーランスを巡る3大トピックをまとめてみました。
新年あけましておめでとうございます。今年も「フリパラ」をどうぞよろしくお願いします!
2020年は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、フリーランスだけでなく、会社で働く人たちも働き方を大きく変えざるを得ない状況になりました。
年明け早々、一都三県の緊急事態宣言の再発令が行われようとしており、まだまだ自由に外出できる日は来そうにありません。今年もリモートワークの流れはさらに加速することになるでしょう。
そんな2021年はフリーランスにとってどんな1年になるでしょうか?
フリーランス協会・代表理事の平田に、2021年のフリーランスを巡るあれこれを聞いてみました!
「場所」から解放された個人が動き出す
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、リモートワークが一気に普及しました。
人々が「働く場所」から自由になりつつあることから、移住や二拠点居住を検討する人、実際に実行する人も増えているようです。
移動する人が増えれば、コミュニティにも変化が生まれます、
職場や地域のような「場所」を起点にしたコミュニティではなく、オンラインコミュニティも盛んになるでしょう。
こうして、どこでも働くことができるようになったおかげで、ワークプレイスは拡張されつつあります。
東京近郊に住んでいなくても、都内の企業の仕事ができます。また、自分の住んでいる場所から離れた場所の仕事を受けることもコロナ禍以前より容易になりました。
その先にある未来として、平田は2021年に3つのことが起きると言います。
①個人の流動化
複業してキャリアを分散したり、移動・移住したりする人が増えていく。
②チームのプロジェクト化
必要な時に、必要な人が集まって課題解決(そして解散)するような、プロジェクト型のチームが増えていく。フリーランスはもちろん、会社員もこの流れへ。
③組織のネットワーク化
社内と社外という「ウチとソト」の関係を超え、OB/OGから採用候補者まで、組織と関わったあらゆる人々を人的資産としてネットワーク化し、必要に応じてチーム組成・協業していく。
この3つの流れを受け止める中で、平田が強調するのは、「帰属意識は掛け持ちできる」ということです。
今まで会社員として働く人の多くは、一つの職場にしか帰属できないと思われてきました。「副業すると職場への忠誠心が失われる」という副業批判はその典型です。しかし、人はもともと家庭、母校、地域などさまざまなつながりのなかで生きていて、職場はあくまで複数ある帰属先の一つだったわけです。
今後はキャリアチェンジのたびに会社単位で帰属先を変えるのではなく、「この仕事に関わるためにフリーランスとして働く」「このプロジェクトがあるからこの会社で働く」と言うように、仕事単位でキャリアを選び取っていく流れが加速するのだとか。
「出戻り社員」を受け入れる制度を持つ企業は、国内では生命保険会社などで今までもありました。「従来は再就職支援や女性活躍との意味合いが強い制度でしたが、今後は流動する個人をいかに組織の人的資産として活用できるか、という文脈に変わってくるでしょう」(平田)
セカンドキャリアを真剣に考える人が増える年に
働き方に関する今年の最大のトピックは、4月に「70歳就業確保法(改正高年齢者雇用安定法)」が施行されることです。
従来は再雇用制度など65歳までの雇用確保が企業の義務でしたが、改正法では70歳までの就業機会確保を企業の「努力義務」としました。定年制の廃止や定年の引き上げ、継続雇用制度の導入といった社内制度の改正だけでなく、フリーランス選択者や起業した人へ業務委託するという制度を導入することでもその「努力義務」はクリアできるため、実際は70歳まで雇用延長するケースは少ないと見られています。
とはいえ、なんの事前準備もなく、65歳以降に突然フリーランスデビューや起業をするというのは現実的ではありません。今後は年金に頼らず生活するために、セカンドキャリアをどう作っていくのかが問われていきます。
実際のところ、今までと同じ条件で働き続けられる条件を出してくれるような会社はないでしょう。「働き甲斐や人とのつながりなど、給与や地位以外の部分にいかに価値を見出すことができるか、そのマインドセットが重要になります」と平田は言います。
自分のキャリアの棚卸しをしたり、学び直しを始めたりする人が増える1年になりそうです。
フリーランスの保護のガイドラインが明確に!
もう一つ大きな動きは、国がフリーランスとの取引ガイドラインを明確化することです。
昨年末に経済産業省、内閣官房、公正取引委員会、厚生労働省が「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を起案しており、今年3月末までにそれがまとまる見込みです。昨年2月に開かれた未来投資会議にて政府がフリーランスの働く環境整備の必要性を示し、昨年7月の「成長戦略実行計画」で掲げられたものが形になったというわけです。
このガイドラインは、独占禁止法、下請法、労働関連法令等に基づき、フリーランスに対する問題行為を明確化するために策定される見込みです。フリーランスにとって、こうした明確なガイドラインが国から提示されるのは初めてのことになります。
このガイドラインのポイントとなるのは「労働者性」だと平田は指摘します。
労働者といえば一般的には会社員やパート・アルバイト、派遣社員などですが、労働基準法上の「労働者」とは「使用者から使用をされ、労務に対して賃金を支払われる者」を指しています。ですので、フリーランスとして業務委託契約を結んでいる場合でも労働者性が認められれば労働法令の対象となります。しかし、これまでは労働者性の判断基準が、働く側にとっても採用する側にとっても分かりづらいという問題がありました。
たとえば、フリーランスでも、「使用従属性」(指揮監督下の労働なのか、報酬の労務対称性があるか、などが判断基準となる)がある場合は労働者性が認められますが、今回のガイドラインでは、どういった場合に使用従属性があると言えるのかという具体的な事例が明示されました。
これまで当然フリーランスだと思われてきた職種の中でにも労働者性が認められ、業務委託から雇用に切り替わり、労働関係法令の対象となるケースも出てくるかもしれませんね。
また、ガイドラインでは仲介事業者のルールにも言及しています。規約内容を一方的に変更し、仲介手数料を引き上げるといったケースもガイドライン違反となります。
自分のケースがガイドライン上で問題になるケースかどうかは分かりにくいため、気になる人は「フリーランス・トラブル110番」に連絡してみるとよいでしょう。
(参考記事)
2021年はフリーランスの環境が整う節目となりそうですね!
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