リスの庭だより|フランスの庭と暮らし

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スローフラワー|パリの魔法の花畑

 8月の暑い昼下がり、Pleinairプレンエール(野外、外の意)という名の、パリで最初のビオディナミの花のファームを見学に訪れた。メトロ駅テレグラフのほど近くにベルビル墓地があるのだか、なんと墓地の中を突っ切ると、その奥にファームへの扉がある。ちょっとびっくりする立地なのだが、扉の向こうには、さらに、魔法がかかったような花畑が待っていた。 小さなパリのオーガニック花畑 1200㎡ほどのこの小さなフラワー・ファームをたった一人で立ち上げたのは、日本人の母を持つというステキな

    • パリ、ノエル(クリスマス)後のもみの木の行方

      お正月がないフランスでは、年明けてからもしばらくはノエル(フランス語でクリスマスの意)のデコレーションが街を飾り続ける。ということで、1月初めはまだまだその華やかな余韻が十分楽しめる。 そしてその後、パリの街の所々で目に入るようになるのが、ごろごろとゴミに出されたクリスマスツリーのもみの木で、胸が痛む光景である。が、表紙の写真をよく見ると、これはゴミ捨て場ではなく、パリ市が市内170ヶ所以上に設けているもみの木再利用のための回収場所だ。 もみの木のリサイクル 何年も前から

      • エクスの画家、セザンヌがすごかった点

        天才ピカソが尊敬した近代絵画の巨匠ポール・セザンヌは、南フランス、エクスアンプロヴァンスの出身。人生の大部分を故郷エクスで画業に没頭して過ごし、アトリエで描いた静物画やサン=ヴィクトワール山の風景など、いずれも現代に向かって絵画を革新する作品を創出し続けました。これは今や教科書に書いてある絵画史上の偉業を成し遂げた凄さですが、今日は人間セザンヌのすごさについて考えたいと思います。 セザンヌは天才か?ではセザンヌは天才か?というと実はそうでもなかったのではないかと思います。初

        • リュベロンのエルブ・ド・プロヴァンス

           昨年から毎春手作りしている、ワイルドのエルブドプロヴァンスの話です。南仏プロヴァンス地方のなかでも、リュベロンの自然公園地域は、豊かな自然の中に昔ながらの石造りの村が点在する魅力的なエリア。それまでも時々訪れる場所ではあったのですが、縁あって昨年春のロックダウン期間数ヶ月をこの地で過ごすことになったのがきっかけです。 南仏プロヴァンスの春 南仏プロヴァンスは年間300日は晴天という、太陽の土地である。ミストラルが吹いて気温は低くなることもあるが、日差しは明るい。オリーブ畑

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        • パリの庭めぐり、おすすめガーデン10選
          4本
        • エルブ・ド・プロヴァンスのフランス家庭料理レシピ
          3本

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          プロヴァンス風ティアン

          引き続き、簡単なエルブドプロヴァンスを使ったフランス家庭料理のメモです。ティアン(Tian)とは、薄切り野菜のオーブン焼き、のようなものですが、これもシンプルながらも味わい深く、満足度高いです。 材料玉ねぎ、ナス、ズッキーニ、パプリカ、トマトなどと、好みでニンニク少々。塩、胡椒、オリーブオイルとエルブドプロヴァンス。 写真は直径30cmくらいの耐熱深皿の分です。 作り方・すべての野菜を薄い輪切りにしていく。 ・輪切りにした野菜を交互に耐熱皿にどんどん詰めて並べていく。ニ

          プロヴァンス風ポテトのオーブン焼き

          エルブ・ド・プロヴァンスを使った我が家の定番料理ご紹介メモです。 第一弾は、簡単なのに、老若男女問わずみんなに必ず大人気のプロヴァンス風ポテトのオーブン焼き。(とはいえ、特に男子受けが良いようにも思われます。)幅広く肉料理の付け合わせなどに使っていますが、そのままでおつまみにもなりそう。 作り方・小さめのじゃがいもをたて4等分のくし切りにする。皮は剥かなくてよい。量は、メインへの付け合わせとして500gあれば2-3人分でしょうか。 ・耐熱皿にがさっと移し、オリーヴオイル

          プロヴァンス風ポテトのオーブン焼き

          パリ植物園の庭に行こう

          パリっ子のお気に入りボタニカル・ガーデン 自然史博物館付属のパリ植物園は、17世紀のルイ13世の王立薬草園に起源をもつ、由緒正しい植物園。と聞くと敷居が高そうな気もしますが、カルチエ・ラタン地区のこの庭は、若者も子ども連れもお年寄りも大好きな、パリっ子たちの日常のお気に入り散策コースになっています。広大な敷地内には、様々な種類のガーデン・コーナばかりか動物園まであって、訪れる誰もがどこかお気に入りの場所を見つけられるような、懐の広さが魅力です。 格調高く、フレンチ・フォーマ

          フランス国立古文書館の庭に行こう

          人気のおしゃれ地区マレの隠れ家ガーデンパリでも人気のおしゃれ地区マレにある国立古文書館の庭、実はとっておきの隠れ家ガーデンです。国立古文書館(les Archives Natinales)というとお堅い印象ですが、かつての貴族の邸宅スービーズ館とロナン館をはじめとしたいくつかの建物を使っていて、現在では、建物の一部はミュージアムとして公開しており、古文書の閲覧でなくとも一般の人も見学することが可能です。 ロココ様式の室内装飾と現代の庭園デザインスービース館は、18世紀ロココ

          フランス国立古文書館の庭に行こう

          グランマのトマト・タルト

          この記事は再びロックダウン生活が続くフランスからお届けしています。レストランもカフェも閉まっているので、この数週間は自宅で料理することがほとんどですが、意外と困っていないというのが素直な感想です。 フランスの家庭料理の特徴というと大げさかもしれませんが、意外と簡単で見栄えがするものが多いのが印象的です。現在自分とパートナー、そしてロックダウンの間ひとりにしておくのは心配ということで、独り暮らしのシャンタルおばさんを呼び寄せたので、三人で台所を回しています。パートナーもシャン

          パリ、カルチエ現代美術財団の庭に行こう

          都市に自然を呼び込む、美術館のナチュラル・ガーデン パリのとっておきの庭のことを話そうとしたら、思い浮かんだのがパリ14区のカルチエ現代美術財団のガーデンである。ジャン・ヌーヴェル設計のモダンな建築でも知られているが、その建物と合わせて作られたナチュラルな庭がまた、いい。 ジャン・ヌーベルのガラス建築と緑の風景 モダンなミュージアムの建物を取り囲むガーデンの大通りに面した部分は、背の高いガラスの塀に囲まれている。透明のガラスの層、緑の層、そしてまたガラスの建物が重なるエント

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          ビュット=ショーモン公園に行こう

          パリっ子気分を味わいつつ、19世紀パリにタイムスリップビュット=ショーモン公園が位置するパリ19区は、中心からは少し外れているので観光やショッピングのついでには行きにくい場所です。逆に、パリジャン、パリジェンヌたちには根強い人気の週末の憩いの場。約25ヘクタールというパリで4番目に広いこの公園では、大きな池に洞窟や吊り橋などもある絵画的な風景の中を散策でき、パリの中にいるのを忘れてしまいそうなほど。ぜひ訪れてみたい庭園のひとつです。 19世紀パリの都市再開発とエトルタの風景

          ビュット=ショーモン公園に行こう

          グランマのガトーショコラふたたび!

          先日シャンタルおばさまのガトーショコラのレジピを紹介しましたが、今日はエデットおばさまからパートナーが伝授された「エディットのガトーショコラ」をシェアします。(秘伝レシピだからシェアするなと言われてるけど、備忘録を兼ねて。) 材料 | ・デザート用ブラックチョコレート 1枚(200g) ・無塩バター 200g ・白砂糖   200g ・卵     6個 ・小麦粉   大さじ2杯 作り方 | 1. バターを弱火で溶かします 2. 1)にチョコレート(砕いておく)を加えて溶か

          グランマのガトーショコラふたたび!

          大人も子どもも大好き!グランマのガトーショコラ

          フランスに暮らすようになって、ますます実感するフランス人と日本人の共通点、そのひとつは美味しいものへのこだわり、と確信している。(もちろん個人差はあると思いますが。)ということでフランスで出会ったリアルな家庭料理、簡単に作れて絶対美味しいレシピの忘備録です。 今日は夏休みにウチに遊びに来ていたシャンタルおばさんが作ってくれたガトーショコラ。これまで満足できるレシピが見つからなかったのだが、これは本当に美味しくて簡単で失敗がない。シンプルレシピの裏切らないガトーショコラです(

          大人も子どもも大好き!グランマのガトーショコラ

          花束もオーガニック| フランスのスローフラワー

           衣食住の選択肢にオーガニックが浸透して久しい。普通のスーパーにも必ずオーガニックの棚がある。そんな中で意外と見落とされてきたのが、切り花である。フローリストに季節関わらずに並ぶ端正な色とりどりのバラ。普通のバラなら価格もだいたい安定的だ。でもちょっと考えたら、そこに違和感はないだろうか。 遠く外国から輸入される切り花  現在フランスで店先に並ぶ切り花の8割から9割は、多くはオランダ、また遠く南アフリカや南米、など外国で生産され、運ばれてきたものだ。安い賃金の人手を用い、生

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          かわいいロココ、絵画の魅力

          ロココの絵画というとき、はっきりとしたイメージが思い浮かぶ人は多くないかもしれない。某パン屋さんの名前にもなっている、ポンパドゥール夫人とか「ヴェルサイユのばら」なら、知っている人も少しは増えそうだけれども。ちなみにポンパドゥール夫人はブルジョワ階級上がりでルイ15世の公妾となり、国費を湯水のように使って芸術文芸を保護し、ロココの最盛期を飾った人物だ。  (*ロココの語源についてはこちらへ→クリック) ほっと一息の開放感、ロココ時代の幕開け フランスでも随一の世界的観光名所

          フランスの庭づくり、家庭菜園が大人気

           夏のバカンスシーズンに突入したフランス。アフター・コロナといえども、フランス人はもちろんバカンスに出る。今年は田舎の家でゆっくり過ごすという人も多い。そして、今年はフランスでも庭づくり人気が再燃している。 庭づくりに回帰するフランス人たち コロナ禍での外出制限中、10人に6人、つまり半数以上のフランス人が庭仕事に勤しんだという調査結果がある。大きな庭も小さな庭も取り混ぜでではあるが、庭を持つこと自体は特別ではないライフスタイルの選択肢であると言っていいだろう。  都市部で

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