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幸福日和 #084「想定外を受け入れて」

「こんなはずではなかった」

昔はそんなことばかり考えていた気がします。

思わぬ病を患い、しばらく病室での孤独な時間を
過ごしていたこともあったし、
学校では複雑な人間関係の中でもがきながら
自分の立ち位置に迷ったりすることも。

会社員生活では、何日も徹夜をしながら
がむしゃらになって働いては、
これが幼き頃に描いた大人への憧れだったのかと苦しんだ。

また、自分で事業を始めてからは、
心無い人の数々の欺きにも悩まされ、
人を信用できないことも多々ありました。

「こんなはずではなかった」

「こんなはずでは、、、、」

そんな言葉を何度呟いたことでしょうか。

今となっては懐かしくもあり、
貴重な経験の数々ですが、、笑


✳︎ ✳︎ ✳︎ 


思えば日常の至る所に、
小さな想定外は潜んでいます。

締め切りに間に合うと思っていたのに
予想以上に時間がかかってしまったり、

国の政策の転換で、
事業の仕方を変えなければいけないこともある。
思いもよらない天災や災害に遭ってしまうことも。

「こんなはずではなかった」

その時、自分ができることといえば、
ただ悲観に暮れるのではなく、
「自分を変えていく」ということでした。

とりあえず、
想定外は素直に受け入れてみる。

何かのきっかけをいただいたのだと考えてみる。

✳︎ ✳︎ ✳︎ 

今になって思うことは。

年齢を重ねるにつれて、
「こんなはずではなかった」の
意味合いが大きく変わってるのかなということ。

昔は、後ろ向きな
想定外ばかりだった気がするけれど、
そうした一つ一つが
今では喜びの想定外に繋がっています。

思いもよらない出来事に苦しみながらも、
そうした想定外が新しい自分を気づかせてもくれる。

まさか自分が社会から離れて
この孤島で過ごす日が来るなんて思ってもいませんでしたし、
こうして記事を書き続けることになるなんて
まさに良い意味での想定外なんですね。

✳︎ ✳︎ ✳︎ 


いつだったか、
祖母と二人で、故郷の庭に梅の苗木を
植えたことがありました。

土を掘りながら、
祖母は昔の思い出も掘り起こすように
祖父との出会いについて語ってくれたんです。

祖父との結婚は大変なものだったようで、
当時、家柄も住む場所も違う者同士の
縁談に周囲は猛反対。
親戚中をも巻き込んでの
一大騒動になってしまったらしいんですね。

だから祖母は当初
縁談を断っていたのだそうですが、
結局は結婚することに。
まさに「こんなはずでは」だったのだそう。

それが、日々祖父に支えられながら、
そして毎日を重ねていきながら、
やがて父が生まれ、孫である僕も生まれるにつれて
喜びの「こんなはずでは」に変わっていったのだそう。

そんな祖母の話を聞きながら、
いずれ花を咲かせるであろう梅の花に
色々なおもいを重ねたものです。

苗木として植えられた梅の木は、
その場所を選べません。

どんなに想定外のことが起ころうとも
荒天にみまわれようとも、
ただただその全てを受け入れて、
その場所で花を咲かせることを全うしてゆく。

全ての想定外を受け入れて、、、。

今頃、あの梅は
故郷で花を咲かせているのだろうか。


この季節になると
あの時の祖母の話を、ふと思い出すんです。


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