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『なぜなぜ思考』から『なになに思考』へ

(このNOTEは3分で読めます。約2,400文字)
TOYOTAの『なぜ5回』に代表されるように、ビジネスにおいて『なぜ』と問いかけることは問題の本質を特定するための手段として重宝されています。

私が新卒入社したERPパッケージベンダーでは、クレドの1つとして『なぜなぜ思考』という言葉があるほど重要視されていました。

『なぜ』と問われたことがある方は伝わると思うのですが、『なぜ』を問われると『うっ』となりませんか?

『なんでできてないの?』とか『なんでこの結果になってるの?』と言われると、事象に問題があって自分に問題がない場合でも、なんだか自分が悪いことをしたように感じてしまいます。

このNOTEでは、『なぜ』に対するマイナスイメージを説明しつつ、『なぜなぜ思考』ではなく『なになに思考』を提案します。言い方を『なぜ』から『なに』に変えるだけでポジティブな側面を引き出すことができると思います。ぜひ最後まで読んでみてください。

✅1、『なぜなぜ思考』

『なぜなぜ思考』ができているか、ということが人事評価にも関わってくるほど重要視されていました。

『なぜなぜ思考』をすることによって、問題の『本質』『事実』『目的』をあきらかにする方法です。

例えば、あなたが新しい部署に配属されたとします。その部署では、毎週月曜日に部署内のデータを集計してエクセルにまとめるという業務がありました。あなたの最初の仕事はデータを集計しレポートを作成することです。レポートの作成方法はすでにテンプレート化されています。

この時、『なぜ、この業務をやる必要があるんだっけ?』『なぜ、この数値を出す必要があるんだっけ?』と『なぜなぜ思考』をすることによってその業務の『本質』『事実』『目的』を明確にすることができます。

もしかしたら、部署発足当初からとりあえずレポートを作っていただけで、そのレポートの内容は他のどの業務にも影響していないかもしれません。『なぜなぜ思考』によって『目的』が実は存在しない業務だったということが分かると、その業務をそもそもなくすという思考が生まれ業務効率化につながっていきます。


✅2、『なぜ』による心理的ダメージ

『なぜ』は確かに強力なツールです。うまく使うと『本質』『事実』『目的』をあきらかにすることができます。

一方で、私の業務経験上、『なぜ』は詰められている印象が強いです。タスクが期限までに完了しなかったとき、『なんでできなかったの?』『なんでその期限までにできるって当初判断したの?』などなど上司から矢継ぎ早にツッコミを入れられた経験があります。

過去のNOTEで書いたように、『人格』と『事象』を切り離すことができていなかったため、『うっ』と感じることが多かったかもしれません。

しかし、そもそもとして『なぜ』はネガティブな感情を掻き立てやすい質問でもあります。『なぜ』は、それが使われる状況が失敗などが起こった状況であることが比較的多いためネガティブなイメージがついてしまっているのかもしれません。


✅3、『なぜなぜ思考』から『なになに思考』へ

そこで、私は『なぜなぜ思考』ではなく『なになに思考』を提案したいと思います。

『なぜ』は、原因や理由を露わにする問いです。

それに対して『なに』は2種類の問いです。1つ目は、ファクトを露わにする問いです。『それは何ですか?』に代表される事象を明確にするための問いと言えます。2つ目は、『何をすべきだろうか?』という対策・行動を考えるよう促す問いです。

『なになに思考』が指すのは後者です。表面的なファクトを探るための問いとしての『なに』ではなく、『今後、何をすべきだろうか?』と未来に目を向ける『なに』です。

『なになに思考』は『なぜなぜ思考』を包含しています。『何をすべきだろうか?』と考えるときは、原因がなんであったかが前段として分かっていなければなりません。

問題解決は、①事象の把握→②原因の分析→③解決策の立案という①~③の大きな流れがあります。『なぜなぜ思考』が②原因の分析にフォーカスされるものであるなら、『なになに思考』は③解決策の立案にフォーカスした考え方です。問題解決に対して本質的な考え方の違いはなく、どこにフォーカスした言い方かという違いだけです。

しかし、『何でできなかったと思う?』と言われるよりも『何をすべきだったと思う?』と言われた方が精神的負担が少ないのではないでしょうか。

そして、『何でできなかったと思う?』はそのあとにどのみち『じゃあ、何をすべきだと思う?』という質問につながるので最初から『何をすべきだったと思う?』で良いと考えています。


✅4、書籍紹介

『なぜなぜ思考』がピンとこないという方には、細谷功さんの『「Why型思考」が仕事を変える』は、仕事において『なぜ』をどのように使っていくか分かりやすく解説しているためオススメです。

本の対象としては、ビジネスアナリストレベル、学生です。

細谷功さんは他にも『地頭力を鍛える』や『「具体」と「抽象」』を書いています。どちらも内容は普遍的です。こちらも対象はビジネスアナリストや学生だと思いますが。

どれも割と有名な本なので、読んでおくことをオススメします。


✅5、まとめ

解決策の立案にフォーカスすることと精神的負担の軽減のために、『なぜ』ではなく『なに』を使った『なになに思考』が良いのではないでしょうか。

『なぜ』とツッコまれると私のように心が『うっ』となってしまい、今後の対策など未来志向ではなく、原因・課題など過去志向になってしまう方も多いのではないでしょうか。『なぜなぜ思考』ではなく『なになに思考』を使ってみてはいかがでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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