【新卒採用】【ES】エントリーシートの『疑似相関』に注意

(このNOTEは2分で読めます。約1,700文字)
『学生時代に頑張ったこと』いわゆる『ガクチカ』を読んでみると、『○○という施策を実施したところ、××率が25%改善しました。』という類の記述が多いように思えます。

一見、課題に対して問題点を分析し、対策を講じて良い結果を得たように見えます。もちろん、実際にボトルネックを特定して適切な対策を講じている方もいらっしゃるのでしょうが、全員が全員そうではないと思います。

しかし、意識していなければエントリーシートに書かれている因果関係に疑問を持たず無条件に受け入れてしまいがちです。

このNOTEでは、エントリーシートにおける因果関係のようで因果関係ではない『疑似相関』について書きます。

✅1、『疑似相関』

『疑似相関』という言葉をご存じでしょうか?『疑似相関』は統計学において使われている言葉です。『疑似相関』とは、因果関係がないのにあたかも因果関係があるように見えることです。

例えば、図書館が多い地域は犯罪が多いというデータがあります。因果関係があると考えると、犯罪を減らすためには図書館を減らすという発想が出てくるでしょう。しかし、図書館を減らしても犯罪が減ることはありません。

図書館の数と犯罪件数には因果関係はありません。この裏に隠されているのは人口というキーワードです。図書館が多い地域は、人口が多い地域である傾向があります。人口が多い地域は犯罪件数が多くなる傾向があります。図書館の数と犯罪件数の裏には、人口という第三の変数が隠されているのです。

このように、一見、2つのデータに因果関係があるように見えて実は因果関係がないことを『疑似相関』と言います。


✅2、エントリーシートにおける『疑似因果』

『疑似相関』はエントリーシートに頻繁に現れます。例えば『ガクチカ』でサークルの会長を頑張ったというエントリーシートがあったとします。サークルの退会率を問題として感じて、○○に原因があると考えて、Aという施策を実施したところ退会率を25%減少させることができました。と書いてあったとします。

こういった形式のエントリーシートはあるあるだと思います。施策Aを実施することで、退会率を25%減少させたという説明は、一見、因果関係があるように思えます。しかし、実は、何も施策を実施しなくても退会率は減少していた、なんてこともあります。また、実は、施策Aの効果ではなく、別の方の人望で退会する人が少なかったのかもしれません。

エントリーシートは1質問に対して400~600文字程度であるため、限られた文字数の中で『疑似相関』を見抜くことは難しいです。面接で見抜くしかありません。

『疑似相関』を見抜くポイントは、その因果関係を評価したプロセスに注目することです。なぜそれが原因だと思って、なぜその施策が有効だと考えたのかを深掘っていくと、多くの場合、エントリーシートに記載した以外の原因や施策がある場合があります。

エントリーシートに記載した以外の原因も見つけることができており、さらに複数の施策も実施しており、複数の候補の中からエントリーシートに記載する内容を選んでいる場合は、『疑似相関』ではなく、因果関係がある可能性が高くなります。

しかし、原因が1つだけしか考えられていなかったり、施策が1つだけしか実施していないとなると『疑似相関』である可能性が高いです。学生時代に実施したことをそれっぽく書いているだけの可能性が高い気がします。


✅3、まとめ

『弊社では直近3年、営業活動に力を入れており、売上規模も直近3年10%ずつ拡大しております。』と言われたときなんとなく、営業活動が売上を上げたという因果関係を考えてしまいます。しかし、実際はその業界がそもそも右肩上がりだったりします。このように世の中『疑似相関』が溢れています。

それっぽい因果関係を作るという意味ではエントリーシートにも『疑似相関』が溢れています。『ガクチカ』における『疑似相関』を見抜く方法は、複数の原因や複数の施策を比較検討することができているか確認することです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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