斯くもすばらしき入院生活⑤
彼が自分から抜け出ている間に、じっくり見させてもらった彼の頬に広がるシミは、時の速さを私に思い知らせるが、彼の息子がこの部屋でその若さをふんだんにまき散らしたあととあっては、それぐらいがちょうどよいものに感じられる。私だけがひたとゴールに目を向けて走っているのではないと、安心させてくれる。
彼は皆平等に分け与えられている一日はそれほど長くはないということ、それに私の腕の弾力のなさといったものを時計の針や感触でもって直に確認すると、どちらに対しても不満足げな視線を向け、私