相続:親子になるか、他人のままか。
おひとりさま・LGBTsの方向けのお話しです。
【シリーズ 相続】
親とは違うということ。
最高の相続対策とは。
親子になるか、他人のままか。
親子になる。~養子縁組~
子が先に旅立つとき。~養子縁組~
子が親を見送るとき。~養子縁組~
すべてを遺せない?!遺留分について。~遺言~
最後のラブレターを書こう。~遺言~
前回もお話しした私たちが愛する人・大切な人に財産を遺す手段として、最も一般的なのが「養子縁組」と「遺言作成」となります。
他にもありますが、この二つで考えてもよいくらいです。というかこの二つをやるかやらないか、話し合って色々考えるだけでも大変です。
ざっくり
「養子縁組」は親子になって相続する
「遺言作成」は他人のままで遺贈する
と、捉えてもらえたらいいかなと。
養子縁組
養子縁組をすると、法的に親子になります。なので、相続の時も親子扱い=法定相続人となり、実親・実子と同様に相続できるわけです。実親実子と養親養子で相続税率が変わったりしません。全く同じ扱いです。
また、相続以外でも、税や社会保険の扶養家族、老人ホーム入居時の保証人、病院で医療行為を行う時の同意など親子として行うことができます。
遺言作成
自分の遺産の内、誰に何を譲るかを指示・指定するものです。誰に遺産を譲ってもいいので、他人を指定し財産を譲ることができます。遺言は基本的に相続に関することしか効力がありません。完全に他人のままです。
なお、配偶者・子・親以外への相続、遺贈時は相続税が2割加算されます。もちろん他人なので2割加算されます。またこの加算以外にも、相続税面で養子縁組より不利な面が多くなります。
上記だけを見ると、養子縁組は、相続はもちろん相続以外でもメリットが多そうと思われるかもしれませんが、私たちの場合はそうとも言い切れません。
それは、養親よりも先に養子の方が亡くなった時、揉め事が起こりやすいからです。
なぜ揉め事が起こりやすいのか
2つの親が存在する
前提として、遺産が相続できる法定相続人は、配偶者+1位:子→2位:親→3位:兄弟(最上位者が法定相続人となる)となります。
また、養子は実親と関係は切れず、親子関係を継続します。そのため養子には、パートナーである養親と実親の2つの親が存在することとなります。
養子が亡くなった時、法定相続人の内、配偶者及び1位の子はほぼいないでしょう。そうなると2位:親が法定相続人となります。
そう、パートナーである養親と実親どちらも法定相続人となるわけです。
ここでも存在を知られていないことがネックに…
遺産をどう分けるかは、相続人全員、ようは実親と養親で遺産分割協議を行います。この時、前回お話ししたように、パートナー家族と良好な関係性を築けていたら、実親が養親に有利になるような遺産分割に応じてくれたり、もしかしたら実親が遺産放棄してくれるかもしれません。
しかしながら私たちの場合、良好な関係性どころか…
存在すら知られていない可能性が非常に高い…パートナーの家族に紹介されることもほとんどないし、そもそもパートナー自身が家族にカミングアウトしている方も少ないだろうし(感づいてるかもしれないけど)。
そうなると、遺産分割協議ではじめましての初対面となるわけです。これ、実親からしたらまあいい気はしないでしょう。いきなり養親ですって現れるんですから、そりゃ揉めやすいわけですよ。
もっと揉めるかも…亡くなったパートナーに兄弟がいる場合
親よりももっと揉める可能性があるのが、実親も亡くなっており、亡くなったパートナーの兄弟がいる場合。
親は相続順位2位、兄弟は3位、というとは亡くなったパートナーの遺産は全て養親に相続されるということです。ここでも存在を知られていないことが大きな問題となります。
兄弟からしたら、自分が法定相続人と思ったら、突如養親が現れて、かつ遺産を全部持っていくわけです。法的には何ら問題ありませんが、人間関係がさらにこじれる可能性があります。
親子か他人かどっちにするかは自分達で決める
私たちにとって、家族との関係性構築は大きな懸念材料となります。こういう私たち特有の問題も考慮にいれながら、養子縁組、遺言作成等遺すためにどの手段をとるか決めなければなりません。
じゃあどの手段をとればいいの?!ってなると思いますが、それはあなたと遺したい方とでよく話し合って決めるしかありません。家族事情は千差万別、他人が勧めるもの、決めるものではないからです。
そこで次回以降、皆さんの判断材料の一つに活用していただけるよう「養子縁組」「遺言作成」+その他の手段も含めて、それぞれの特徴を中心にお話ししていきます。
私がお話しすることも参考にしてもらいながら、遺したい方と話し合いを進めていただければ幸いです。くどいですが、今の自分が将来のパートナーを助ける、愛情と思いやりをもって話し合いや準備を進めていってもらえたら嬉しいです。
最後まで読んでいただき、まことにありがとうございます。もし何かご質問等ありましたら、お気軽にコメントくださいね!!
快惺事務所では、同性パートナーや法定相続人以外に財産を遺すことについて、ご相談を承っております。ご興味ある方は以下のリンクから快惺事務所WEBまでお越しくださいますと幸いです。