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10代で私が起業した方法

「10代で私が起業した方法」に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

まずは、簡単な現状報告(2019.12.12時点)をします。

17才から起業の準備をして、18才の最後に起業して、19才でオリジナル商品を作りました。20才になってからは、引き続き「フォーチュンボックス」と自社オリジナルブランドの商品を、クラウドファンディングとECを中心に販売していくことで、事業を成長させていきました。

※クラウドファンディングについて具体的な始め方などは「クラウドファンディング実行前チェックリスト78」に詳しく書きました

メイン事業は、中身がわからない謎の箱「フォーチュンボックス」の通販と、全国のメーカーさんと会っているうちに見つけたユニークな素材を自分のアイデアでアレンジして販売するオリジナルブランドの商品開発、販売(BtoB含む)です。

テスト販売を繰り返して、実質約1年の期間での売上は約1,300万円になりました。2年目は行動をパターン化して年商は3,000万円になりました。

さほど売上金額を追求してきたわけではありませんが、自分としては悪くないと思っていますし、自分も何か意味のあることができるという自信が少し持てました。


ここには、過去の活動日記や個人的な日記をもとにして、主要な活動の記録と私の考えたことを綴りました。

もし、これから起業しようとする方にとって何かのお役に立てればうれしいですし、SNSなどでシェアしていただければ、このコンテンツを通じて私の事業を知っていただく機会が増えてありがたいです。よろしくお願いします。

※「27.ツイッターを始める」からは2019.12.12に追記しました


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.1.起業すると決める

中学を卒業後、生まれ育った新潟市を離れ、東京の製菓専門学校へ進学しましたが、すぐに中退して、フリーターとして居酒屋などでアルバイトをする日々を過ごしていました。昔から経営者になってお金持ちになりたい、飲食店を経営したい、という願望がありましたが、具体的に何をやったらいいかわからないまま、日々を漫然と過ごしていました。

17才の時、居酒屋のお客さんが「将来、やりたいことはあるんですか?」と聞いてくださり、「飲食店を経営したいです」と答えたことがきっかけで少しお話し、飲食店にこだわる必要がないということに気づかせてもらいました。

また、その人は「しっかり準備をして始めないと無駄な苦労をするから、本を読んだりして起業の勉強を始めてみたらいいのでは?」「将来と言わず、早めに起業したらいい」というアドバイスもくれました。「起業は簡単と思えば簡単だし、難しいと思えば難しい」「起業はきちんと準備すれば失敗しようがない」ということも教えてくれました。いくつもの事業を成功させている人が言うことですから、私などがその言葉を疑っても仕方がありませんので、その人の言うことを信じて本を読み始めることにしました。本を読んでも損はありませんし。

.2.できるだけ正しいルールで自分をコントロールする

どうせなら歴史を作るくらいの事業をしたいと思っていますので、早めに、できれば10代のうちに起業して事業を成功させていきたいと考えるようになりました。

そのために何をやればいいか、どのようにやればいいか、を調べていきました。やることは多いですが、無限にあるわけではありません。そのやるべきことが1,000個あるなら、1,000個すべて調べ上げて、優先順位とスケジュールを決めて、やっていくだけです。やらない理由はありません。実際には1,000個もありませんので、1年もあれば準備ができました。

初めのうちは優先順位も決められませんので、手当たり次第やっていく感じでしたが、やっているうちに、詳しくは後述しますが「お客様の喜びにつながることを優先する」というような基準が出来てきて、優先順位を判断しやすくなってきました。

ビジネスは、基本的には、何を作るか(仕入れるか)、どのように売るか、の2つだけのはずです。まずは、その方法(ルール)を調べていくことにしました。

わからないことは本などで調べつつ、「自分ルール」としてリストにしていき、迷ったときの判断基準にしていくことにしました。

本で出会ったノウハウはすべて、これは「何を作るか」のルール、これは「どのように売るか」のルール、「判断、行動全般」のルールというように仕分けしていきます。

たとえば、「事業にふさわしい人材の確保の仕方」などは現在のところ必要ないため無視して、必要になったときに新たに猛勉強してルールとして加えるつもりです。

インターネットや図書館のおかげで、いつでもノウハウが手に入るのですから、焦る必要はないと思います。

また、気づかないうちに「自分ルール」に反することをしてしまっているときもありますので、毎週土曜日の20時にスマホのアラームで「自分ルールをすべてチェックする」という文字が表示されるようにセットすることで忘れることはなくせました。

とにかく私には何の経営資源もありません。持っているものは、「体力(時間)」「やりたいことに向かう適度な行動力」くらいです。それを価値あるものと交換していく必要があります。体力や行動力にも限りがありますので、無駄なことをしている余裕はありません。

そのおかげか、今のところ睡眠時間もしっかりと確保できていますし、体力的につらいと思ったこともほとんどありません。

.3.事業内容を考える

起業するにしても、いったい何をすべきか、ということが大切だと考えました。間違ったこと、今やるべきでないことをやっても、事業としては継続的に発展していきにくいと思います。本で読んだ知識を元に、手がける事業の条件としては、やっていて楽しいと思えること、と、ほとんどだれもやっていないこと、に絞ることにしました。

私は気分屋ですので、やっていて楽しいと思えることしか続きません。また、ほとんどだれもやっていないことをして、極力競争に巻き込まれないようにし、ユニークなビジネスで世間の注目を集めることで集客面でも有利にしていきたかったのです。

ですが、いくらユニークな事業であったとしても、だれも求められないこと、役立たないことであれば、やる意味はありません。収益にもつながりませんし。

そこで、自分がやりたいこと、やるべきことと、人々がニーズを持っている部分がクロスしているところはどこかを探しました。

このときに役立った質問が「最近、どんなときに感動したか?」「人がうれしそうにしているのはどういうときか?」「人をうらやましいと思った瞬間はどういうときか?」というものです。

このような漠然とした質問だからこそ、可能性をもったビジネスアイデアの候補をリストアップすることが出来たと思っています。

そして、その答えを「そんな気持ちの人を増やすためにはどんなビジネスがいいか?」という質問によって商品やサービスとして具体化していきました。そして、「そういう気持ちの人はどこにいるか?」という質問によって、売り方、売る場所を決めていきます。

このような質問、考えるプロセスも、いくつもの本やネットに書かれていますので、参考にしました。あくまでも「仮説」として考えていけばいい、という言葉で気が楽になりました。「これだ!」ということを決めつけずに、柔軟に仮説を作っていけばいいと思っています。

既存の商品やサービスの内容を良くして差別化したり、既存ユーザーの不満を解決していくようなビジネスは、そこにライバル企業が存在することになるので、それらと戦うことになります。

それはお客様に比較されるということでもあるため、よほどブランドを確保してブランドだけで選んでもらえるようなケース以外は、常にある程度の優位性を確保していく、もしくは優位性を誇示していく必要が出てきます。私にはそんな能力はありませんし、そういった特定の業界での経験も不足しています。

私は、この段階で戦うことを避けることに決めていましたので、新市場を作るような、新しい商品やサービスを生み出せる事業を考えることに専念しました。

どの分野にも、新しいものを受け容れることに抵抗がない人々が一定数いるはずですので、そういう人々の支持を得られる可能性があるならば、まずは市場に新しい価値を問いかける意味はあると思っています。

このように書くと、いかにも思慮深いように聞こえるかもしれませんが、じつはもっと単純に「だれもやっていないことをやれば目立てる上に、市場を独占できる」と考えていただけ、というのが本音に近いと思います。

.4.「選ぶ必要がない通販」をやると決める

いざリストアップするとさほどリストアップできませんでしたが、私がリストアップした経験、体験のうち、友人宅に実家から仕送りが届き、それをうれしそうに開封する友人を見ていて少しうらやましいと思った経験から、「そんな人を増やすには?」「それと同じような喜びを届けるサービスは?」と考えるようになり、それが「何が入っているかわからない楽しみを届けるフォーチュンボックス」というビジネスモデルの原型になりました。

仕送りは何が入っているかわからなくても、わくわくすると思います。箱に入ったプレゼントをもらったときも似た気持ちになると思います。

そうなると通販事業についての知識も必要だということになり、その分野の本も一通り書店で眺めてみて、これはという本を買い、読み進めて、「自分ルール」に追加していきました。

また、既存のビジネスで類似のものに、書店の店長さんが本を選んでくれるサービスなどがあることを知って、少し調べてみたり、成功要因を考えたりしました。

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.5.KFSを決める

通販の本によると、通販で成功するには、良い商品を売って満足してもらうことが大切。そうすればリピートしてもらい、少しずつ収益率が上がってくる、ということが書いてありました。私も良い商品に出会ったらうれしいですし、リピートします。とにかく良い商品だけを見つけてきて届けようと決めました。

「何が入っているかわからない」というワクワクする気持ちだけが体験できる価値であれば、きっと飽きられてしまいます。お客様を驚かせるような、喜んでもらえる質の高い商品を探せることがビジネスの成功の鍵だと考えました。

つまり「商品によってお客様に高いレベルで喜んでもらうこと」をKFS(Key Factor of Success)に設定しました(用語の使い方が本来のものと違っていたらすみません)。

このKFSは、私の行動基準、自分ルールを決めるときの基準にもなっています。

たとえば、どなたかから「とりあえず一度会いませんか?」というお誘いをいただいた場合、「(KFSである)お客様に高いレベルで喜んでもらえる商品の獲得に直接つながるか?」と考えて、ほとんどのケースではお断りしています。

人に会うことで万が一のチャンスをつかめるかもしれませんが、確率的に低いので、よほど目的が明確なときだけ会うというシンプルなルールのおかげで限られた自分の時間や、基本的には一人でいることが好きな自分の精神的なパワーがセーブできていると思います。

その代わりに、KFSの実現のために時間や体力を使うようにしているつもりです。

繰り返しになりますが、資金も時間も体力も、何の余裕もない私が、無駄なことをしていてはだめなので、早期に起業をして事業を成功させていくために、こういう「自分ルール」はつくづく役立つと思いました。

なお、メディア出演などのオファーは積極的に受けさせていただいています。知らないメーカーに新規取引を依頼、商談を申し込むときには、メディアに出演させていただいている事実は絶対に有利に働くからです。また、お客様に事業の存在を知っていただくことにもつながりますので。

経営全般、資源の使い方などをできるだけ冷静に評価しコントロールする方法を手に入れるために「バランス・スコアカード」の入門書を読んだことがよかったと思います。まだ、使いこなせている自信はありませんが、よりどころの一つになっています。

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.6.売る物を探す(展示会に行く)

ユニークでお客様に高いレベルで喜んでもらえる商品を仕入れるには、まず多くの取り扱い商品の候補に出会うことが大切だと考えました。

そこで、知人の勧めで多くのメーカーが集う展示会に行くことにしました。一般に展示会に行くには、展示会のサイトから事前登録をします。それだけで私のような、まだ会社名もない者でも参加できるのですから、ありがたいです。

さっそく個人名や連絡先を載せた名刺を作ってもらい、いくつのも展示会へ行きました。
今でこそ、ほとんど緊張することもなく出店企業の担当者さんに声をかけることができますが、慣れないときは、買ったばかりの名刺入れから震える手で名刺を取り出し、本当に頭の中を真っ白にしながら名刺交換をしていました。

少ししてから、印象に残るように名刺に似顔絵を入れました。

また、展示会以外にも、地方のアンテナショップが東京に多数出店していますし、工業会などの常設展示スペースもあります。

商品のことを聞こうとすると歓迎していただけるときもありましたし、冷たく事務的に迷惑そうにあしらわれたときもありますが、おそらく私の準備不足もあったと思いますので、しっかり資料を準備して、下調べをしてから訪問するようにしました。一度作った自己紹介のための資料などは、他の商談などでも使えますし。

多くの商品の情報を集めていきましたが、ただ、片っ端から展示会に行くように、やみくもに情報を集めるだけでは漏れや偏りが出てきますので、できるだけMECE(モレなくダブリなく)に情報を集めるために、全国の物産のリスト作りのための参考書籍などを国会図書館で調べたりもしました。

図書館はマニアックの専門書以外にも雑誌や新聞のバックナンバーを閲覧することもできるので頻繁に活用させてもらっています。通う回数が増えるほど、求めていた本に出会うこと、情報に出会える確率が増えてきました。

また、わざと目的とは関係ない分野の本棚の前を通っているときに偶然いい情報に出会えることもありました。

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.7.会社名を決める

会社名がないと公式サイトも作れませんので、とにかく会社名を考えることにしました。私はボキャブラリーが貧困なので、白紙を目の前にしてもなかなか発想は出ませんので、ネットや本などで会社名の決め方、由来を調べたり、類語辞典などを活用しました。

そして、主力商品である「中身がわからない謎の箱」の呼び方(商品名)を、「幸運」「何が出るかわからない」というニュアンスが伝わる「フォーチュン」と、「箱」という意味の「ボックス」で「フォーチュンボックス」とする予定でしたので、それを生み出す「工場」として「フォーチュンファクトリー」としました。

会社名の決め方はいろいろあると思いますが、途中で変えられるものですし、あまりこだわらずにシンプルで、なんとなく親しみを持てるか、という条件を満たすものにできたと思います。

.8.公式サイトを作る

公式サイトを作りました。公式サイトを作るときの目的はこのようなものです。

1.何をやっているかわかるようにする(口頭で説明する時間を省く)
2.連絡先がすぐにわかるようにする
3.商談などのスタイルがわかるようにする(情報を多めに載せておき「とりあえず一度会いませんか?」というようなKFSにつながらない提案をいただくことを極力さける)
4.お客様や新規取引先への安心材料とする
5.その他、ちゃんと活動しているということをアピールする
6.自分の目標などがぶれないように記録しておく

とにかく事業内容を口頭で説明する無駄な時間を減らすために、できるだけの情報を公式サイトに書いておくことにしました。

ありがたいことに、商談の前日までにメールなどでお願いしていることもあり、ほとんどの取引先の担当者さんなどは事前に公式サイトをしっかりと読んでくださったりしていますので、話が早いです。先方の商品などについてのお話を聞く時間を多めに取ることもできています。

デザインとしてはありきたりでいいので、友人に安く作れないか相談して、自分で更新できるようにワードプレスを使用して作ってもらいました。

掲載する文章は私が書きますが、日本語がわかりにくい部分などを添削してくれる人も「クラウドワークス」というサイトなどで探して外注したりしています。

写真は撮影が得意な友人がいましたので出世払いで撮影してもらいました。

.9.「筋肉」を鍛える

私は語彙力や日本語の文章にものすごく不安がありましたので、そのことを知人に相談したところ「とりあえず書写すれば?」というアドバイスをもらいました。そこで、「現代用語の基礎知識」をとにかくひたすら書き写すことにしました。

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読めない言葉は調べながらですから、やたら時間がかかります。とにかく数百ページ、ひたすら手書きで書き写した結果、語彙力も増えましたし、商談時などに多様な話題に少しずつついて行けるようになってきたと実感しています。

また、メディアへの出演や人前で話すことを想定して、ボイストレーニングにも取り組んだりしています。有名な実業家は声をトレーニングしている人が多いように、声が相手に与える印象は重要だと思います。あくまでも気分転換レベルですが、今も続けています。

本来、事業のKFSに関係のない行動をしている暇はありませんが、このような「筋トレ」は、今後も効果が出てくると思っています。ただし、あまり過剰に時間をかけすぎないようにしたいです。理想は一言もしゃべらずに商品や事業のことを好きになってもらい、お客様の喜びが増えることかもしれません。

.10.財務面のルールを決める

それなりの規模でビジネスをするには財務面(ファイナンス)の知識がとても重要だと知りました。ですが、初歩の簿記もわかっていませんでしたので、最低限、事業を続けられるように、キャッシュフローが回るようにするための知識を勉強しました。

具体的にすべての経費を洗い出して、それから必要な売上を逆算しながら「最低ライン」を決めていきます。

最悪、アルバイトすれば生活はできますが、事業に使う時間の確保が難しくなりますので、生活費(固定費)を極力下げて、活動時間の最大化を図りました。

そこから、取り扱い商品を1つ獲得するためにかけていい経費も割り出して、出張の予定を組んでいます。

たとえば、1商品あたりの平均粗利が300円とする場合、30個売ることで9,000円の粗利が確保できます。1回の出張で交通費や宿泊費を合わせて35,000円かかるときには、4商品以上の取り扱い商品に出会う必要があるのです。ちなみに1つの「フォーチュンボックス」には5~8個程度の商品が入っています。

もちろん、それ以外に経費がかかりますので、「フォーチュンボックス」が30個しか売れないのであれば事業は継続できません。

ですが、このように収益のシミュレーションをするためには、こういう数字が必要になります。ただし、どうせ計算通りに行かないので、最低ラインを決めたら、あとは考えすぎないようにします。

少し実績ができて、お客様の満足度も含めて、事業に将来性があることが証明できれば、資金を融通してもらえる可能性も一気に高まるはずです。

現在は、10ヶ月先のキャッシュフローまで回せるようなシミュレーションが成立していますので、決して楽勝ということではありませんが、その最低目標を上回るために、日々、行動(仮説立案、資料作り、実行、検証など)していくだけです。

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.11.物産店でアルバイトを始める

少しでも取扱商品に近い商品の経験を積むために、浅草の物産展でアルバイトを始めました。

実際に店長に許可をもらって手作りチラシを作ってイベントに集客してみたり、お店の売り上げになること、勉強になることは何でもするつもりで働きました。

実際にちょっとした工夫で、ほとんど売れなかった商品が急に売れ出していく、という経験をしてわかったことは「お客様は買う理由を持っていそうで、あまり持っていない」ということです。

また、「絶対に買う」と決めているお客様は存在しますが、逆に「絶対に買わない」と決めているお客様はほとんどいないと思いました。ほとんどのお客様は、その中間で浮いています。そんなお客様の気持ちを、どのように「買ってみよう」側に引き寄せるか、ということが大切なんだと思います。

このときの店長さんには、初めてのクラウドファンディングのページに「推薦者」として登場していただきましたし、いろいろ教えてくださり、ものすごく勉強になりました。しかもお給料もいただけたことにも感謝しています。今でも展示会などで再会すると、心配してくださったり、私の事業の継続を喜んでくださっています。

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.12.商品を評価する

さまざまなリサーチ方法を使って、多くの商品に出会えるようになってきました。それらの商品をできるだけ客観的に評価するための基準を作りました。

まず、食品については「おいしい」「おいしくない」というようなあまいな表現で評価してしまうことを避けるために、あらゆる味覚表現を一覧表にしました。そして、その中から言葉を選んで、「試食結果ノート」に記録するようにしました。

具体的には168個の味覚表現を発見して、ひたすらカードに記入し、それらを「味」「食感」「香り」「温度」「音」「見た目」「その他」に分類し、組み合わせて、味の感想を言う練習をしました。

※「味覚表現一覧表」は公式サイトとnoteにて公開します

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他には「塩分に頼った味付けになっていないか?」「化学調味料に頼りすぎていないか?」というような基準もあります。

また、あくまでも商品の価値を決めるのはユーザーであるお客様ですから、「ユーザーにとっての価値基準(8項目評価)」で商品を評価することにしました。

具体的にはこのようなものです。

1. 新体験度
 新しい体験や五感の刺激、SNSでの話題性があるか、話のタネになるか
2.学び度
 それを使うことで知識やうんちくが増えたり子供と一緒に学んだりできるか
3. レア度
 限定品など入手困難な物か
4. チャレンジ応援・社会貢献度
 メーカーさんのチャレンジを応援するようなことや社会貢献につながるか
5. 実用性
 目的が明確で具体的な問題や悩みを解決するために役立つ商品か
6. 使いやすさ
 使いやすいか、特別な道具や調理器具を必要としたり、やたら大きかったり、重かったり、保管しにくかったりしないか
7. プレゼントしやすさ
 もし自分では絶対に使わない物であったときなどに他人にプレゼントしやすいか、その商品で喜んでくれる人が見つかりやすいか
8. お得度
 通常販売価格よりも安いか。メーカーさんの協力などで卸価格を安くしていただいたときなど。

そもそも、このような評価基準や商品情報を書き込むフォーマットのようなものが世間に共通のものとして存在していたら、そのフォームに記入するだけで、膨大な商品を一気に検索したり、比較できたりするというメリットが生まれます(カカクコムのイメージ?)。そのような商品検索するための専用の共通フォーマットが見当たらないので、自社で作ってみてもいいかと考えています。

.13.商品の価値を高める

商品の価値はユーザーが決めますが、その商品によってどれだけの体験ができるかがその評価の鍵になります。

そのため、たとえば「フォーチュンボックス」で取り扱う商品に調味料がある場合は、その活用方法をできるだけ多くするように考えます。

その中からときどき「メーカーも知らなかった新しい楽しみ方」が生まれるときがあります。

そのためには、とりあえずその調味料とあらゆる料理をマッチングしてみるようにしています。すると新しい味の可能性が生まれ、その味が「あり」となれば、その調味料の活用範囲が広がり、価値が高くなります。

あらゆる料理にその調味料を効率よく総当たりでぶつけるために、あらゆる料理名をリストアップして「料理名一覧表」を作りました。

※「料理名一覧表」は公式サイトとnoteにて公開します

こうして新しい可能性を自分で見つけて、メーカーに逆提案することで、当社と取引してよかったと思ってもらえるかもしれません。このようにメーカーにとってプラスの価値を与えることができれば、より安く仕入れさせてもらえたり、という具体的なベネフィットが返ってくるようになると思っています。

また、単純に1つの調味料の可能性が広がることは楽しいです。そんな新しい体験をお客様にしてもらえることで、なによりお客様に喜んでもらいやすくなります。

ほかにも、「フォーチュンボックス」には、商品のことをより深く知るための知識や豆知識を記載した「商品解説文」を同梱していますが、おかげさまで好評です。

「選ぶ必要がない通販」「出会いのドキドキを楽しめる通販」だけではなく「学べる通販」というコンセプトも掲げていますので、今後も、多くの人の知恵を借りながら、商品解説文を充実させていきたいです。

.14.地方に出張する

地方出張は、メーカーの工場や生産者に直接会えるので楽しみです。

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旅することは、東京にじっとしていてはわからないことを知る、という十分なメリットもありますが、やはり、わざわざ経費と時間と体力を使って訪問するからには、他の成果も欲張りたいところです。

そこで、その地方の新聞社やテレビ局などのメディアを回って、その地域にまつわる商品を取り扱うときにはニュースにしてもらえるようなPR活動もしています。そのことで、その地域の他のメーカーにもアプローチしやすくなると思っています。今のところ、こういうPR活動の成果は確実に出ています。

深夜バス、飛行機、新幹線やローカル鉄道などだけでは訪問しにくいところもあるので、SNSなどを通じて、わずかな謝礼で運転手兼カメラマンになってくださる地元の方を見つけたり、これから移動手段の工夫が必要です。自動車の免許もそのうち、と考えています。

ここまでの活動で、ひたすら時間を無駄にしないことを意識して勉強し、できるだけ商品情報を集め、出かけていくという日々ですが、成長実感もあり少し先も見えてきて、かなり充実しています。

こういう活動を継続するためにも、わずかな経営資源をきちんと集中して顧客価値を最大化していきたいと思います。

.15.初めての商談をする

展示会で出会ったメーカーの担当者さんと後日商談をすることになりました。「商談の仕方」のような本などで予習をしようとしても、「事前にカフェに入っていて良いのか?表で待つのか?」「先に飲み物は頼んでおくべきなのか?」「カフェのコーヒー代はどちらが負担するのか?」という超基本的なことまでは書かれておらず、戸惑いました。

緊張しながらも、先方のお気遣いなどに助けられながら、とりあえず無事に商談が進み、取引していただけることになりました。

このとき役立ったのが「想定問題集」です。事前に自分なりにどんな質問をされるかを想定して、答えを決めて書いておく、というものです。

事業内容などは公式サイトに書いてありますし、もし聞かれてもその情報に即して回答すればいいだけですが、それ以外のオープンにできない内容への質問などへの回答文は事前に準備しておきます。

「それは応えられないですけど」「少し考えてメールで回答してもいいですか?」というような答え方を知っておいてよかったです。

また、若いから馬鹿にされたときにどうするか?パワハラ、モラハラ、セクハラのような言葉を言われたときにはどうするか?というようなアクシデントへの対応方法としては、「そんな失礼な人とは一生付き合わなくて良いから、断ったらいい」という知人のアドバイスが役立ちました。実際にはそういう失礼な言動をされる人には出会っていませんが。

.16.クラウドファンディングの準備をする

いよいよ「これを売りたい!」「これは全国の人々にもっと知って欲しい」と思えるような商品に出会うことができ、「フォーチュンボックス」に入れる商品の候補も増えてきました。

以前から国内のあらゆる「販売チャネル」をリストアップして自分なりに検討した結果、クラウドファンディングを通じて販売するのが一番いいのではないか?という考えに至っていました。

クラウドファンディングの企画やページ作りなど、まったく初めてでしたので、とにかく国内で買えるすべての「クラウドファンディング入門書」を読みました。

また、それだけでは情報不足を感じたので、いくつものクラウドファンディングのプロジェクトページを見まくり、気づいたことはすべてメモしていきました。成功したプロジェクトの共通点、失敗しているプロジェクトの特徴などを理解していきました。

★それらをチェックリストにしたものを編集して「クラウドファンディング実行前チェックリスト78」としてまとめてnoteで公開していますので、よろしければご覧ください。

フォーチュンボックスを予算内で発送できないといけませんので、日本郵便に見積もりをもらいました。ちなみに、後日価格改定でこの見積金額が上がったこともあり、1回目のプロジェクトは成功しましたが、利益が出ないどころか赤字という結果になりました。

プロジェクトを実行するクラウドファンディングサイトは主要4サイト(CAMPFIRE、Readyfor、Makuake、Aport)に絞り、順次、時間をもらって実際に訪問してお話を聞くことにしました。各社、それぞれ特徴があることもわかりました。

具体的に動き出したのは、あと2週間で19才になる、という時期でしたので、どうせなら18才のうちに起業してクラウドファンディングを成功させておきたい、という気持ちになり、少し焦っていました。

そんな中、「Aport」の担当者さんとあったときに感触がよかったので無事掲載できそうだと安心していたら、後日「フォーチュンボックス」の「何が入っているかわからない」という特徴を理由にプロジェクト掲載を断られました。

このとき勉強になったのは、商品を売るときの法律(景品表示法など)のことだけではなく、支援者の皆さんに与える不安も大きいので、それをどのようにして安心してもらえるような情報に代えてプロジェクトページなどに掲載する必要があるということでした。

そこで、プロジェクトページに次のような「約束」を掲載することにしました。

<フォーチュンボックス 7つのルール(約束)>
・ルール1「ありふれたものは売らない」
・ルール2「品質実感が難しい、品質が低いものは売らない」
・ルール3「自己満足で熱くなって冷静になったら後悔するようなものは売らない」
・ルール4「自分が知らないだけでみんなが知っているものは売らない」
・ルール5「理由もなく売れ残りや在庫処分品は売らない」
・ルール6「法律違反や公序良俗違反になるものは売らない」
・ルール7「宗教や思想、個人的趣味が強いものは売らない」

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また、私自身が「フォーチュンボックスとは何か?」ということを説明した動画も作成して掲載することにしました。

結局、同時並行で問い合わせをしていた残り3社のうち、「CAMPFIRE」さんが短期間で審査してくださり、18才のうちにクラウドファンディングがスタートできることになりました。

18才の最後、2017年11月のことです。

.17.クラウドファンディングが成功する

CAMPFIREに掲載し、いよいよ明日からプロジェクトが公開されることになりました。

1年間準備してきてここまで来たけれど、一体どうなるんだろう?成功したらいいな、24時間後の今頃は一人でもいいので支援者の人が現れてくれているのかな、などと思いながら、今までにない気持ちで、明るい月を眺めながら夜道を歩いていたことをはっきりと覚えています。この不安と期待の気持ちをしっかり覚えておこうとそのときに意識していたからです。

告知する相手もほとんどいないので、知り合いからの支援は見込めませんでしたし、運を天に任せるような気持ちでした。

緊張しながらプロジェクトを公開してしばらくすると、はじめの「支援されました!」メールが届きました。まったく知らない人からの支援でした。

その後も、あまり間を置かず支援してくださる人が増えていき、24時間で最低目標金額を上回り、順調に支援者数が増えていきました。

心からよかったと思いました。同時に責任感のような気持ちも出てきました。18才でこんなことやっていいのかな、というような。

メルマガや話題のプロジェクトとして取り上げていただけたこともあり、約20日間という短い期間にもかかわらず、最終的には362名の方々に「フォーチュンボックス」を購入いただくことができました。そのうち知り合いは4名だけでした。

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「知り合いに買ってもらえるようにすることが成功のポイント」と書いてある本がほとんどでしたし「お互いに購入しあって人気を演出するべき」という意見もあった中で、知り合いがいない、SNSのフォロワーも10名未満という自分にとっては、快挙だったと思います。

年が明けて「CAMPFIRE AWARD 2017特別賞★灯火賞」を受賞させていただきました。この報告をいただいたときは、さすがにそこそこうれしかったです。

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また、他のクラウドファンディングサイトさんでも順次プロジェクトを掲載しました。

ほとんど同じプロジェクトを複数のクラウドファンディングサイトに掲載させていただくことで、それぞれのサイトの特徴や攻略法?のようなものもわかってきました。

.18.大量の発送ミスをする

初期のプロジェクトは前述のように送料がアップしたことや仕入れ価格が想定よりも高い見積もりになったことなどから、「売れれば売れるほど少しずつ赤字が増えていく」という状態ではありましたが、リターンの価格を上げるなどして利益を確保しつつ、順調にいくつかのクラウドファンディングプロジェクトを成功させていきました。

そんなとき、500名以上のすべての支援者さんへの「フォーチュンボックス」に商品の入れ忘れをしてしまい、改めてその商品だけをすべての支援者に送らなければいけなくなったときがありました。

私が送った初期のお詫びメールに不備があったせいもあるのですが、「あなたのしていることは債務不履行ですよ」「甘く考えているのではないですか?」といった、きつい言葉でのお叱りもいただきました。

私のせいで、さらに支援者様を混乱させてしまうということにもなり、未熟さを痛感しました。

ときどきニュースなどで大企業がクレーム対応を間違って逆に消費者の信頼を失ってしまう、というようなことが報道されていますが、あれが自分のこととして降りかかってきました。

幸い同梱し忘れたものは封筒で送れるサイズの商品であったため、最低限のダメージですみましたが、せっかくの黒字が帳消しになり、さすがに情けなくなりました。

ですが、「気にしないで良いですよ」「いろんなクレームがあると思いますが、切り替えて頑張ってください」「少数者の声に振り回されて夢を失わないでください」「これからも応援します」という、ありがたい声もクレームよりも数多くいただけて、救われた気がしました。自分がそのような立場になったら、同じような言葉を投げかけたいなと思うようにもなりました。

お叱りいただくこともありがたいですし、どちらの声もすべて糧にして、発送体制を見直すことができ、結果としてたいへん勉強になりました。

.19.いろんなフォーチュンボックスをテストする

大小様々なミスもありましたが、1年間で、6つのクラウドファンディングサイトを利用させていただき、さまざまなテストをすることができました。

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自信作だった辛い物ばかりが入っている「フォーチュンボックス【辛い物スペシャル】」などは自分が想定していたよりも売上が伸びませんでした。

父の日のプレゼントにいいと思った「父の日スペシャル」、地元新潟のものばかりを集めて、新潟に行きたくなる自作パンフレット(商品解説文)を同梱した「新潟スペシャル」や、「糸魚川大火災」からの復興を支援するための「フォーチュンボックス」なども、自分が事前に期待していたほどの大きな支援をいただくことはできませんでした。

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ですが、1年間で、コンセプト、中身の魅力の伝え方、ページ作り、ストーリーの組み立て、プロジェクト実施期間、商品構成など、やりたかったパターンをほとんどテスト出来たと思っています。

そして、いわゆるユーザーインサイトの新たな仮説や、気づかなかった新たなノウハウを手に入れることができました。

また、魅力的な商品のストックがなくなってきたこともあり、少しの期間、フォーチュンボックスの販売をせず、商品をストックしていきました。

.20.自分以外の経営者に会う

「何でも勉強なので、だれにでもどんどん会うべきだ」という意見もあると思いますが、私自身が持っている経営資源は限られているので、人に会うことをできるだけ避けるようにしています。

ですが、メーカーの社長や、クラウドファンディングサイトの社長、上場企業の社長など、経営者として学んだりすることがありそうな経営者には会いたいと思っています。やはり経営者として成長したいので、見習えるような要素を持っている経営者に会うのは得られるものがあると思っています。

そもそも人の能力を見抜いたり、評価できるほど、私は能力が高いわけではありませんので、このように「属性」によって会う人を選んでいます。

また、テーマや課題を持たずに会うこともしないようにしています。

結果として、この1年間で、メーカーの社長さんなどを除いて、実際にお会いしたのはVC(ベンチャーキャピタル)の創業者さんや、CAMPFIRE社長でエンジェル投資家の家入一真さんや、Readyforの米良はるか社長など数名です。短時間で濃い情報や印象、勇気を与えてもらうことができました。

自分で会社を上場させたこともあるVCの創業者さんは「(極端な話)自分より年上の経営者は全員、あなたをだまそうとしていると思って付き合ってください」というアドバイスをくださいました。

何百社もの企業、経営者に投資してきた人の言葉ですから、しっかり記憶しておくようにしています。

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.21.メディアに出演する

メディアに出演するおもなメリットは次の通りだと思います。

1.認知度が高まり、お客様や取引先が増えることにつながる
2.信頼度が高まり、メーカーさんとの取引がしやすくなったり、購入を検討してくださっている方の不安が少なくなる
3.自己分析のきっかけになり、自社の影響力や世間から自分の事業はどのように見られているか、が把握できる

もちろん、撮影や収録などに時間がかかる、情報が不必要なところにまで広がる、といったことによるデメリットもあります。

ですから、あくまでも慎重にはなりつつも積極的にメディア出演できるように、プレスリリースの配信や番組などへの情報提供などを継続的に行っています。

おかげで、すでにいくつかの番組や記事に出演させていただいていますし、効果も実感しています。

私個人としてはそんなに出たがりではないのですが、事業のため、と考えたときには「出させていただきたい!」というスイッチが入るようです。

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.22.東神楽町フェアを開く

ご縁があって、北海道東神楽町の物産を調べに行きました。町長に面会させていただき、「東神楽町のアピールをよろしくお願いします」と言われたことを真に受けて、ご縁があった「無料食堂」などで何かと話題の奈良の有名とんかつ店「まるかつ」さんにて「北海道東神楽町フェア」を実施させていただくことになりました。

手作りイベントですが、東神楽町の皆さん、まるかつの皆さん、広告代理店の人も手伝ってくださり、地元メディアやYahoo!NEWSに掲載されるなど、それなりの結果が出ました。まるかつさんのお客様も増え、大成功だったと思います。

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この写真を見ると、まるで中心メンバーのように思われるかもしれませんが、私が出来る範囲はまだまだ小さく、本当におんぶにだっこで、準備していただきました。

まるかつさんとは、私が展示会で探してきた面白い食材をまるかつさんに提案して採用されたことがきっかけで、金子店長からは、時々「こんな食材はないですか?」「こういう企画をしてもらえませんか?」というように相談していただいています。

現在は、まるかつオリジナルレトルトカレーの企画をお手伝いさせていただいています。

東神楽町とご縁をいただいたことで、自治体の魅力を伝えるための「フォーチュンボックス」の販売や飲食店とのコラボなど、広告代理店さんに教えてもらったこともヒントにしながら、私ができる範囲を少し広げて実績を積むことができました。

ただし、あまりに業務範囲を広げると本業が進みませんので、経営資源を集中させることを忘れず、自治体や飲食店とのコラボなどは、かける時間と収益性などのバランスを見ながら進めていきたいです。

.23.自社オリジナル商品を作る

自社オリジナル商品を作るのは比較的簡単になってきました。たとえば、スマホケースをオリジナルで作りたい場合は「スマホケース OEM」「スマホケース オリジナル」などと検索すれば、製造してくれる工場などがすぐに見つかります。

もちろん、作れば必ず売れる、というものではありませんので、慎重になります。

私の場合、あるメーカーの担当者さんから「数百個以上まとめて発注してくれるなら、オリジナル商品を作った方がいいのでは?」という提案をもらったこともあり、自社オリジナル商品の企画を真剣に考えるようになりました。

また、ヒット商品をいくつも作っているメーカーの社長さんには「はじめて自社商品を作るときは、とにかく一度作って、小さく成功や失敗をすることが大切」ということを教えてもらいました。

そこで、さっそく「商品開発」の入門書を読んだりして、決めるべきこと、やるべきことを把握していきました。

私がメインで販売する「フォーチュンボックス」は、何が入っているかわからないことが特徴ですから、乱暴な言い方をすると「何を入れてもいい」ということです。もちろん、KFSに反して、お客様の質の高い喜びにつながらない商品を入れてしまうと、お客様を失望させることになり、二度と購入してもらえなくなります。

そこで、今回、新しい商品を作るために、私は、質は高いが今までにないものを作ろう、と考えました。ある一定の品質を超えていたら、少々変わったものの方が「フォーチュンボックス」を購入してくださるお客様の期待には応えられると考えました。

そこで、同じ商品カテゴリーの中でも、はっきりとした品質実感がある「出会ってよかった」と思ってもらえるような商品に絞ることにしました。

そうして誕生した「五感プレミアム」というシリーズの商品は、現在は「新変形タオル」という今までになかった形状のタオルのみですが、発売後、想像していた以上に喜んでいただける方がいらっしゃり、さらに良くしようと、こちらにも改良を加えているところです。

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メーカーの人の知恵と、私のアイデアを足して、これからもオリジナル商品を生み出していく予定です。そして、近いうちに、ヒット商品を世の中に出せればと思っています。それを繰り返しているうちに、いつかだれもが知る超ヒット商品を生み出すことが数年以内の目標の一つとなっています。

もちろん「フォーチュンボックス」自体が超ヒット商品になることも狙って行動しています。

.24.コンテンツを公開する

2018年末に準備をはじめて、2019年からはこのnoteとツイッターでコンテンツを発信していくことを「私がやること」に追加しました。

コンテンツを発信することで影響力を拡大すれば、メディア出演機会も増えると思っています。

また「フォーチュンボックス」というものの可能性に興味を持ってくださる方と、実際に購入してくださる方のセグメント(ターゲット属性)が近いと思ったこともあります。
ただし、コンテンツ発信の分野でも先行者が大勢いますから、普通のやり方をしても競争や戦いが待っています(そうならない方法もあるのでしょうが)。また、必要以上に時間を取られるのも本末転倒です。

あくまでも私の時間は商品探しなどに使って、その成果として「お客様に質の高い喜びを提供」すべきだと思っているからです。

ですから、このような方針を立てました。

1.数は少なくても、特定の人々にしっかり役立つコンテンツを作る
2.自分がまとめてきた日記やチェックリストを活用して、記事を書くための時間を最小限にする
3.やるからには発表した後の結果を定期的にチェックして「自分ルール」を増やしていく

今読んでくださっている記事こそ、そのコンテンツの一部です。お役に立てていましたらうれしいです。

.25.現状課題を振り返り、今後を考える

昨年(2018)夏頃に、「事業モデルのフレームワーク」を使って、自社の事業を振り返り、次のような課題と目標をリストアップしました。

・自社商品をヒットさせ、収益性を高める
・他社とのコラボを実現させる
・今以上に、メーカーさん商品のPRをできるようにする
・コンテンツ発信、メディア出演を増やしていく
・フォーチュン通販(謎の通販)を新しい市場として拡大、定着させる
・その市場が「成長期」に入る前に、自分がその市場のリーダーの経営者としてふさわしい知識を持つ

 「より多くのお客様に優れた商品、ユニークな商品との出会いを通じて、質の高い喜びを提供していきたい」

これらの課題をクリアし、目標を実現していくことは難しくないはずです。あくまで冷静に、自分でやりきれる作業だけに手を出すようにして、やるべきこと、集中すべきことを見極めて、達成していきたいと思いました。

.26.10代で起業するメリット、デメリット

20才になったときの私が考えた「10代で起業するメリット、デメリット」をリストアップしましたので紹介します。

メリット
・大人と比べたら気楽、守るものがさほどない
・「10代」というだけで注目してもらえる
・利益を出さなくても馬鹿にされにくい
・(実家暮らしなら)家賃や食費がかからない
・人付き合いが少ない
・徹夜してもそこそこ平気
デメリット
・何をするにも親の保証などが必要
・社会経験がなさすぎる
・周囲に大人の知り合いが少ない
・失敗してもいいという気持ちになりやすい
・軽く見られやすい
・すぐに止めるだろう、熱しやすく冷めやすいと思われている
・だまされやすい
・やたらアドバイスされる
・年上の人にあこがれやすい

どの世代にもあてはまるようなメリット、デメリットは省略したつもりです。いずれにしても、これらはあくまでも私の主観です。10年後にはもっと違うことを言っているかもしれません。

結論としては、10代で起業することはメリットの方が大きいと思います。ですが、「とにかく起業」ではなくて「とにかく準備」の方がいいと思います。

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それがベストかどうかはわかりません。何度も言いますが、あくまでも私の考え方です。

(ここからは2019年12月に追記しました)

.27.ツイッターを始める

2019年に入って、開設したままほとんど運用していなかったツイッターを本格的にスタートさせました。

インフルエンサーと呼ばれるようなタレント化した存在は目指す必要はありませんので、目的は情報発信と存在感を高めることです。

まずは、いわゆる反響が大きい他人のツイートなどを研究して、自分なりに成功するための仮説を立てました。

そして、「自分ならどういうツイートをする人をフォローしたくなるか」という基準で、自分自身がツイートすることにしました。

さらに、ツイートするのは1日に0~3ツイートくらいまでとして、その分、質にこだわって、オリジナリティーがあって、新しい視点や役立つ情報を提供することに決めました。

結果として、数千~1万いいね!程度のいわゆるバズるツイートも1年間で5回ほど経験することができ、2019年末の時点でフォロワーさんは7,000名を超えました。

想定していなかったツイッターのメリットとしては、それなりに存在感が示せるようになると、各業界のスペシャリストにちょっとした相談が気軽にできる、という情報収集の面があることに気付きました。

いずれにせよツイッターに取り組んだ結果は悪くないと思っています。きちんと仮説を立てて、検証していったことがよかったと思います。しばらくはツイッターでの発信にも上限時間を決めた上で、取り組んでいきたいと思っています。


.28.クレーム対応を合理化する

「フォーチュンボックス」は1回企画するごとに500~900個がコンスタントに販売できるようになってきました。

多数のお客様にお届けすることになった結果、クレームやご意見もいただくことが増えました。

大半は、改善のためのヒントをいただくようなものなのですが、

的外れなものも多く、たとえば、
「社会ではこういう風に振る舞うべきだ」
「若いから許されると思っていませんか?あなたの誠意は何ですか?」
「21才だから慎重さが足りない」
などと、私が若いことに対するクレーム?もいただいたりすることもあります。

理不尽なクレームにいちいち精神にダメージを受けないように、クレーム対応はパターン化して対応すると決めています。「心を込めて」と理想論をいうのは簡単ですが、度を超したクレームに心を込めていると疲れ果てます。

具体的には、対応メールのひな形を活用して、それをベースにある程度機械的に返信します。

また、一人で抱え込まないように、外部のライターさんに「こんな文面でいいですか?」「こういうクレームは、何が目的でどう理解すればいいですか?」などと相談したり、「このクレームへの返信文を書いてください」とお願いするようにしています。

もちろん、クレームをヒントに改善点が見つかることもありますので、反省したり、いただいたヒントはきちんと検討し、活用させていただくことが誠意だと思いますので、そのようにさせていただくことも多いです。

どうしてもストレスになるときは、クレームよりも多くいただける励ましやお喜びいただけたご感想などに目を通して、ストレスを消すようにしています。

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そして、私自身がクレームするときがあれば、よほどひどい扱いを受けたときなど以外は、あくまで理性的に最低限の要求をし、相手の改善のヒントとなるような意見をするに留めたいと思っています。


.29.委託先メーカーとのトラブルが起こる

某メーカーさんにオリジナル商品を作っていただきました。

工場も見学させてもらいましたし、試作品を作るまでは非常に調子よく商談できて、小ロット(少ない製造数)でも対応してくださり、好印象でした。そして特にトラブルもなかったのですが、納品に問題がありました。お客様からのクレームもいただき、結果として、相当数の返品・交換が発生しました。

そこで、そのメーカーの担当窓口でもある社長さんに電話したところ、「うちがそんなミスをするはずがない。そんなことを言うならもう坂内さんとは取引しない!」と一方的に言われて電話を切られてしまいました。

「え?大人の世界ってこんなことが頻繁にあるの?私が若輩者だからなめられているの?世間の会社はどうしているの?」
と、怒ると言うより戸惑いました。

もしかしたら、以前に私自身が無礼な振る舞いをしたのかもしれない、何かミスをしているのかもしれないと冷静に反省もしてみましたが、やはりシンプルに根本的な原因はメーカー側にあるとしか思えません。

翌日は電話に出てくれて、ミスを認めてくれて善後策を話しました。

その後も、返送時の費用負担拒否や試作品費用の追加請求などが続きましたが、訴訟するほどの金額ではないですし、貴重な時間や体力をそんなことに使うくらいなら、他のことをしたり寝ていたいと思いましたので、一刻も早く取引を終了させて「勉強代」として損切りしました。

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知り合いの経営者さんに相談などしてアドバイスももらいましたが、「商品売買契約書」のようなものを事前に作成しておくべきだったと思いました。

私は数字目標は事業継続できる最低ラインのキャッシュフローとしてだけ設定していますので、「数字のためならストレスだって…」と精神的に無理をするようなことは避けることができます。

そして、こういうことが起こっても「損切り」することでストレスや時間の浪費といった二次被害の発生を回避できることが本当に大事だと思います。


.30.Tシャツの自社ブランドを立ち上げる

Tシャツの自社ブランド「タグのないTシャツ」シリーズを販売することにしました。

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出張などしていて、「ホテルで手洗いしても翌朝には乾いているほどの速乾性がありながら、見た目の上質さもあるTシャツ」が欲しかったのですが、そのような自分が欲しい機能を満たしたTシャツで手頃な価格のものがなかったため、そこにニーズがあると考えました。

そして、独自に作ってしまった方が早いと考えて、本などを参考に、縫製工場や生地メーカーさんなどに相談しながら、製造することにしました。

まずは、テストマーケティングとして、クラウドファンディングで需要や品質実感のしてもらいやすさなどを探ることにしました。

こういうときにもクラウドファンディングサイトは便利ですし、私には、クラウドファンディングのプロジェクトをすぐに立ち上げられる外部の制作チームがいてくれますので、最低限の労力とコストで動けますし、自分自身は企画や取材などに専念できます。

さて、弊社のようにブランド価値がない場合、それ以外の要素でTシャツのユーザー価値を左右するのは「いかに高品質な生地を使えるか」だと考えてました。

つまり、製造コストや販売コストのうち、「極限まで生地代の割合を高める」ことが成功要因になると考えました。

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一定の売上げとその後の反響を見ると「いけるのでは?」くらいの感覚を得ることができました。新たな可能性や課題も見えてきました。

今後、1~2年の間にしっかり製造できる体制を整えて、少数の在庫を確保しながら安定的に販売していける定番商品にしていくなど、アパレル事業として確立させていきたいです。

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.31.BtoB事業を開始する

BtoB事業として、商品の卸販売や企業のノベルティーとしての食品などを製造販売する事業を始めました。

これは「フォーチュンボックス」で出会ったメーカーさんとのご縁で、顧客を成長企業に限定して、ノベルティー製造を提案したことから始まった事業です。

私は珍しい商品、高品質だけど無名の商品に絞って探していますので、その分野ではそこそこの商品リストを持っています。

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それらを「高品質ノベルティー」として成長企業に提案します。

成長企業は自社の製品やサービスレベルの高さを連想できるような高品質なノベルティーを好むと考えました。

実際に、成長企業には成長企業ならではの悩みがあり、その悩みの解消につながる提案であれば積極的に受け容れてもらいやすいと実感しました。

少しずつですが実績を増やすことができ、また納品後の満足度も高く、まとまった数のリピートオーダーもいただけるようになりました。

現状、BtoB事業の営業は紹介を中心にしていますし、すぐに積極的に拡大するつもりはありません。しかも、自社の持つ商品リストを活用していますし、ほぼリピートしていただけるため、利益率は低くても収益効率は悪くありません。

その企業の目指す方向や顧客から支持される理由などをヒアリングして企画しますので、ストーリーから外れないノベルティーを提案できていると自負しています。

ノベルティー業界も行き詰まった業界かもしれませんが、まだまだ突破口はあると感じています。

今後、もう少し実績を積んで、
「他社になくて、ストーリーがあって、シャレが効いたギフトやノベルティーならフォーチュンファクトリーに相談だ」
言ってもらえるような提案がしていける自信が出来てきたら、本格的に事業として展開できたらと思っています。

.32.事業を拡大させると決める

1年目は手探りで年商1,300万円、2年目は約3,000万円までと、企業としての規模を拡大することができました。

これは私一人の事業ですし、生活できるレベルの収入を確保出来ていますので、悪くないと思っています。

何より、事業を拡大させる準備が整ってきたと実感できたことがうれしいです。

事業を拡大させると決めた、その根拠を列挙します。

1.主力商品の定期化
 いろんなパターンで不定期に発売していた「フォーチュンボックス」の企画、発売を年に3回(特別版は除く)に定期化し、限定することでレギュラー業務が増えて、考える時間を使わなくなり、その代わりにお客様の満足度を高めるための商品探しなどの業務に集中できるようになった。

2.既存事業のノウハウでBtoBへ展開
 BtoC(小売り)のために集めてきた商品を、成長企業に限定したBtoB(卸売り)事業へと活用、展開した。営業せず紹介に限定しているためロスなく受注するなど、時間をかけないため、薄利ながら収益率を保ちながらリピートオーダーがいただけることがわかった。

3.外注パートナーの確保
 自分一人で行っていた梱包、発送業務を外部パートナーに委託できた。また、クラウドファンディングのページ制作などの業務も「いつものやつ、お願いします」みたいな感覚で依頼できるようになった。

4.稼働時間を約半分に短縮
 上記1~3の実施によって、初年度から2倍以上の年商を実現しながら、私自身の稼働時間は実質半分程度になった。

5.一定レベルの顧客満足度を維持
 いずれの事業もリピーター様の数が増えた。KSFとしている「お客様の喜び」を維持できていると実感できている。

6.自社オリジナルブランドのテストマーケティング実施
 今後は収益性を高めるために、粗利率が低い仕入れ商品を販売する「フォーチュンボックス」だけではなく、高収益が狙える自社ブランド商品のテストマーケティングを実施し、成功できるかもしれないという感触を得た。


ひとことでまとめると、お客様の満足度向上や売上アップに直接結びつかない施策や活動は外注化し、自分で発見してきた成功パターンをなぞった仕組みづくりができたと思っています。

余った時間で、多くの選択肢の中から、今後の事業拡大(スケール)の方向などもしっかりと考えることができます。

選択肢としては、こんなパターンがあると思っています。

1.このままのペースで拡大していく
2.外部の資金を入れて拡大スピードを上げる
3.提携先を見つけ拡大スピードを上げる
4.拡大はそこそこに勉強時間を確保し知識を増やし、次の進路へのヒントを探る

ノウハウを元に水平展開もできますし、工業製品として扱えるような、つまりある程度量産できるようなヒット商品を作り出すための勉強もこれからしていくつもりです。

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.33.最後に

私は17才の後半に起業すると決め、約1年間の準備期間を使って、18才の最後に起業しました。

年商3,000万円と言えば、企業規模としては弱小もいいところですが、スケール(拡大)できる余地がある事業だと思いますし、経験値に裏付けされた自分の実力の伸びも実感していますので、特に焦ってもいません。
ちなみにこの「実力」というものもあやふやなので、自分なりに数値化して公式化しています。その数値が確実に大きくなってきているため、起業家としての実力は上がってきたと思っています。

しかし、まだまだ経営というものを語る資格はなくて、これから勉強していくことばかりだと思います。

そんな私のような未熟な者は「起業してはいけない」のではなく、「未熟な者でもできる方法で起業すればいい」ということだと思います。

世間ではどうやら「起業は難しい」というのが一般論のようですが、私は「起業は簡単だ」と思っています。

簡単だと思えるまで準備してきましたし、うまくいかないときは何かを変えるチャンスだと思っていますので、ほとんど落ち込むこともありません。

また、起業は精神論でなんとかできるほど甘くはありません。材料がそろっていなければいくら腕のいい料理人でも、精神論ではいい料理は作れません。むしろ、精神論は起業には邪魔だと思っています。

お客様は口では「応援しています」と言ってくださるかもしれませんが、プロダクト(商品やサービス)の質が期待を下回ったりすれば、すぐに離れていくと思います。それほどシビアで厳しく、ある意味、ものすごくフェアに私たちの事業を評価してくださる存在です。

だからこそ、私はプロダクトを磨き上げることを楽しまないといけないと思っています。私の場合は、「フォーチュンボックス」を購入してくだった方を驚かせつづけなければいけないのです。

そして、驚かせる自信を持ちたいがために、限られた営業利益の中から、交通費などをしっかりかけてでも日本全国、どこへでも行き、メーカーさんに会って、「これをお客様に送ったら、驚かれるだろうな」「きっと、うまっ!と言ってもらえるにちがいない」と思える商品を探し続けます。

上記の商品探しこそが、私のメイン業務であり、そこにつながらない仕事はすべてサブです。

おこがましいですが、これから起業する人には、しっかり準備して、ひたすら材料をそろえることが大切で、その材料リストは、今のところ、こういった記事を参考に自分で作っていってほしいと思っています。

それと、顧客の価値につながるメインの仕事(プロダクト磨き)とサブの仕事(それ以外)を明確に区別して、時間の使い方をコントロールできるところが起業家の自由さだと思っています。

長々と書きましたが、当初の目標であった「私自身が起業を考えたときに読みたかった記事」としては合格点レベルの記事になったかと自負しています。

私が起業してから応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。この感謝を忘れず、これからなにかしらもっと大きなことを達成していきたいと思っています。

ご参考にしていただけましたら幸いです。

フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。