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クラウドファンディング実行前チェックリスト78

フォーチュンファクトリー代表の坂内綾花です。

私は18才の終わりに、何が入っているかわからない謎の箱「フォーチュンボックス」の販売をクラウドファンディングサイトにて開始してから、約1年間で合計5つのクラウドファンディングサイトを活用し、約1,400万円を売り上げることができました。

起業も含め、まったくの未経験でしたので、さまざまなクラウドファンディングサイトに掲載されているプロジェクトを数百件以上眺めて、自分用に気づいたことをルールにしていきました。

実際にはプロジェクトを始めてからわかったことも多いのですが、仮説と検証で、よりプロジェクトの成功確率を高めていったつもりです。

このチェックリストは2017年11月に作成し、公式サイト( https://www.fortunefactory.co.jp )で公開したものを改編して、解説文を足したものです。

これら78のチェック項目はあくまでも自分用に作っていますが、多くの人に役立ててもらえる自信はそれなりにありますので、こちらでも公開することにしました。

クラウドファンディングに挑戦する新規参入者が増えて市場が広がっていく方が、自社の事業にとっても追い風になると考えています。

このような考えから、自分のノウハウを公開しますが、クラウドファンディングについての個別のご質問やご相談は基本的には受け付けていません。お問い合わせは公式サイトのフォームよりお願いします。

また、もしこの情報がお役に立てたり、もし気に入ってくださったら、SNSでシェアしていただけたりしましたら幸いです。
(2019.01.14)

全体の項目(もくじ):
<プロジェクト全体の企画> 21項目
<プロジェクトのページ制作> 30項目
<プロジェクトのリターン・期間など> 21項目
<プロジェクト開始後(納品・広報など)> 6項目
<最後に>

<プロジェクト全体の企画>

1.プロジェクトの名前は適切か?

 プロジェクト名はたいへん重要ですので、悩む価値があると思います。ただし、迷ったときは、多くの支援を集めているプロジェクトの名前をヒントに、それを自分のプロジェクトに置き換えてみるのもいいかもしれません。

 私がプロジェクト名をつけるときは、このようなことに気をつけています。

1.何をやっているかわかるか?
2.影響やベネフィットがイメージできるか?
3.関心事や関係があることだと思えるか?

 関心をもってもらう必要がない人の関心まで引こうとする必要はないと思います。また、ターゲットを絞る必要があるといわれることが多いですが、必ずしもそうではないので、むやみにターゲットを絞って、支援してくださる可能性がある人の数(母集団)を減らすのはもったいないと思います。

2.クラウドファンディングでやる意味はあるか?

 プロジェクトオーナーも、支援するユーザーも、どちらもが、クラウドファンディングっぽいよね、と納得できる方が成功しやすいと思います。「いかにもクラウドファンディングらしさ」というような雰囲気があるプロジェクトは、支援する人も参加しやすいと思います。

 また、クラウドファンディングの特徴の1つは「公開」するということにあると思います。なのに、身内で盛り上がっている様子ばかりを「公開」されても、それでは「クラウドファンディングとして公開しながらやる意味」が薄れてしまい、ユーザーとの心理的な距離が縮まらないはずです。

 「クラウドファンディング以外にもっと他にいい方法があるのでは?」と思うような人への説明は十分にできているか?ということを考えるといいと思います。

3.今やる理由は充分か?

 お金を支払ったあと、どのようなものができあがるのか?具体的にイメージできた方がいいはずです。ですから、あまりにも未完成な状態でクラウドファンディングを始めると、イメージが出来ず、支援を見送るユーザーが増えると思います。

 私はプロジェクトのスタートまで1年くらいを準備しました。ページ作成はそろえていた材料をもとに1週間くらいで一気に作成してしまいましたが、写真素材などは1年間をかけて、しっかりと集めていきました。

 慌てず、慎重にしっかりと準備をした方が、成功確率が上がると思います。

4.支援をもらう前の自助努力は充分か?

 自分でできる努力をしないで、すべてを頼ろうとしても、おそらく支援してもらえる確率は少ないはずです。

5.商品やプロジェクトの内容はわかりやすいか?

 何が言いたいのかわからない、説明不足のプロジェクトは失敗しやすいはずです。10~20秒あれば「興味の無い人にも理解され、興味を持ってもらえる説明文」を練り上げてみるといいと思います。

 また、文章、写真、動画、イラスト、マンガなども使って、同じことでも繰り返し伝える努力をした方がいいでしょう。

6.商品やプロジェクトの価値は充分か?

 内容は伝わったとしても、ユーザーが受け取れる価値があまりにも低ければ、支援をされにくいと思います。寄付型では貢献実感、応援したいという欲求を満たす、といったことも価値になります。

7.夢や志、チャレンジ要素があり、共感できたり応援したりしたくなるか?

 応援したくなる夢を持っている人はそれを伝えていくと有利になります。

8.実現可能性、堅実さは感じられるか、夢や志が大きすぎてあきらめモードになっていないか?

 たとえば、「タイムマシンを開発したい!」というプロジェクトを初めても、あまりにも荒唐無稽で、支持されないと思います。

 あまりにもゴールが大きくて遠いときは、段階別にクラウドファンディングを進めていけばいいと思います。

9.プロジェクトに信頼性、実在イメージはあるか?

 私の場合は「坂内綾花って実在するの?」「本当にフォーチュンボックスは送られてくるの?」と疑われるだろうと思ってました。

 そのため、バイト先の店長などにお願いして、応援コメントをもらったり、写真を撮ってもらって、できるだけ顔出しをして、不安を払拭するようにしました。

 また、事前に公式サイト内にブログを立ち上げて、活動日記を公開することで、準備をしている様子を写真付きで紹介して、実在していることをアピールしました。

10.お得さはあるか?お金を出すだけの価値はあるか?

 価格への納得度、お得さがある方が多くの人に支持されるはずです。「最初の20個は特別割引価格」というような限定感を出してもいいと思います。

 「自分だったら、この内容のプロジェクトに納得してお金を出したいと思うか?」という視点で考えてみるといいと思います。

11.支援することで一石二鳥的な要素はあるか?

1.わかりやすいメリットがある(物質面)
2.応援できる、役立てる(精神面)
3.お得

 というような条件を複数同時に満たせるプロジェクトは支援されると思います。

12.友人やSNSなどで話題にしやすいか?

 SNSなどで、こんなプロジェクトを応援したよ、と言いたくなるような要素があればいいと思います。そのためには、少ない文字数で端的に特徴を表し、しかもインパクトがあるようなキャッチフレーズやキーワードを探すべきです。

 私の場合、キーワードは「謎の箱」「中身がわからない」「学べる通販」などです。今のところ、ウケはいい方だと思います。

13.使うのに必要以上に時間を取られたりしないか?

 参加したり、購入した後、それを活用するのにあまりにも労力がかかるようなものは敬遠されるはずです。できるだけユーザーの負担を減らす工夫をしてみる必要があると思います。

 逆にその負担を売りにするプロジェクトも検討できるかもしれませんが。

14.使うタイミングが限定されすぎていて買っても使えない、参加できないのではないか?という不安に答えられるか?参加できなかった人へのフォローを検討したか?

 「応援したいけど、欲しいリターンがない(活用できるリターンがない)」という状態になっていないか、ということです。

15.ブランドイメージや販売実績などは魅力的か?

 ブランドイメージがあれば、安心感につながりますし、場合によっては優越感などにもなります。販売実績もあればあるほど、きっと安心してもらえます。

16.どういう人にぴったりかすぐに答えられるか?

 通販サイトなどで「こんな人にぴったりです」というように紹介されている内容です。直接的に「こんな人へ」と書かなくても、写真などで想定しているターゲットユーザーをイメージしてもらうことはできます。

17.支援したり、使ってはいけない人を把握しているか?(未成年、アレルギーなど)

 私の場合、プロジェクトページに「フォーチュンボックスには食品も入っていますが、アレルギーがある方は、パッケージの成分表示などをご確認ください」というような注意書きをしています。

18.アフターサービスへの不安、フォロー不足の不安はないか?

 責任の所在をはっきりとさせ、アフターサービスがあった方が安心して購入できるはずです。

19.次回や今後のプロジェクトのことも考慮しているか?

 連続性を売りにして、ユーザーを巻き込んでいくなど、今後のプロジェクトのことも考慮してリターンなどを設計すべきだと思います。

 一回きりのプロジェクトだとわかっている場合は、あえて「今回限り」という限定感をアピールすればいいかもしれません。

20.一晩寝て起きた後も、そのプロジェクトを支援しなければいけない理由は充分と思えるか?

 熱くなってプロジェクト内容を決めてから、一晩おいて、もう一度確認してみたら、「あ、ここはやり過ぎだな」「これは過剰だな」「もしかしたらユーザーから見たらあやしいかも」というように、冷静に評価しなおせるはずです。

21.クラウドファンディングサイトを慎重に選んでから決めたか?

 私は国内主要クラウドファンディングサイト5サイトを利用し、それぞれに規模の違い、特徴があることがわかってきました。

 クラウドファンディングサイトによって得意分野がありますので、検索して「どんなプロジェクトが集まっているか、成功しているか」などを調べていくといいと思います。
 主要なところでいうと、あくまでの主観ですが、こんな特徴があります。

1.CAMPFIRE…グルメ、グッズ、イベント、社会貢献など幅広い。審査が柔軟で早い。
2.Readyfor…社会貢献、SDGs関連が多い。
3.Makuake…最新グッズやグルメなどが強い印象。宣伝力も強力。

 ちなみに、朝日新聞社が運営する「A port」は、「何が送られてくるか公開されない場合は販売できない」という理由でプロジェクトの実施を断られました。

プロジェクトのページ制作

22.タイトル、概要は内容がイメージできたり、自分に関係があると思えるものになっているか?

 クラウドファンディングサイトによっては、タイトル以外に「概要(100文字以内)」などを記載する必要があります。慎重に冷静に考えて、わかりやすく魅力的に伝わる内容にすべきです。

23.「~ではありませんか?」「~とは思いませんか?」「~していませんか?」などの問いかけ、語りかけているか?

 問いかけには、人の興味を引きつける効果があります。何を問いかけるか、共感できるようなことを問いかけられるか、が鍵です。

 この問いかけが弱いときは、もしかしたらプロジェクトのコンセプトや見せ方、リターンの設定を再考する必要があるのかもしれません。

24.支援者様が不安になりそうなことは、その不安を払拭(ふっしょく)するために補足やフォローを入れているか?

 複数の人に読んでもらって、「ここがわかりにくい」「ここが不安になる」など、批判をしてもらった方が良いと思います。

25.よく似た商品との違いや優れている点があることを説明しているか?

 「既存の類似品でいいじゃん」と思われたら絶対に購入してもらえないわけではないですが、やはり既存品との差はあった方が、わかりやすいです。

 しかも、その差はユーザーのメリットに結びつくものでないと意味がないはずです。ユーザーが求めていない過剰スペックは持て余す心配につながり、逆に支援されにくくなると思います。

26.思いもつかない活用シーンを提案したり、その商品を使っている姿をイメージできるか?

 新しい体験ほどイメージしにくいはずです。

 イメージするのを助ける文章、写真などは積極的に活用すべきだと思いますが、動画については、よほど上手に作らないと、かえって商品価値を低く伝えてしまうケースが多いと思います。「面白そうだから動画を見たら、なんかつまらなそうだから、今回はパス」となるようなケースです。動画は見るのも面倒ですから、無理に用意しなくていいと思います。

27.機能や仕組みの説明が中心になっていてストーリーが不足していないか?

 ストーリーには「関心がない人をも引きつけるパワー」があるそうです。たしかに、ドラマなどは、関係がない人の人生のお話ですが見てしまいます。

 私の場合は「最初はこうだった→なのでこうした→そうしたらこうなった→結局こうなった」というような定型のストーリーを活用しています。

28.プロジェクトオーナーの思い、何をしたいのか明示できているか?

 私の場合「メーカーさんのチャレンジを応援したい」「選ばないで買うという新しい流通パターンを作りたい」という野望を明記しています。

29.支援者様への配慮を忘れて自己満足になっていないか?

 実際に研究してみると、友人などに「義理で購入」させているプロジェクトみたいなものが多くある気がします。「つきあいが悪い人、ケチな人」と思われたくないので、とりあえず無難に「下から2番目」のリターンあたりを友人にたくさん支援されているようなケースも多いです。

 きちんと支援者のメリットなどを用意して、義理で買ってくれた人であっても、応援してよかったと思えるようにすることが大切だと思います。

30.同じことだと思っても繰り返し丁寧に伝えているか?

 繰り返し伝えることの効果は大きいので、同じようなことも何度も言ってもいいと思います。

31.どう思ってほしいか、どういう行動をしてほしいか明示しているか?

 で、何をすればいいの?と思われないように、「ぜひ、応援してください!」など、遠慮せず明確にお願いした方が伝わると思います。

32.たとえ支援してもらえなくてもプロジェクトページを読んでくださった人に読んで損した、だまされたというような気持ちにならないように配慮しているか?

 コンバージョンレート(アクセスに対する支援率)は1~2%もないそうです。私のプロジェクトでは10%に迫ったときもありました(知り合いがほとんどいないのにも関わらず)。それでも残りの90%の人は支援してくれなかった、つまり、その人にとっては「読んだ時間分だけ損した」とも言えます。ですから、せめて、だますというようなことなく、「こんな人、こんな考え方があるんだな」というような情報をきちんと掲載していくようにしています(自己満かもしれませんが)。

33.一緒に参加したくなるような勢いや元気は感じられるか?

 勢い、元気、熱意というようなものを伝えるには文末に「!」を増やすといいと思います。あとは「カメラ目線でユーザーに呼びかけるような写真」も大切だと思います。

34.第三者の評価、客観的な評価はあるか?

 私の場合、バイト先の店長やバイト先で知り合った他店の店長などに出演していただき、応援コメントをもらいました。また、実際に「フォーチュンボックス」を購入してくださった人の生の声を掲載しています。

35.メディアで紹介されたことを活用しているか?

 「メディアで紹介されました」というのは、よほどの有名なメディアでないかぎり、さほど効果がないように思えますが、少しは安心感につながると思います。メディアの影響力を過小評価もしくは過大評価せず、活用できないか検討してみるといいかもしれません。

 私のプロジェクトや私のビジネス、私自身をメディア(テレビ番組、ネットメディア、全国紙の地方版、地方紙、ラジオなど)で紹介していただいたことはありますが、それによって(今のところ)劇的に購入者が増えることはありませんでした。ですが、無視するほど効果がないわけでもありません。

「よほどの全国区のキー局のテレビ番組で、しかもゴールデン枠以外は集客効果はないよ」とある企業の広報担当者さんがおっしゃっていましたが、それは本当だと思います。

36.情報は正しいか?誤字脱字はないか?

 誤字脱字、数字のミスなどは信頼性を損ねますし、本気度を疑われますので、注意しています。

37.誇大広告になっていないか?

 誇大広告は問題外だと思います。また、通販のノウハウ本などには、無理にネガティブな要素をポジティブな言葉に変換するような手法も紹介されていますが、ユーザーを裏切るのは当然おすすめできません。

38.あやしいものはあやしいと誠実に伝えられているか?

 あやしさをごまかそうとするより、あやしくてすみません。と認めてしまった方が、「わかってるじゃん」「正直だな」と理解してくれると思います。

39.サイズ、重さ、原材料、耐久性、安全性、快適性などは充分説明できているか?

 知りたいスペックが載っていなかったり、探しにくければ興味を失う人も多いと思います。

 スペックは表などにまとめてわかりやすく掲載しておいた方が親切だと思います。

40.こういう人には向かないというように買わない方がいい人を明示しているか?

 私の場合は「自分で使わないものが入っていることもありますが、お友達にプレゼントしたりしていただけるような人のみご購入ください」と明記しています。

41.単なる消費ではなく人の何かを変えるきっかけになることを説明しているか?

 「もの」より、それによって生まれる「こと」を価値として売る方がいいと思います。

42.必要以上に使い方や機能を説明して難しい印象を与えていないか?

 言わなくていいこと、だれも気にしていないことまで「伝えなければ!」と思ってしまい、やたら説明が専門用語だらけ、となってしまっているようなケースは、購入への行動を妨げることがあると思います。

43.Q&Aは充実しているか?

 ユーザーが疑問に思うことを想像しながら、Q&Aを充実させていく必要があります。疑問に思ったら問い合わせてもらえる、と考えるのではなく、疑問に思ったら「今回はパス」となってしまう、と考えた方がいいと思います。

44.お問い合わせなどプロジェクトオーナーとのコミュニケーションの取りやすさをイメージできるか?

 オーナーがしっかりしている印象、売り逃げではない印象は安心感につながるので大切です。事前にクレームを減らしておくという考え方をした方がいいかもしれません。

45.メイン画像はメッセージが伝わったり、印象に残る画像を選んでいるか?

 メイン画像はものすごく大切です!クラウドファンディングサイトのトップページを見渡してみて、あまりにも見劣りするようなものは不利になると思います。

46.売り手のキャラクターを売る必要があるときは、その話し手をイメージしてもらえるように顔メインの写真を多めに掲載しているか?

 私はこれを重視しています。そのため、苦手だった顔出しもがんばっています。

47.売り手の魅力が伝わる写真になっているか?

 いろんな表情があった方が、その人をよりリアルに感じられる、ということを聞いたことがあるので、少なくとも「笑顔」「真剣な顔」「何かに興味を持っている顔」など、3つ以上の表情を掲載するようにしています。

 また、目線についても「カメラ目線」「だれを見て会話している」「遠くを見ている」など、バリエーションを考えて撮影してもらって掲載するようにしています。このように写真1枚ずつの役割、コンセプトを考えています。

48.写真や図だけを見ただけでおよその内容がわかったり、興味を持てたりするものになっているか?

 文章を全部読まなくても、写真とその下の短い写真の説明文(キャプション)を読んだだけでおよその価値、ストーリー、思いなどが伝わるようにしています。

 特に私の場合は、写真の中に吹き出しを入れたものを多用して、より写真だけでも伝わるように工夫しています。

49.イラストは活用できないか?

 物事の仕組みなどはイラストや図式があれば理解しやすいタイプと、そういうものが苦手な人がいますが、文字ばかりのページの中にイラストや図式があることで、読んでみよう、という気持ちになる効果があると思います。

50.マンガは活用できないか?

 活字だらけの本や雑誌の中で、マンガがあればそれだけ読んでしまう、という人もいると思いますので、ストーリー、ビフォーアフターなどはマンガで伝えるのも効果的だと思います。

51.動画は活用できないか?

 私の場合は「フォーチュンボックス」という、世の中になくて、わかりにくいものを販売しますので、その価値が伝わるような説明動画を作りました。

 また、本当に坂内綾花という人間が存在するのだ、ということを信じてもらいやすくなる効果もあると思います。

 ただし、動画は1クリックするという手間が発生しますし、一定の時間を使うため、見てもらえない確率も高いので、補助的なものとして活用しています。

プロジェクトのリターン・期間など

52.新規性、めずらしさ、限定感はあるか?

 リターンの価値を上げる方法として、新規性(まったく新しいもの、国内にはないもの、など)、めずらしさ(あまり知られていないもの、手に入れたことがないもの、など)、限定感(いまだけ、ここだけ、これだけ、など)などを高めることがあります。

 これによって、プロジェクト自体を知ったうれしさ、出会ったうれしさも高まり、「せっかくなら」という気持ちになると思います。

 また、私のように連続してクラウドファンディングを活用する場合は、「過去に支援してくださった方限定コース」などを用意したら、お得感や優越感もあり、支援されやすいと思います。

53.楽しさ、わくわく、デザイン性は充分か?

 見た目から伝わる雰囲気やデザインのかわいらしさ、いけてる感などは大事だと思います。

 私の場合、デザインにはさほどこだわっておらず、逆に「手作り感があるのでがんばっている感じがする」と言われたのですが、それでも、楽しさ、わくわくが伝わるように、恥ずかしながらできるだけ顔出しをするなど、工夫をしました。

54.役立ち度、便益、問題解決力は充分か?解決する価値がある悩みを解決できるか?

 独りよがりにならないように、実益も必要だと思います。できるだけ、どのような実益(ベネフィット)があるかリストアップしました。リストアップするときのフレームワークは、いつもこのようなものを使っています。

<ベネフィットのリストアップに役立つ質問> 
1.精神的なベネフィットは何か?どんな気持ちになれるか?
2.肉体的なベネフィットは何か?健康的な効果はあるか?
3.物理的、物質的なベネフィットは何か?(機能、効果、必要性、など)
4.金銭的なベネフィットは何か?(安く買える、コストダウン、収益強化、など)
5.得られる情報のベネフィットは何か?(知識、話題、体験など)
6.場所、空間的なベネフィットは何か?(置く場所を取らない、携帯性、どこでも、など)
7.時間的なベネフィットは何か?(時間短縮、早期に、など)

 同じようにデメリットについても上記のフレームワーク(質問集)でリストアップして、できるだけ正直にプロジェクトの説明ページ内に記載するようにしています。

55.多すぎる、大きすぎる、豪華すぎる、重すぎる、目立ちすぎるなど過剰スペックになっていないか?

 私は、支援者に喜んでもらいたいあまり、ついつい、あれもこれも、ということにならないように気をつけています。

 プリンを4個セットで販売していたときよりも、3個セットで販売したときの方がよく売れたという話もあります。

 また、意外に、そこまでシビアにお得さを求めていないという人も多いはずです。

56.知識欲、体験欲、自己成長欲、好奇心を満たしたりする要素はあるか?

 人には学びたいという欲求があります。特にクラウドファンディングのサイトを見る人にはそういう人が多いような気がします。そういう欲求を満たすようなリターンを用意する、プロジェクトページに学べる要素を追加する、というような工夫ができると思います。

 「フォーチュンボックス」は物を消費するだけではなく、「学べる通販」というコンセプトを掲げて、「商品説明文」を完全オリジナルで作って同梱しています(おかげさまで好評です)。

57.支援しやすい価格になっているか?

 価格そのものよりも割安感、割高感、値頃感、お得感、というような「感じ方」が大切だと思います。価格が違う複数のリターンを用意することを検討して、支援しやすさを高める方がいいはずです。

 ハイ・ミドル・ロー(松・竹・梅)価格(一般に竹コースが一番売れると言われています)にできないか、ということも検討して、支援者の予算に応じて支援しやすくするのもいいと思います。

58.利益率を確保できるか?

 私がいつも悩んでいるところです。できるだけメーカーさんと交渉して、高い粗利率(低い原価率)で商品を確保しないと、最終的に利益が残りません。かといって、メーカーさんに適度な利益が出ないのも問題です。実際に初期のほとんどのプロジェクトは赤字でした。

 クラウドファンディングサイトを利用すると手数料(およそ10~20%)がかかりますので、送料なども含め、何度もシビアに計算しています。

59.ギフト要素、プレゼントしやすさはあるか?

 本人が使うケースが限られているような場合でも、ギフト用、家族用とすれば、用途が増え、まとめ買いなども促せます。必要に応じて、プレゼント包装やメッセージカードなどのオプションも追加すればいいと思います。

60.原価が安くてもお金で買えない価値があるものは検討したか?

 感謝状、御礼状、お礼メール、サイン、ポストカード、何かを作ったときにできた副産物(捨てる予定だったようなもの)などは原価が安いので、リターンに設定したときには、収益性向上に貢献してくれると思います。

 普通は売らないもの、非売品などであれば限定感が出て喜ばれる可能性もあると思います。

61.商品の品質を保証したり安心につながるものは検討したか?

 万が一不良品が届いたり、質問があったときのアフターフォローも含めて、安心感があるか、しっかりと示す必要があると思います。

62.魅力的でないグッズなど「こんなのにお金をかけるくらいなら本来の目的のために使ってほしい」と思われないか?

 「すでに家にいくつもあるのでいらない」というようなリターンしか用意しないのであれば、やはり支援する意欲があっても、実際の支援にはつながらないかもしれません。

 リターンにお金をかけるくらいならもっと有効に使って欲しい、と思われるようなケースもあるので、しっかりと支援者の気持ちになってみて、検討してみるべきだと思います。

63.家族や知り合いに怒られたり周囲の人に馬鹿にされたりするようなものではないか?

 「フォーチュンボックス」に入れる商品について、「また、そんなもの買って……」と家族に反対されたり、購入後に冷静になったときに後悔してしまうようなリターンになっていないか。逆に自慢できたり、家族や知り合いも「よかったね」と言ってくれるようなリターンになっているか、ということを検討するようにしています。

64.ストレッチ目標のために追加在庫を確保しやすいか?

 当初の予定よりも支援者が増えた場合、初期の支援者の気持ちを裏切らない範囲で、在庫を追加して、利益を最大化することが重要だと思います。

 私の場合、後日メーカーさんの在庫が少なくなっていて慌てたことがあります。それ以来、サプライチェーンというほど大げさなものではなくても、仕入れ、調達でリスクがないように、メーカーさんとコミュニケーションをしっかりと取るようにしています。

65.リターンをユニークにして話題性を狙えないか?

 よくある「トイレットペーパー1年分」など話題性を狙ったリターンを設定できないか、検討してみるのもいいと思います。

 そのユニークさをしっかりとSNSなどでも伝えていくようにしていくといいと思います。

66.余りがちな在庫をおまけとして活用できないか?

 極端な話、直接関係のないものを無料でもらってきてリターンに設定することもいいと思います。

67.ブランドの世界観に反するリターンになっていないか?

 話題性を狙いすぎて、ブランドのもつ世界観を壊すようなリターンを設定していないか、ブランドの愛好者を裏切るようなものになっていないか慎重に確認した方がいいと思います。

 関連性が薄いリターンのせいで世界観が壊れていたり支援者様が冷める原因になってしまったときのデメリットは大きいと思います。

68.どのリターンを選んだらいいか迷わなくていいようになっているか?

 ユーザーは「迷ったら買わない」と言われています。「一番おすすめのリターン」「初心者限定リターン」など、迷わなくてもいいリターンの説明を心がけるといいと思います。

69.こんなリターンは考えられないか?(リターンのパターン20)

 いくつものプロジェクトを見て、こんなリターンのパターンをリストアップしましたので紹介します。

1. 商品(プロダクト)そのもの
2. 感謝状、メッセージ
3. オプション、付属品
4. 未完成のもの、そろわないと使えないもの(パズルのピースなどを手渡して、このピースを現地に行ってはめ込む楽しみを提供する、など)
5. 特別パッケージ、プレミアムバージョン、限定バージョン
6. オーダーメイド、カスタマイズ
7. ミニチュア、レプリカ
8. シェア、レンタル、共有
9.クーポン券、割引券、交換券
10. 診断サービス、占い、シミュレーションサービス
11. ノウハウ集、教材、セミナー受講権、秘密の情報
12. イベント参加権(パーティー、ライブ、講演会、展示会、見学ツアー)
13. ギフト用パッケージ
14. VIP会員権
15. エンドクレジット、広告掲載
16. 時間提供(一日デート、1時間人生相談など)
17. チャリティー・慈善事業協賛(購入額の一部を寄付するなど)
18. 秘密の特典(何か明かさない、SNSだけで明かす、など)
19. セグメント別リターン(悩み別リターン、地域限定リターン、性格別リターンなど)
20. リターンなし(気持ち)

70.目標金額とその金額に決定した理由は充分に納得できるものか?

 目標金額の内訳やその金額が必要な理由などを明記した方が、支援者が納得するというケースは多いと思います。

 もし、高額の支援が必要な場合で、集まる見込みがない場合は、プロジェクトを段階的にするなどして、実績を積み重ねていけばいいと思います。

71.プロジェクトを開始、終了する時期や期間は適切か?

 私の経験上、プロジェクト期間は長い方が支援金額が高くなりやすいです。理由がない限り、できるだけ長くすべきですが、リターンの納品時期もその分だけ遅くなるので、初期の支援者をお待たせすることになります。

 また、開始直後と終了間際が一番支援されやすいですが、もしSNS、PR、広告費を使ったりする場合は、できるだけ初期に集めて「人気のプロジェクト」ということをアピールできるようにした方がいいかもしれません。支援者が少なすぎるプロジェクトは、不安を与えます。

72.どんな人に支援してほしいのかを考えているか?

 私がクラウドファンディングを成功させたときに「どうせ知り合いに無理矢理買ってもらったんでしょ?」みたいに揶揄する人もいました(実際には知り合いの購入は3件のみでした)。

 クラウドファンディングを「身内からの集金装置」「披露宴のご祝儀と同じ」という人もいるくらいですから「支援したくないけど義理で」「けちだと思われたくない」という理由で支援した人も一定数いるのだと思います。

 また、「お近づきになるために」という理由で支援してくる人をあてにする、という考え方もあると思いますが、それも否定しません。支援者にベネフィットがあるからです。それに参加意識も持てるので、今までにない体験を提供できることになります。

 そのように知名度や一定のファンがいたりする場合を除いて、やはり「心から支援してみたい」と思ってもらえるように、しっかりとストーリーなどを表現して、リターンを磨き上げていく方がいいと思います。

 私は身内、知り合いはほとんどいませんでしたので、身内を動員するということはできませんでしたが、一般には、初期には知り合いに購入してもらい、売れている感を出して、その後、メディアなどを通じて広く世間にアピールしていけばいいと言われています(ただし、あまりにも身内で盛り上がっている感じが出てしまうと、新規の支援者が冷めてしまう可能性があるかもしれません)。

プロジェクト開始後(納品・広報など)

73.支援者からのお問い合わせなどに迅速に返信できるか?

 支援者さんから支援前にお問い合わせなどをいただくことがありますが、それに回答する回答文のひな形を用意しておくといいと思います。もちろん個別にアレンジして返信する必要はあると思いますが。

 また、質問されたことは原則として、こちらの配慮が足りなかった部分、とも言えるので、Q&Aに追加するなど、同様の疑問を他の支援者に抱かせないようにするなど、役立てるようにするといいと思います。

74.納品体制は十分か?

 私の場合、発送については、緩衝材がほとんどいらないダンボール箱を特注するなど、通販業の経験がある人にノウハウを教えてもらい、シミュレーションをして臨みました。

 それでも発注ミスや納期遅れ、納品場所の間違いなどもあって、納期が遅れたこともあります。

 そんなことを繰り返しているうちに、1日に一人の作業で発送できる荷物数の検討がつけられるようになり、事前にシミュレーションして、きちんと納品するようになりました。

75.組織、役割分担はできているか?

 私はすべての一人でやっていますので、いつも悩んでいます。しっかり悩んだり、考えたり、「答えはどこかにある!」と思って探したりしています。

 作業もすべて一人でやっています。ただし、外注できることは信頼できる人に外注しています。クラウドワークスなどを活用するときもあります。

 プロジェクトの中間報告なども、適切なタイミングで行った方が支援者が安心されるはずですから、そういうやるべきことをTODOリストにして、抜け漏れがないようにしています。

76.プレスリリースのひな形をあらかじめ準備しているか?

 プレスリリース配信サイトなどを利用してPR活動をすることで、メディア出演なども果たせます。ひな形を使えば、プレスリリースを書くのは難しくありません。

 私の場合は、予算の関係で「ドリームニュース」を使うことが多いです。今のところ、経費よりも効果の方が圧倒的に大きいと思っています。

77.広報PR体制は十分か?

 地方出張先で時間が余ったら、その地域のテレビ局や新聞社に訪問して、地域の物産を仕入れたときには記事として取り上げてもらえないか?なにかフォーチュンボックスで地元のアピールをするので取り上げてもらえないか、というように交渉するようにしています。

 できるだけニュースバリュー(新規性、社会的な意味、業界や地域への関連性、インパクト、タイミングなど)があるクラウドファンディングを企画して、メディア出演を狙うようにしたらいいと思います。

78.SNSを適切に活用できるか?SNSに期待しすぎていないか?

 私はずっとSNSはほとんど手つかず状態でした。その暇もない、というのが本音でしたし、納得がいく活用法を知りません。今は少しずつ使い始めました。

 SNSもニュースバリュー(新規性、社会的な意味、業界や地域への関連性、インパクト、タイミングなど)があったり、濃いフォロワーが多数いる場合は爆発的に拡散したりしますが、個人的にはあくまでもギャンブルと思っていますので、よほどの達人でないかぎり、「SNS経由でかなり支援してもらえるのでは?」などと期待しない方がいいと思っています。

以上です。

最後に

・生意気なことのように思われるかもしれませんが、なるべく断定をさけて、あくまでも個人の考えとして書きましたので、ご理解をお願いします。

・クラウドファンディングや公式サイトのECでフォーチュンボックスなどの商品をお買い上げくださった方々、すばらしい商品を製造してくださっているメーカーの皆様、CAMPFIRE、Readyfor、Makuakeをはじめ、クラウドファンディングサイトを運営されている皆様に感謝しています。これからも、どうぞよろしくお願いします。

・今後、このチェックリストは追加、更新していく可能性はあります。参考になりましたら幸いです。

フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。