お世話になっている制作会社さんがすばらしすぎる話
起業家や小規模な企業が苦しむのは「最強の制作会社」に出会えていないからかもしれない、そんなことを考えたりしています。
さて、私は、この画像↓がとても気に入っています。
正確に言うと「画像を作ってくれた制作会社さんも含めて」気に入っています。
これは当社のクラウドファンディングで使用している(2019年11月18日現在)メイン画像です(ちなみに写真の女性は私です)。
プロジェクトへのリンク:個数限定"謎の箱"「フォーチュンボックスNo.011」をあなたにお届け!
この画像を作っていただくために私がしたことは、
1.制作会社さんに「こんな画像が必要です」と用途やサイズ、納期などを伝える
2.「販売個数はいくつですか?」「以前に購入した人からはどんな感想が届いていますか?」などの質問に答える(10問ほど)
3. 指示された感じの写真を撮って送る
4. 待つ
です。
私自身がかけた時間は10分以下です。もちろんストレスは0です。
「かかった時間あたりおいくら支払う」と取り決めているため、事前の見積もりをもらう必要はなく、細かい打ち合わせもしません。
細かい時間をそんなところで使いたくないですし、制作会社さんもそれをわかってくれていますので、勝手にどんどんやってくださるイメージです。
そして、上記の画像が届きました。
「季節感を出しながら、なんとなくクリスマスプレゼントのような楽しさを出しつつ、安っぽくなりすぎない、わくわくするような画像にしてみました」ということです。
※ちなみに、その制作会社さんは「当社はデザインセンスはそこまで高くない」とおっしゃっていました。私はデザインセンスがあまりない方だと思いますのでわかりませんが、どうなのでしょうか
そして、実際に今回の「フォーチュンボックス」も、おかげさまで多くの人に購入していただくことができています。
上記はごく普通のやりとりのように思えますが、実際にいくつかの制作会社さんにお願いしてみると、いかに私がお願いしている制作会社さんが希少な存在か、よくわかるのではないでしょうか?
たとえば、制作会社(デザイン会社)さんに次のような不満を持っている会社も多いと思います。
・「制作前の質問が多すぎて答える気がしない」もしくは「質問すらしてくれない」
・「いいキャッチコピーを考えてくれない(依頼範囲によりますが)」
・「かっこいいが売れない、わくわくしないデザイン」
など。
逆に、やはり私のような小企業の場合「気の利いた制作会社」に出会うことは、事業の発展には欠かせない要素かもしれないと思います。
私自身、経営者としてやるべきことがたくさんあり、それでもお客様を驚かせるような商品を探したり、作ったりすることに集中できているのも、こうした制作会社さんのほか、頼れる外注先のパートナーさんに出会えているから、だと思っています。
■奈良の有名とんかつ店「まるかつ」の事例
別の事例を紹介します。
閉店の危機だったにも関わらず、数ヶ月で人気店になり、1年後には「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)」の「THE行列」でも取り上げられるほどに成長した奈良の有名とんかつ店「まるかつ」さん(個人経営)。
参考記事:「閉店の危機から繁盛店に!行列ができる奈良の人情派とんかつ店「まるかつ」の秘密」
まるかつさんの躍進は、お人好しでお客様のためには何でもしたいという金子店長(オーナー)の思いやユニークなキャラクター、アイデアがあったからに違いありません。
ですが、同時に(金子店長曰く)「最強の制作会社」のサポートがあったからとも言えると思います。いくらアイデアがあっても、だれかが形にしてくれないと役立たないからです。
個人経営の飲食店など、小規模な商店などにとって「最強の(本当に助かる)制作会社」は、次の条件を満たしていると思います。
<最強の(本当に助かる)制作会社の条件>
1.売上増など効果が出る制作物(チラシ、ポスター、ショップカードなど)を
2.細かい指示をほとんどしなくても、提案やヒアリングをしてくれ、
3.お店の雰囲気や店主の思いをくみ取って
4.できるだけ無駄な予算をかけずに(安く!)
5.一緒になってお客様を喜ばしてくれるパートナーになってくれる
果たして、本当にこんな理想的な制作会社に出会うと、一体どんなことになるのでしょうか。
以下、まるかつさんの実例をあげて、そんな「最強の制作会社」について紹介したいと思います。
そして、小規模な事業を営む経営者や起業家のみなさんは、この記事を参考にしていただき、制作会社さんとの最強の理想的なパートナー関係を築いて、事業の進展を加速してください。
■事例1「のぼり」
まるかつさんの店外には、色鮮やかな「のぼり」が並んでいます。
それらののぼりは不定期に入れ替えられていて、いつも美しく、ときにはユニークな内容でお客様の目を引き、楽しませています。
店長によると、これらののぼりは「発注もしていないのに、いいタイミングで勝手に届く」そうです。
その制作会社さんに出会うまでは、まるかつさんでは既製品ののぼりを購入していましたが、集客に役立っているという実感がほとんどなかったそうです。
そこで、その制作会社さんと契約したら、さっそくこんなことを言われたそうです。
「まるかつのお店の路面側の幅は~メーターです(事前に店長に計測してもらった)。それなら交通の見通しの邪魔にならない範囲であと○本のぼりを設置可能ですね。注水台とポール(のぼりを立てるための備品)は今いくつありますか?ネットで注文して送りますね。」
「ロゴデータももらっているので、のぼりのデザインはこちらが勝手にやります。まずは定番メニューのロースかつ定食ののぼりを中心にしますね」
「お弁当を販売していることをもっと知って欲しいのですね。じゃ、のぼりを作って送ります。ついでにランチは人気ですよね。初来店のきっかけになりやすいので、ランチの目立つのぼりも作って送ります」
「(ヒアリング後は)先に経費をいくらか預けてください。勝手に制作して発注して届けますので。店長からは特に指示していただく必要はありません。料理作りなどやるべきことに集中してください」
「のぼりは届きましたか?今後も不定期でこちらが発注して届けますので、届いたら入れ替えていってください。いつまでも古いのぼり、色が薄くなったのぼりは元気が感じられませんので交換しましょう。たくさん余ったときは言ってくださいね」
「今まで作ったのぼりを一覧にしました。気に入った物、発注したい物があれば記号で教えてくださいね」
「チェーン店とよく間違われるので、のぼりでアピールしたいんですね?わかりました。送ります」
このように、「デザインの事前チェックも発注もしていないのに、いいタイミングで勝手に届く」のぼりが今日もまるかつが目立つのに一役買っています。
店長も「お客様アンケート」などでも「のぼりを見て」というものが増えて、効果を実感しているそうです。しかも、のぼりについて考える時間を作る必要は一切なくなりました。
■事例2「スタンプカード」
2019年8月28日にまるかつさんにて配布が開始された「サイドメニューコレクション」というスタンプカード。
あるとき店長が「たまねぎと豚肉の相性はいいので、もっとサイドメニューをお客様に知って欲しい。注文される人は注文されるが、注文されない人はもしかしたら知らないのかもしれない」というようなことを制作会社さんに相談しました。
すると制作会社さんからこんなことを言われたそうです。
「サイドメニューのスタンプカードを作りましょうか?それをきっかけにメニューに興味を持ってもらえると思います」
「オペレーションとしてスタッフさんたちがたいへんになるので、まずはお持ち帰りのお客様は対象から外して、店内でのお食事をされたお客様限定としたらどうでしょう?」
「たまりやすい方が注文しようと思ってもらえますし、集めてもらえるので、3枠くらいで、期間はこれくらいがいいと思います」
「以前2,000円で描いてもらった店長の似顔絵イラストをかわいらしいので入れておきます」
「店長からのDMを楽しみにしている人は多いと思うので、DM希望者の人が名前や住所を書けるように欄を作りますね」
「以前のスタンプカードと色が似ていると混乱するので別の色をベースにしますね」
「あとは、現金と交換できません、などの基本的なルールをこちらで書いておきますね。1日のお客様数はこれくらいなので、枚数はとりあえず3,000枚発注しておきますね」
そしてできあがったのがこちらのスタンプカードです。
店長は印刷前の事前チェックはしていません。「スタンプカードが届くこと自体を忘れていた」そうです。
ついでにスタンプ(シャチハタ)と予備のインクも届いたそうです。
■事例3「有効期限が長すぎるクーポン券」
店長は「県外など遠方からのお客様が増えているので、クーポン券の有効期限を長くしたい」と思って制作会社さんに相談しました。
制作会社さん「有効期限を長くしたいんですね。どれくらいにしますか?」
店長「できるだけ。とても。何年も。なんなら2050年くらい」
制作会社さん「では、2050年にしますね。生きててくださいね」
店長「たぶん。運だけはいい方なので大丈夫です。ついでにこのクーポンももらって喜んでもらえるようなデザインにしてください。運気が上がるようなデザインとか、宝くじ当たりそうとか」
制作会社さん「わかりました。でも宗教っぽくなるといけないのでちょっと考えます」
店長「はい、お願いします。『たぶん運気が上がる』くらいにしておいてください」
制作会社さん「では、たぶんと書いておきますね」
そして、店長が事前にデザインのチェックをすることもなく勝手に納品されてきたのがこちらの「たぶん幸運を呼ぶ割引券」です。有効期限は「2050年11月22日まで。もしくはあなたが宝くじで一等に当選するまで」となっています。
※このクーポン券はきまぐれで配布しているそうです
しかも、クーポン券の裏面には頼んでもいないのに「LINE@」の情報が掲載されていたそうです。「だいぶお得なクーポン券」という表現も、店長が「だいぶお得なクーポン券をプレゼントしている」と言ったからそうなったそうです。
終始この調子で、よほど複雑な印刷物以外は、勝手にクーポンの有効期限を更新したものが送られてくるそうです。
特にクーポン券はなくなるタイミングがだいたい読めるので、発注などは自動で行われます。万が一のときのために「もし残りがあとこれだけになったら発注指示をください」というルールも設けています。
■その他の事例
・店長が「LINE@」を知らなかったので「とりあえず申し込みしておきます」と勝手に代理で申し込みをして、店内ポスター、クーポン券の裏の案内などを作って、会員数が3,200名以上(2019年11月1日時点)になりました。
ちなみにまるかつさんでは、SNSとLINE@によって広告費は激減し、その分「食材にお金をかけられるようになった」と店長さん。
・新しいメニュー開発に役立つ本や資料、ホームページを勝手に送ってくれるそうです。
※ちなみに私もまるかつさんには、珍しい食材や調味料のサンプルなどを勝手に送りつけています
・「タモリ倶楽部でえびの皮むき器が紹介されていました。知らないですか?じゃ、たぶん仕込みの時間が短縮するので注文しておきますね」と言って送ってくれ、実際にえびの皮むき、筋取りの時間が半分くらいになったそうです。
■「最強の制作会社」に聞きました
今回、その制作会社さんに、個人商店主や起業家のパートナーになるために気をつけていることを聞きましたので、箇条書きにしてまとめました。
・基本的な方針は、(飲食店の場合)料理作りと接客レベルの向上に集中してもらえるように、できるだけ店長に時間を取らせないようにしている。
・お店側(店長)、お客様側、社会の立場からそれぞれ考えてアドバイスする。「お客様が喜んでくれるように」というのは店長と当社(制作会社)の共通のゴール。
・目の前のゴールばかり目指さないように、店長と相談して「奈良の食文化の向上」という長期目標も共有している。
・飲食店であれば、新しい取り組みをするときには、「衛生面、安全性は大丈夫か?」「だれかに迷惑をかけないか、傷つく人がいないか?」「お店の個性、雰囲気に合うか?」「オペレーションが従業員さんの負担にならないか?」「法律に違反しないか?」「そのお店のお客様に喜んでもらえるか?」などをチェックして、指示待ちになるのではなく、こちらから提案をしている。
・依頼を受けなくてもメディア(テレビやネットメディアなどのマスコミ)への情報提供は勝手に行う。実際にいくつかのメディアに取り上げられたりしている。
・勝手に発注した印刷物がNGだった場合、当社(制作会社)で印刷代を負担するので、ヒアリングにも緊張感がある。だからこそ、まるかつさんの宣伝部のような気持ちになれる。
・私たちもお店の一ファンである自負がある。まるかつさん、店長を支えたい。
■まとめ
私たちのような小規模事業を営んでいる起業家、経営者の場合、ついついやることが多くなってしまいます。なんでも自分でやらなければ、という気持ちが強い人も多いと思います。
私は「自分の能力など、たかがしれているので、任せられることはすべてプロに任せよう」とはじめから決めて起業しました。
ですが、本当に任せられる制作会社が少ないことも実感させられてきました。
「制作会社を見つける労力」もしくは「目標などを共有したり、育てる(おこがましいですが)労力」を省こうとしたため、「制作会社とやりとりする労力(ストレス)」に苦しめられるということになりたくはありません。
この記事が制作会社を探すときのご参考になったり、制作会社さん自体のご参考になれば幸いです。
(いつもお世話になっている制作会社の皆様、これからもどうぞよろしくお願いします!)
フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。