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閉店の危機から繁盛店に!行列ができる奈良の人情派とんかつ店「まるかつ」の秘密


お店の前には頻繁に行列ができ、ツイッターでは10,000いいね超えのツイートを連発しているとんかつ店が奈良にあるのをご存じですか?

そのとんかつ店は奈良市にあるまるかつ

一見普通のとんかつ店なのに、全国からまるかつ目当てで大勢のお客様が奈良に来られているのです。


人情派店長の金子友則さんが17年間修行した焼肉店を辞めて独立して作った個人経営のとんかつ店です。創業は2014年9月です。

金子店長が「4回ほどつぶれかけた」という同店ですが、今では少ない日で200人近く、多い日は300人以上のお客様が訪れます。土日祝日や平日昼間でも行列は当たり前のお店です

まるかつには全国からファンが訪れており、SNSにも「まるかつに行きたい!」という声があふれています。金子店長に会いたい、という人も多いんです!

私はまるかつさんに地方の食材を紹介したり、北海道東神楽町とのコラボを仲介したりしているうちに、「どうしてこんなに人気のお店になったのか?」「どういう考えで仕事をしているのか?」ということに興味を持ちました。


今回は金子店長から聞いたことをまとめて、1ファンとしてレポートを作ってみました。飲食店のみならず、小売店の経営に携わる人など、皆さんのヒントにしていただける内容だと思います!

(もちろん、まるかつさんの宣伝になれば、とも考えていますので)気になった人は、店内にも隠された「お客様に喜んでもらうためのたくさんの工夫」を体験しに、一度、まるかつに行かれてはどうでしょうか?

多くの人がそう言うように、きっと「まるかつさんにいくためだけに奈良に行く価値はある」と思います。

なによりも、店長は「まだまだ」と謙遜しますが、まるかつの料理はおいしいと評判なんです!

単なる話題先行だけのお店であればすぐにその話題性も薄れ、ファンはできないでしょう。ずばり「とんかつの味」だけでも、純粋にファンを引きつけているのがまるかつさんです。

.まるかつの人気ぶりを示すツイート

まずは毎日のように書き込まれるまるかつの人気を示すツイートを紹介します。







芸能人さんも。

まるかつさんの人気を示すツイートを拾い上げたらキリがないので、この辺にしますが、今ではこんなに人気のまるかつは、けっして順風満帆のお店ではありませんでした。

 

.何度もつぶれかけたという3年間

将来はお店を増やしたい、全国に展開したい、という夢を持っていた金子店長は、あえてチェーン店っぽく見せるお店作りをして激安とんかつ店として2014年にまるかつを開店。

1~2時間睡眠が1週間以上続いたときは、さすがに倒れるかと思ったというほどのハードワークで、ご家族がなくなったときに休んだ以外は、文字通り3年間以上1日も休まずに働いたそうです。

お店があるのに催事に出店し出たり、ロースカツ定食をワンコイン(500円)で提供したり、「とにかく活路を見いだそうと、もがきまくっていた」そうです。

まるかつさんがある立地は、過去に大手ファーストフード店やラーメン店が出店してもすぐに閉店する、近所でも有名な「すぐにつぶれる立地」だそうです。

案の定、激安店路線では大手チェーン店に勝てるはずもなく、一度も自分の給与は取れずに、ほぼ毎月赤字で貯金が底をつくなど、経営の安定とはほど遠い状況でした。

そこで、開店から3年間続けてきたお店の路線を変更し、2017年末から、価格を見直して値上げし、メニュー数を絞り、席数も減らしました。同時に券売機をなくし、「お客様に目線を合わせた接客」に切り替えました。「テーブルでメニューを眺めながら、何にする?と家族で悩んだりするのも楽しい時間だと思う」と金子店長。

ですが、急な路線の変更で、いったんは来店し席についても「え、そんなに高くなったの?じゃあ、もう来ません」と言って帰るお客様が続出するなど、お客様は一気に離れていきました。それでも、一部の常連さんは店長を励ましていたそうです。

値上げと同時に揚げ油を変更したり、油の交換頻度も増やし、豚肉をほかのとんかつ店がまずやらない方法で柔らかくしたり、従来からの低温でじっくり揚げるスタイルもあわせて、「とんかつ自体にファンがつく」状態を作りました。

ですが、売上げもずいぶん落ち込み、いよいよ「閉店」という文字が頭にちらつくようになったそうです。


でも!

ここから金子店長の大逆転が始まったのです!


.とんかつの写真がない!「正直すぎるチラシ」で思いを伝える

お店の集客がだめだから通販に活路を見いだそうと、通販が得意な知り合いの経営者に相談したところ、こんなアドバイスをされました。

「金子さんは、立派な経営者にならなければいけないと思っていませんか?」
「自分がやるべきことに集中していますか?」
「自分の半径100メートル以内のお客様を喜ばせることもできていないのに、どうして通販やチェーン店で成功できるんですか?」
「自分が本当にやりたいこと、うれしいことは何ですか?」
「その思いを正直に伝えて、それでもお客様が来なければ閉店したらどうですか?」

こんなアドバイスを受けて、吹っ切れたそうです。

そこで「自分のやりたいことはおいしいとんかつで人に喜んでもらうことだ」という原点に帰って、その思いを文章にして、割引クーポン付きのチラシとして新聞折り込みをしたそうです。

とんかつ店なのにとんかつの写真がないチラシでした。そのチラシを集めている人も多いそうです。



そのチラシの文章はこちらです。

そのチラシを配布した結果……。

まるかつには、久しぶりに大勢のお客様が来てくれるようになりました。慌てて席数も増やしました。

しかも、

「店長がんばってや!」

「応援してるで!」

「友達いっぱい連れてくるからチラシ余ってたらちょうだい」

「チラシ集めてるからください」

と声をかけていくお客様も多かったそうです。

金子さんは「自分の商売への考え方を変えてくれたチラシ」と言っています。

.最初にバズった豪雪の「北陸県民割引」

2018年2月に起きた福井県をはじめとする豪雪被害を覚えていますか?道路での車の立ち往生などの多くの人が被災しました。

お店の仕込みを終えた店長は、ネットニュースでそのことを知って「心細いだろうな?せめて何かできないかな?」と思って、始めたばかりのツイッターで次のようにつぶやきました。

このツイートは一気に拡散されていき、多くのリプライもありました。

その後も、連続でツイートし、次々に拡散されていきました。

リクエストを受けて、エリアを福井県から、石川県、富山県、新潟県へと拡大していきました。

それがネットメディアなどでも話題になり、フォロワーも1,000名近くになったそうです。

結果として、北陸地方から5月末までに260名もの人々が来店されました。

「多くの人がわざわざ交通費を支払ってまで奈良までいらっしゃって、逆に元気をもらいました」と金子店長。


お店にはそのときのお客様ノートも残っています。


.無料食堂の取り組みが全国に拡散!

2018年5月。「文字だらけのチラシ」や「北陸県民割引」などで話題になったこともあり、ゴールデンウィーク前半も大勢のお客様がまるかつを訪れていました。

お店の経営に少しの明かりが見え始めたと感じた金子店長は、あることを気にかけていました。

以前から「店長、今度お金が入ったら必ず支払うから」と言う男性にお弁当を無料で提供したりすることがときどきあったそうです。

困った人を放っておけない性格の金子店長。

子供の虐待など、いろんなニュースがあった影響もあり、

「飲食店として問題がなくて、お客様に迷惑がかからなければ、自分がやりたかったことをやる」

という信念で、こんなつぶやきをします。

この「無料食堂」の話題が、一気にSNSで拡散し、多くのメディアで取り上げられるようになりました。

その後、「無料食堂」の利用者だけではなく、全国から「食べて応援!」という人が訪れるようになりました。

店長は、自分の思いをできるだけ文章にして発信しています。「説明不足で人に迷惑をかけたくない」という理由からだそうです。



.背中にえびフライの貼り紙が20万いいね!

ユニークなチラシ、北陸県民割引、無料食堂などの話題が重なって、酷暑と言われた夏でも連日まるかつを訪れる多くのお客様に「なんか悪いな。何かできないかな」と考えた店長。

でも、あまり目立ったサービスをこれ見よがしにやるのも違う、と思い、お客様に内緒で、えびフライの中身のえびを大きくしました。

それから1週間後のツイートがこちらです。

その後、「えびが大きいという話題が想像していた以上に拡散したので、期待して来店されたお客様が失望しないように」という理由でさらにえびのサイズを大きくして、ほとんどえびフライでは利益が出なくなったそうです(大丈夫でしょうか?)。

.その他の人気ツイート

まるかつのツイートの中から、バズったツイートをいくつかご紹介します。


ときにはこんなツイートをして、地域を盛り上げようとすることも忘れていません。

あと、ときどきこんなツイートをして、物議を醸しています(衛生面で問題にないように「閉店後の個人的な趣味」としてだそうです)。


.新企画「コロッケスポンサー(メニュースポンサー)」に注目が集まる!

企業スポンサーさんの協賛のおかげでコロッケが半額になるという「コロッケスポンサー(メニュースポンサー)」が始まり、「新しい広告枠」ではないか、と注目が集まっています。

※noteの関連記事はこちらです


.店内にはお客様を楽しませる工夫があちこちに!

まるかつのとんかつは低温の油でじっくりと揚げているため、オーダーから料理の提供まで10分以上かかります。

そこで、その間もお客様に楽しんでいただけるような工夫がたくさんされています。

(個人的には大好評!?の「トイレの貼り紙」も気に入っています。どんな貼り紙かは、ぜひお店で確認してください)

・お客様の健康を考えて「健康食前酢」(無料)を設置されています。


・店内のあちこちに店長手書きの「名言?」ポスターが100枚以上!

・メニューには「店長からの挑戦状」というクイズや間違い探しが!

ちなみにクイズはいくつかのパターンがあるのでネタバレは問題ないようです。

・「まるかつ新聞」もあります!

お店の裏話、店長のおっちょこちょいなエピソードが書かれています。

・使用期限が31年後のクーポン券!

他にもたくさんの仕掛けが店内にあふれています!

本当に楽しいお店です。サービスのしすぎでしょうか、今でも「ちょうど赤字と黒字の中間」が毎月続いているそうです。店長、頑張ってください!(店長によると2019年3月の値上げのおかげで、ようやく黒字になったそうです)

「10,000いいねを連発!バズりまくる人情派とんかつ店の秘密」は以上です。

今は、カツサンドなどの新しいメニューの準備もされています。

金子店長はネタ帳を持っていて、気に入った名言や思いついたギャグなどをストックしているそうです。

これからまだまだ新しいネタで私たちを楽しませてくれると思いますので、まるかつのツイッターに注目してください。

また、まるかつにもぜひ行ってみてください!

(「あまり持ち上げられると期待度が上がって困る」と言いながらも、小売店の人たちのヒントになるなら、お店の宣伝になるなら、ということで、この記事の公開を許可してくださった金子店長、ありがとうございました)

お読みくださり、ありがとうございました。

追記。金子店長からコメント付きツイートいただきました。


多くの反響をいただいた私のツイートもおまけとして。


奈良のとんかつ店「まるかつ」のホームページ

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フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。

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フォーチュンファクトリー株式会社 代表取締役。新潟出身。東京在住、20才。「CAMPFIRE AWARD 2017【特別賞】灯火賞」受賞。謎の箱「フォーチュンボックス」や自社ブランド「五感プレミアム」シリーズを販売中。

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坂内綾花のマガジン
坂内綾花のマガジン
  • 17本

坂内綾花、フォーチュンファクトリーに関連するノートを中心にまとめています。

コメント (3)
評価、ランキング、人気でラベリングされる世の中で、埋もれてほしくない素晴らしい「個の店舗」を「チラシ」と「ネット」が引き上げてくれたことに感動しました。ありがとうございます!
素晴らしい記事をありがとうございます、勇気をいただきました!!感謝ですm(_ _)m
坂内さん、こんばんは。ステキな記事をサクサクのホクホクで頂きました。
まるかつ店長のお茶目で優しいお人柄。感動しすぎて会社帰りの駐車場から動けず。個人店はヒトに集まると信じたい。僕もそうなりたい。ありがとうございました。
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