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テレビ番組のリサーチ領域③タレント趣味嗜好情報リサーチ編

テレビ番組のリサーチ会社フォーミュレーションです。
今回は「タレント情報リサーチ」について書いていこうと思います。

■タレント情報リサーチとは?

「タレント情報リサーチ」とは読んで字のごとく、テレビ番組に出演するタレント・有名人の情報のリサーチです。

以前の記事にも書きましたが、有名人の過去のエピソードや経歴、趣味・嗜好、出演歴、交友関係等の情報をリサーチしてプロフィールにまとめるリサーチです。フォーミュレーションでは約1,000人以上のタレントさんやスポーツ選手、文化人、YouTuberなど、あらゆる有名人の情報が蓄積・更新されています。

■そもそもタレント情報はどのように使われるのか?

テレビ番組にはMCやゲスト等、様々なタレントさんが出演します。
そのタレントさんをブッキングした際のゲストとの打ち合わせ用にプロフィールが必要になるのです。 

■ではどうやってタレント情報をリサーチするのか?

タレント情報は、以下のようなツールを使ってコツコツとリサーチしています。

①雑誌記事
雑誌のインタビュー記事はテレビには露出していない情報が載っていることが多く、初出し情報が見つかる確率が高いです。
以前の記事にも書きましたが、雑誌専門図書館「大宅文庫」で過去の雑誌記事からリサーチすることが多いです。
大宅文庫では検索システムにタレント名を入れると、そのタレント名の入った見出しの記事を一覧で確認出来て、その記事が載った雑誌を閲覧できるので、目的のタレントさんの情報をピンポイントでリサーチ出来ます。
ちなみにフォーミュレーションでは約30誌の週刊誌・月刊誌を定期購読し、雑誌自体を一定期間保管しているので、こちらも活用しています。

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②ネット記事
ネット記事と言っても、もちろん個人サイトのような信憑性が怪しいものではなく、新聞社のニュースサイトや大手メディアサイト等のインタビュー記事から情報をリサーチします。

以下、よく活用しているサイトの一部です。

●ナタリー
このサイトは「お笑いナタリ」―「音楽ナタリー」「映画ナタリー」など様々なエンタテインメントの情報がジャンル別に紹介されています。
例えば「お笑いナタリー」で「かまいたち」を検索すると、略歴情報や「特集・インタビュー」の記事、その他の関連ニュース記事を見ることが出来るので重宝します。

●J-CAST ニュース
このサイトはテレビ番組の内容を紹介した記事が多く、番組内でタレントさんが発言した情報のリサーチで活用します。

③新聞記事
以前の記事に書きましたが、全国の新聞記事のデータベース「G-Search」を活用してリサーチします。
その中にはタレントさんを深堀りするインタビュー記事の新聞連載があり、その連載とタレントさんの名前でピンポイントでリサーチしたりもします。

以下、よく活用する新聞連載の一例です。

●日刊スポーツ:「日曜日のヒーロー」「日曜日のヒロイン」
日刊スポーツの「日曜日のヒーロー」(男性版)と「日曜日のヒロイン」(女性版)という連載は、「人気上昇中の俳優、旬のタレントら、話題の人に単独インタビューで迫る」という連載記事です。
旬のタレントさんを扱うので、番組からタレント情報リサーチの発注があるタイミングと同じような時期に最新の情報が手に入ります。

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④タレント本
タレントさん自身が書籍を出版している場合は、購入や図書館で借りるなどして目を通します。テレビ番組等では露出していない"コア"な情報が一番見つかるツールかもしれません。

⑤テレビ番組情報
フォーミュレーションでは、リサーチを担当しているテレビ番組はもちろんのこと、リサーチに活用できそうなテレビ番組(タレント情報の場合は主にトーク番組)のOA映像、いわゆる「同録」と言われるデータを毎日録画し、保存・蓄積しています。そんな過去の出演番組からも情報をリサーチしています。

⑥公式SNS
最近ではタレントさんがインスタやTwitterなど公式SNSをやっている場合が多いので、ここからもリサーチします。対象のタレントさんがSNSをやっていないかをチェックするのは基本です。

⑦公式YouTubeチャンネル
こちらも、最近のタレントさんはYouTubeチャンネルを開設している場合が多いので、チェックして情報をリサーチします。

■プロフィール情報は、
いわば長年継ぎ足している”秘伝のタレ”

こうして様々なツールを使って”コツコツ”とリサーチしているプロフィール情報ですが、フォーミュレーションでは過去にリサーチしたプロフィール資料に情報を追加していく形で随時、情報を更新しています。

例えばAさんというタレントのプロフィール資料をリサーチした数か月後か数年後に、別の番組から同じAさんのプロフィール情報の発注が来ることが日常茶飯事です。
その時は、以前のAさんのプロフィール資料に最新情報を追加する形で、情報を更新します。いわば、長年継ぎ足し継ぎ足しで育てている”秘伝のタレ”のようなものなのです。

■”継ぎ足し”で更新していった資料は、
独自のデータベース検索システムで一発で引き出せる

このように”継ぎ足し”で情報を更新していくプロフィール資料ですが、過去に作ったプロフィール資料をどのように引っ張り出しているのでしょうか?

フォーミュレーションは常時300以上のテレビ番組やCM、企画に携わっており、その番組1つ1つに多くの資料を提出している為、膨大な資料のデータが存在します。そこでフォーミュレーションでは膨大な資料のデータをデータベースに蓄積し、独自のデータベース検索システムを構築しています。    この検索システムを使えば、あっという間に過去に作成した資料を引き出すことが出来るのです。

このシステムでは「フォルダ名検索」「資料名検索」「本文検索」と色々な検索方法が出来ます。
プロフィール資料を検索する場合は、資料名検索の欄にタレント名を入れれば過去数年に渡って作成してきた該当のタレントさんのプロフィール資料が一発で引き出すことが出来ます。

■タレントの”告知”を日々アップデートしている
「キャスティングリリース情報」リサーチ

ちなみに情報を蓄積・更新をしている資料でいえば、フォーミュレーションでは「キャスティングリリース情報」というリサーチを行っています。

バラエティ番組やトーク番組にゲスト出演する俳優さんやミュージシャンがいますが、多くは番宣(番組宣伝)や映画、新曲等のプロモーションの為に出演しています。
そのようなゲストをブッキングする時の参考資料として、数カ月先までのあらゆるジャンルのメディアの出演者をリストにしたものが「キャスティングリリース」です。

リストにしているのは以下のようなジャンルです。

・各局ドラマの出演者
・映画の出演者
・ライブ(音楽関係)の出演者
・ライブ・イベント(お笑い・その他の)出演者
・CDの発売情報
・DVD/Blu-rayの発売情報
・書籍の発売情報
・舞台の出演者

以上のようなタレントさんの”告知”の情報を日々アップデートしているのが「キャスティングリリース情報」のリサーチです。
最近はコロナの影響でほとんどのジャンルでスケジュールの延期や中止が相次ぎ、情報が日々変更されるので、これに対応していくのが大変なリサーチになっています。

■ちょっとドキッとする、新規のプロフィール資料の発注・・・

以上のように、タレントのプロフィール情報は長年蓄積していた資料に情報を追加して更新していきますが、リサーチャーとしてちょっとドキッとするのが、新規のプロフィール資料の発注です。
つまり過去に作った資料がなく、イチからタレント情報を集めてリサーチしなければならないのです!
最近ではYouTuberのプロフィール資料の発注が多く、Youtuberの場合は大抵、過去に作った資料はありません。。

こんな時は気を取り直して、イチからコツコツとリサーチしていくしかありません(苦笑)

■○○マニアのタレント、○○が得意なタレント、
高学歴タレント等、プロフィール以外のタレント情報

タレント情報には、プロフィール資料以外にも様々な発注があります。
それは、番組の企画に沿ったタレントのブッキングの為の情報です。
1人のタレントの情報の深堀りではなく、ある企画のゲストとしてブッキング出来そうなタレントさんを複数探すというリサーチです。

「企画に沿ったタレント情報」とは、例えば、ほんの一部ですが以下のようなものがあります。

・○○マニア、○○に詳しいタレント
・○○が得意、意外な資格を持つタレント
・タレント御用達の店
・高学歴タレント

■○○マニア、○○に詳しいタレント
例えば、番組の中で「パン」を扱ったコーナー、最近話題の「DIY」や「キャンプ」がテーマの特番、という企画が立ち上がった時に、「パンマニアのタレント」「DIYを実践しているタレント」「キャンプ好きなタレント」をリサーチします。
このような基本的に人気でオーソドックスなテーマの「○○マニア」は前述のように、情報を更新・蓄積していきます。

単純に「芸能人のマニア」を扱う番組(例えば、マニアが自分の好きなことをプレゼンする某番組の芸能人SPなど)では、テーマを限定せずに幅広く「○○マニアのタレント」の情報をリサーチすることもあります。

この「〇〇マニア」のリサーチでは、検索ワードの発想が重要になります。
例えばネット情報を探る際に、単に「マニア」というワードだけで探しても、あまり数が出なかったり、よく見る情報しか出てこなかったりします。
そこで「マニア」な人、つまり「「何かに異常に執着する人」を表す他のワードをいくつか発想してリサーチをかけます。

【マニアな人を表すワード】
博士、コレクター、収集家、フェチ、 オタク、偏愛、 愛好家、スペシャリスト、フリーク、信奉者、情熱を注ぐ、1年365日、全国を回る、完全制覇、愛してやまない、道を極めた、魅せられたetc...

こうした「マニア」を表すいくつものワードを様々なツールで検索して「○○マニア、○○に詳しいタレント」の情報をリサーチしています。

■○○が得意、意外な資格を持つタレント
分かりやすいのは「運動神経が良いタレント」や「ある特定のスポーツが得意なタレント」。例えば「剣道が得意なタレント」というような発注だと、大会優勝経験がある・剣道〇〇段の有資格者といったタレントの情報をリサーチします。運動系の番組の発注によくあるパターンです。

スポーツに限らず、楽器系、絵画、将棋、書道、料理などの文化系のものが得意なタレント情報リサーチや、意外な資格を持ったタレント情報リサーチもあります。年末年始にある対決系の特番等に需要があります。

例えば「意外な資格を持つタレント」をリサーチしてみると、以下のような情報が見つかりました。

●山内健司(かまいたち)⇒図書館司書、博物館学芸員、教員免許
●ゆりやんレトリィバァ⇒美尻トレーニングのインストラクター資格
●平祐奈⇒神職資格
●滝菜月(日テレアナ)⇒土壌医検定3級※土の医者
●宮﨑あおい⇒大型自動車免許
●山根良顕(アンガールズ)⇒チャイルドカウンセラー

■タレント御用達の店
これはプロフィール情報の中に入るジャンルでもありますが、ゲストが決まった後に、そのゲストとロケを行う上で良くあるリサーチです。
俳優の○○さんが行きつけにしている店や、学生時代に通った思い入れのある店など、そのタレントさんにまつわる飲食店等をリサーチします。

以前までは全国の情報をリサーチしていましたが、最近はコロナの影響で地方にロケが行けない状況もあり「都内限定」というような縛りが多いです。
それでも様々なツールを使ってどんなに小さな情報もリサーチするので、「リサーチしたが情報がゼロでした」という事は、あまり無いと思います。

■高学歴タレント
これは、よくあるのがクイズ番組からの発注。解答者としてのゲスト案の情報リサーチで、単に「高学歴タレント」というものから、「芸人だけど高学歴」という意外な人物情報、あまり知られていない「東大卒のタレント」等の情報を探します。
このような情報を探すのに有効なのは、事務所のHPやSNSのプロフィール情報です。

■必見!広告代理店やクライアントや地方自治体からも要望のあるタレント情報リサーチ

フォーミュレーションではテレビ局や番組制作会社だけでなく、広告代理店やCMクライアント、地方自治体等からもリサーチ依頼を受けることがあり、以下のようなCM出演者のリサーチ等も行っています。

■最近キテる若いタレント、インフルエンサー等、CM出演者リサーチ
CMクライアントや広告代理店からのリサーチ依頼で、新サービスや最新のモバイル商品・ガジェット等、最先端なものを扱うCMの出演者案として、最近キテる若いタレント情報をリサーチすることもあります。
近頃多いのが、SNS界隈で影響力のあるインフルエンサーリサーチで、CMでもテレビ番組でもリサーチの需要があります。

■病気の予防啓発やアンバサダー活動をしてもらう、病気を経験したことがあるタレントリサーチ
広告代理店からのリサーチ依頼で「骨粗しょう症」や「心筋梗塞」等、誰でもなり得る病気の予防の啓発やPR活動・アンバサダー活動をしてもらう、その病気を経験したことがあるタレントのリサーチを行うこともあります。

■「タレント情報リサーチ」は、テレビ業界にとって無くてはならない

以上のように、タレント情報リサーチをご説明させて頂きましたが、テレビ番組やCMといったメディアは、当たり前ですが多くのタレントさんが出演しています。その中で「タレント情報リサーチ」は、リサーチという仕事の中で「基本の中の基本」と言って良いと思います。
フォーミュレーションの中でも、全てのリサーチャーが一度は経験するリサーチ業務です。
コツコツと地味で大変なリサーチですが、テレビ業界にとっては無くてはならない仕事だと思って、日々リサーチしているのです。

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