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【祝・日本一】阪神タイガースのすべらない話

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。
 
阪神タイガースが38年ぶりの日本一となって幕下ろした今年のプロ野球。ペナントレースはもとより、日本シリーズ第7戦での強さは圧倒的でした。個人的にはベイスターズファンである私も、今年の阪神タイガースの強さに感動さえ覚えました。
 
あらためまして、阪神ファンの皆さん、優勝おめでとうございます!
 
さて、ベイスターズファンの私なのですが、実は、阪神タイガース関連の書籍を企画・編集したことがあります。というのも、出版業界において、12球団のうち全国区で売れるのが阪神タイガース関連本だからです。わがベイスターズ関連本はホームの横浜エリアではそこそこ売れると思う(思いたい)のですが、タイガース関連本は関西エリアのみならず、全国エリアで売れる傾向があります。それだけ全国に阪神ファンがいるともいえるわけです。
 
そんな、私が担当した阪神タイガース本のタイトルは、『阪神タイガースのすべらない話』(楊枝秀基・著)です。

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本書は弊社の新書レーベル「フォレスト2545新書」で2014年に刊行したのですが、同シリーズのカバーの基本キーカラーは「蛍光ピンク」なのですが、本書では弊社営業に掛け合い、あえてピンクではなく阪神カラーのイエローを使わせていただきました(この要望がスムーズに通ったのは、弊社営業責任者が大の阪神ファンだったからかも!?)。
 
著者の楊枝秀基さんは、元・デイリースポーツ伝説の虎番記者(現・スポーツライター)。そんな楊枝さんが記者時代に持ち歩いていた「虎番記者ネタノート」をベースに、ファンの間で常識となっているネタから、番記者だから知っている「選手の素顔」や「裏話」まで、虎党垂涎の「笑い」「愛」「涙」ネタをまとめてもらいました。
 
中身の一部を紹介すると……、
 
●センス抜群のヤジで相手選手も思わず苦笑い
●開幕前からマジック点灯!?
●虎党みんながオーナー気分
●四つ葉のクローバーを探す心優しき安藤優也
●虎史上最高のリードオフマンの素顔
●気配り上手のジェフ・ウィリアムス
●神様・仏様・バース様
●引退パーティーで見せた真弓明信の心意気
●ファンキー過ぎる川藤幸三伝説!
●世紀の誤報!? 桧山引退報道の裏側
●遅咲きの大輪を咲かせた能見篤史
●藤川球児から教えられた仕事に対する姿勢
●稀代のスラッガー今岡誠の愛
 
などなど、ファンや当時の現役選手、OB選手に関する抱腹絶倒の阪神ネタ、怒涛の33連発を盛り込みました。
 
帯には、現役晩年には「代打の神様」として人気を博した、元・阪神の人気選手、桧山進次郎さんの推薦コメントをいただき、掲載させていただきました。
 
おかげさまで、刊行後、2回の重版(3刷)を重ね、多くの阪神ファンにお届けできることができました。
 
今回のnoteでは、阪神タイガースが38年ぶりの「AreのAre」(日本一)になったことを機に、同書で取り上げた33本のネタのうち、2つのネタを全文公開します。

センス抜群のヤジで相手選手も思わず苦笑い

 阪神ファンのヤジはセンス抜群だと思います。聞いていて吹き出しそうになることもあります。
 中には聞くに耐えない罵詈雑言(ばりぞうごん)をまき散らす方々もいますが、そこは置いておくとして、印象に残ったヤジの例を挙げてみましょう。
 特に永遠のライバル巨人との試合前には来場者も多いとあって、いろんなヤジが飛び交います。
 巨人在籍中の上原いわく、
「僕は甲子園大好きですよ。試合前練習で外野のポール間を走るのが楽しみですもん。ヤジがおもろいから。僕にも『こら! 歯ぐき』とかそういう言葉も飛んできますけど、どっちかと言ったら『FAなったら阪神来いよ〜』とか、温かい言葉も多いですしね」
 といった具合。
 同じように、主力捕手の阿部にも手の込んだヤジが飛んでいたのが印象に残っています。
 前出の上原と同じように外野のフェンス沿いをランニングしていた阿部に向かって、ライトスタンドの阪神ファンがなぜか何度も「あべ〜」と熱烈なコール。
 あまりのしつこさに、阿部がついに振り向くと、
「あっ、原監督ぅ〜! 阿部が練習中やのに、よそ見してまっせぇ〜」
 と大声でチクリ口撃。
 これには阿部も「そうきましたか……」という表情で苦笑いするしかなかったのも、微笑ましい光景でした。

ミリ単位で芝生の長さを見抜く眼力!

 スパイクを履いた足の裏の感覚ってどんなものなんでしょうか。
 プロ野球選手の道具は、各々のプレースタイルによって、スペシャルオーダーされた逸品であることは理解できます。レッドくんであれば、俊足を活かすため極限にまで軽量化したスパイクをゼットさんから提供されていました。素足に近い感覚があったのでしょうか。どうでしょう。
 ある日のこと。長期遠征から甲子園に帰り、試合前練習をしていたときです。外野のポジション近くでウォームアップし、ベンチに帰ってきたレッドくん(赤星憲広)が言いました。
「今日の芝生、ちょっと短くなってますよね。って言っても、そっちから見ているだけじゃわかりませんよね」
 そらわからんわ。そう思いながらも、こういうときは、阪神園芸さんに質問するに限る。
「レッドくんがこんなこと言ってましたけど、どうなんですか?」
 その答えがこうです。
「確かに芝は刈りました。しかし、通常より短くしましたけど、ミリ単位ですよ。よく気づきましたね」
 いやいや……。ミリ単位で刈り込んでいる阪神園芸さんもすばらしいですが、さすがは中堅の主。普段のカットよりミリ単位で短いことに気づきますか!
 一塁ベースから離塁して、スタートを切る地点の土の硬さも意図的に変えています。俊足が武器のレッドくんがスタートを切りやすいように、硬めに仕上げるのです。
 ただ、難しいのは、一塁手の守備にも影響するという点ですね。
「アンディ(シーツ)の守備に迷惑をかけない程度ですけど、硬さにも気を使ってもらってます」
 と、いろんな部分にアンテナを張っていました。これは、天然芝であり、土のグラウンドである甲子園を本拠地にするからこその発想です。
 こういったことを取材していると、ホームグラウンドでの野球を見る目が変わってきます。こういうところまで目配りしながら取材していると、レッドくんはいつも「よく見てますね」とか、「よく気づきましたね」といって快く取材に応じてくれました。
 そういう意味で、レッドくんは記者を育てる選手だったとも言えます。
 ただ、いつも礼儀正しいレッドくんだけあって、年下に対しては厳しかったですね。トラ番記者もたくさんの仕事を抱えているので、常に赤星選手だけを見る記者は存在しません。
 ある日、僕が後輩のT記者に「赤星くんにこんなこと聞いてきてよ」と遠隔操作したときに、こんなことがありました。
 しょんぼり肩を落として帰ってくるT記者。
「赤星さんに怒られちゃいましたよ。『楊枝さんだったらそんな質問しないからな。気をつけろよ』って」
 そ、そうなのね。実は僕が聞きに行けと指令しているのに……。僕の質問ってセンスなかったのね……。
 まあ、そういう調子で、レッドくんは若手記者を指導してくれたりしていました。ありがとね。

【著者プロフィール】
楊枝秀基(ようじ・ひでき)
スポーツライター。元「デイリースポーツ」のトラ番記者として、赤星、桧山、今岡、ウィリアムスらを担当。深層に迫る取材スタイルは好評で、現役選手のみならず、川藤幸三氏をはじめとするOB との親交も深い。番記者として培った人脈と野球界にとどまらぬ交友関係を駆使し、メディアにとらわれず個性派スタイルを貫く姿勢は、阪神ファンのカリスマ的存在。本書では、記者時代に持ち歩いていた「トラ番記者ネタノート」をベースに、ファンの間では常識となっている話から、番記者だけが知っている「選手の素顔」や「裏話」まで、「愛」と「涙」と「笑い」が詰まったネタを完全公開した。

今回紹介した書籍『阪神タイガースのすべらない話』(楊枝秀基・著)では、各ネタのラストに、「タイガース名言録」と題して、阪神タイガースにゆかりのある方々の名言を掲載しています。そのなかかから、日本一の監督となった岡田彰布監督がご自身の現役引退会見の際に残した言葉を紹介します。
 

【タイガース名言録】

今日で、タイガースのユニホームは脱ぎますが、これからもずっと阪神ファンであり続けます。──岡田彰布(現役引退会見より)


今回の優勝で、阪神タイガースが2回目の日本一。阪神の現役選手として日本一(1985年)、阪神の監督として日本一(2023年)を成し遂げたのは、現時点で岡田彰布さんだけ、ということも付記しておきます。

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