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元韓流編集者が「愛の不時着」について語ってみた。

こんにちは、フォレスト出版編集部の杉浦です。

いまさらですが、「愛の不時着」を観ました。おそらく15年ぶりの韓国ドラマ。大学4年から卒業後もあわせて4年ほど、韓流雑誌の出版社で働いていたのですが、その時以来の韓国ドラマです。

当時はヨンさま、冬ソナを始めとした第一次韓流ブームまっさかり。俳優たちのインタビュー動画や音源を聞きまくっていたので、「アンニョンハセヨ」のワンフレーズを聴くだけで、ペ・ヨンジュンなのか、イ・ビョンホンなのか、チャン・ドンゴンなのか、ウォンビンなのかわかったくらいでした。(懐かしの韓流四天王ですね)

(多少のネタバレをふくみますので、気になる方はここまでで・・・)

ビジュアルのレベルが高すぎる・・・!

15年の時を経て観た韓国ドラマ、ネットフリックスオリジナルドラマの「愛の不時着」。主演は「私の名前はキム・サムスン」(韓国版「ブリジット・ジョーンズの日記」)の御曹司役で大ブレイクしたヒョンビンと、冬ソナと同じユン・ソクホ監督四季シリーズの「夏の香り」や日本でもヒットした映画「私の頭の中の消しゴム」のソン・イェジン。

2人ともアラフォーのベテランです。すっかり韓国ドラマから離れていたので、いまでも主役を張ってるのだなとちょっと驚きました。古参の韓ドラファンにはたまらない布陣のはず。

韓国の人は一般人でもお肌がきれいな人はあり得ないくらいきれいなのですが(キムチ効果らしい。彼らに言わせるとなんでもキムチのおかげになってしまう)、2人のお肌のツヤピカ度はやばいですね・・・! とくにヒョンビンシ(氏)! あんなお肌の真っ白な軍人がいるのだろうか・・・。美肌効果で役どころのミステリアス度がアップしています。YouTubeで公開されているインタビューで、2か月練習したと言っていた朴訥とした北朝鮮なまりと相まって、いい感じです。

主役級の役者陣は、お肌のみならず、スタイルも本当にいいんですが、ヒョンビン演じるリ・ジョンヒョク中隊長の婚約者、ソ・ダンのソ・ジへのスタイルの良さたるや! Wikipediaによると身長170センチだそうです。

とはいえ、冬ソナのヒロイン、チェ・ジウは174センチ。韓国の主役級の女優陣は本当に背が高いんですよね。なので自然と相手役の俳優は180センチ以上がゴロゴロいます。(一般人の平均身長も日本人の平均身長より高いです)

ちなみにヒョンビンは185センチ。さらにあの小顔なので、リアル少女漫画の王子です。ヒロインのユン・セリことソン・イェジンも見た目の可憐さとはうらはらに165センチあり、ミニのスーツをバシッと着こなしている時のスタイルの良さに同じアラフォーとして戦慄を覚えました。

モデルだったとしても一級レベルだと思いますが、それであれだけ演技ができてしまう役者たち・・・。韓国エンタメのレベルの高さを思い知ります。ちなみに、ソ・ジへはたまに若いころの浅野温子に見えました。ツンケンしていますが可愛いです!

あれ? 意外とハマらない・・・?

さて、肝心の本編についてです。見始めた時は、「あれ? なかなかハマらないぞ? いつでもやめられるなあ・・・」などと思っていましたが、第7話でどハマり。(7話まで観ている時点でハマってる、との声も聞かれましたが)「ああ、ココとココがこうなるのねぇ~」と役者がそろうんですよね。そして、第8話からは、運命に翻弄される主役2人に毎回落涙。南北の分断は、朝鮮半島ならではの題材。北に残ることも南に行くこともどっちも不可能、どうしたら2人は一緒にいられるのか、観てて検討つかないところがまたハマるツボです。

観ているこちらも涙ですが、主演の2人も終始泣いています。あぁ~~、韓国ドラマっぽい~~~~。冬ソナブームの時、冬ソナ特集のムック本のワンコーナーで、出演者たちが何回泣いたかを各話カウントしたのを思い出しました・・・。

ヒョンビンの표정연기(表情演技)に鼻血

喜怒哀楽がハッキリしていて感情表現豊か、北朝鮮にいるという緊迫した事態にもかかわらず、冗談ばかり言っているユン・セリ(そうでもしてないとやってられない?)に対して、寡黙で感情を表に出さないリ・ジョンヒョク中隊長。ソン・イェジンのコミカルな演技にも引き込まれますが、ヒョンビンのちょっとした顔の動きや目の表情だけで伝える演技の凄み。北朝鮮なまりの習得とともに、表情筋を鍛えたのでしょうか・・・。特殊部隊の将校役ということで筋トレには励んでいたようです。セリドンム(「同務」友の意味/동무)を自らの命に懸けて粛々と守りとおす中隊長ドンジ(「同志」/동지)の姿に落ちない女性はいないでしょう。ちなみにソン・イェジンは、バラエティ番組をたくさん観て、女性コメディアンを観察したそう。

観ていて疲労感を覚えるほどの怒涛の展開

分断という民族の痛みに翻弄され、お互いに富裕層や特権階級の出身だったり(そのため結ばれるには一般市民よりハードルが高い)、実は過去に出会っていたことがあったり(やっぱり運命だったのねと大盛り上がり)と韓国ドラマの満漢全席! これで記憶喪失になって、実は血のつながった兄妹とかだったら完璧でした。ラストに向けて、一難去ってまた一難、死にそうで死なない敵に追われ、これでもかと心休まる暇がない展開に、正直観ていて疲労感も・・・。でもこれが韓国ドラマの醍醐味!

北朝鮮なまりをマスターしたい

個人的には、北朝鮮の描かれ方がとても興味深かったです。北朝鮮のニュースでもおなじみのトンム(同務)、トンジ(同志)という呼称に始まり(名前や役職名のあとにつくとドンム、ドンジと濁ります)、「ク/クレ?/クロッタ」(その/そうなの?/そのような)は「キ/キレ?/キロッタ」など、「ク」は「キ」になるのね、とか、中隊長ドンジがよく言ってた「チョッソ」(いい/好き)は韓国では「チョワ/チョッタ」。中隊長ドンジがセリに言った、「サランハオ」は「サランヘヨ(愛してる)」。なんだか情緒あるぅ~~。単語やフレーズの違いもそうですが、ソウルの言葉とはアクセントも違って、のんびりした田舎の情景が浮かぶリズムです。

北朝鮮では韓国のことを、北朝鮮に対して、南朝鮮(ナムチョソン)と言いますが(ちなみに韓国は北朝鮮を北韓、プッカンと言う)、劇中、ナムチョソン、ナムチョソンと連発されていたので、これは移りそう・・・。韓国の人に、ナムチョソンでは、と言ってしまいそうです。

ちなみに北朝鮮を描くにあたって、脱北者の方々に取材を重ねたそう。脱北者のYouTuberの方が、いかにこのドラマの北朝鮮の様子がリアルか解説している動画もあるとのこと。北朝鮮でも韓国のドラマは人気らしく(中隊長の部下、ジュモクのように隠れて視聴しているそうです)、「愛の不時着」を北朝鮮の人が観たら熱中すると思う、と発言しているYouTuberの方もいるようです。なんかそれ、いいですね!

漢、ヒョンビンはリアル中隊長だった!

あと、「愛の不時着」に絡んでびっくりしたのが、ヒョンビンが海兵隊に所属していたということ! 韓国人男性は約2年の兵役が義務付けられていますが、ヒョンビンは海兵隊に配属されたそうです。ヒョンビンの兵役時の画像が流れてきて、「リアル中隊長!」と興奮したのですが、よくよく見てみると海兵隊での画像だったのです。

海兵隊は最も過酷な部隊と言われており、たいていの芸能人は、芸能兵として、国軍放送の番組進行や出演、韓国軍関連企画・行事の進行・広報などを行うちょっと楽な部隊に所属されることが多くありました。(芸能兵は2016年に廃止。ヒョンビンは2011年に入隊)20代のいい時期を2年も拘束されるので、疾患があると偽ったり兵役を免除されようとする動きも多いなか、すごい決断です。これには度肝を抜かれました・・・。

自律神経が整うOST(オリジナルサウンドトラック)

そしてまた、音楽がいいんですよね~~~。韓国ドラマはドラマオリジナルの挿入歌がたくさんつくられるのですが、「愛の不時着」の曲はどれも静かでしっとりしていて、繊細なメロディーと歌声に自律神経が整う気が。毎朝身支度の時と帰宅後に聴くのが日課に。セリのテーマ曲らしい「Flower」を歌えるようになりたい!

劇中何度も出てきたチキンの店の日本支店は笹塚に!

と、ちょっと韓国を知っていたらより楽しめる要素がいっぱいの「愛の不時着」。王道韓国ドラマに認定! ここまで一気に、気になった点をとりとめなく語ってきましたが、なかなかの熱量、そして自分の血中韓流濃度の濃さに驚きです。15年ぶりにパンドラの箱を開けてしまったのか、「愛の不時着」に何度も出てきた韓国風フライドチキンをテイクアウトし(ドラマに出てくる「bb.q OLIVE CHICKEN」は笹塚にあるそう! チメク[チキンとメクチュ、チキンと一緒にビールを飲むこと]したい!)、カリカリのチキンを片手に、清潔感あふれるイケメン、キム・スヒョン主演の「サイコだけど大丈夫」を観始めました。

(Photo by Aleks Marinkovic on Unsplash)

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