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「売れる」WEBサイトのペルソナ設定、5つのステップ

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

マーケティングやWEBサイトを構築する際に必ず求められる「ペルソナ設定」。一般的に、ペルソナをひと言でいえば、

「あなた(御社)が提供するサービスや商品にとって、重要な象徴的なユーザー像」

となるでしょう。

ただ、「本当の意味を1分で説明してみて」と聞かれてすぐに答えられる人は、意外と少ないのではないでしょうか。おそらくネットで知った言葉だけが独り歩きしているかもしれません。言葉を知っていると、結果が出るような気がしてくるものです。

10年間で、10倍売り上げるページを1万ページ以上を制作してきた圧倒的な実績を誇るWEBデザイナー&ディレクターの野口哲平さんは、著書『売れるWEBデザインマーケティングの法則』の中で、次のように言います。

 実際はそれで(ペルソナという言葉を知っているだけで)終わってしまい、本当に大切な本質(ユーザー心理)を理解しないままサイトをつくっていると思われるサイトをよく見かけます。
――『売れるWEBデザインマーケティングの法則』より

続けて、野口さんは次の質問を投げかけます。

【質問】
ペルソナ設定さえしていれば、売上が上がるのでしょうか?

この文脈から考えれば誰もがわかりますよね。答えは、NOです。そして、野口さんは、巷にあふれる多くのペルソナ設定に対して、次のように指摘しています。

 ペルソナを設定すれば売上が上がるなら、何の苦労もいりません。しかし、巷で言われているような単なるペルソナ設定は甘すぎます。そしてペルソナ設定が甘い会社は、痛い目を見ています。
 繰り返しますが、「なぜペルソナ設定をするのか?」という真理・本質を知らなければ、設定してもムダです。
――『売れるWEBデザインマーケティングの法則』より

では、ペルソナ設定の真理・本質と何なのか? 具体的にどのようにすれば、売上につながるペルソナ設定ができるのでしょうか?

今回は、野口さんが著書『売れるWEBデザインマーケティングの法則』の中で解説しているペルソナ設定新メソッド「ピョン吉」の法則について公開します。

今までのペルソナに命を吹き込む――ペルソナ設定新メソッド「ピョン吉」の法則

 私が考えるペルソナ設定方法を解説するうえで、その内容をズバリ示す法則名があります。
 その名も「ピョン吉の法則」です。
 ふざけた名前だと思われるかもしれませんが、ちゃんと考えてつけているんですよ。
 今までの皆さんが知っているペルソナは、どちらかというと、単に設定に必要な情報を考えただけで、そこには、そのペルソナが持つ心が入っていませんでした。要するに、平面というか、二次元というか……。
 そこに命を吹き込んで、ペルソナに生き生きとした心を持たせることが大事なのです。なぜなら、再三お話ししているように、ユーザーの「心」がわからないければ、結局うまくいかないからです。
 命を吹き込むことで、まるで今まで動かなかったのに、Tシャツの中で動き出した「ピョン吉」ように、「心を持ったペルソナになるように」という思いを込めて、「ピョン吉の法則」と名付けました。

「ピョン吉の法則」には5つのステップがあります。
 決して難しいものではありません。順番どおりに進めていけば、最後には、今までとは違うペルソナ設定が完成しているはずです。
 では、ステップ1からスタートです。

【ステップ❶】基本のペルソナをつくる(俗に言うペルソナ設定)

①氏名、②年齢、③性別、④職業、⑤役職、⑥住まい、⑦家族構成、⑧情報収集のツール、⑨他人からの影響度合い、⑩よく見る雑誌・サイト・TV番組、⑪年収、⑫可処分所得

 まず以上の12項目を考えてみてください。
 ステップ1は、今までよくあるペルソナ設定と同じです。やったことがある人もいるかと思いますが、大事なのは書いた内容ではなく、書いた内容からどのような考察を導き出すか、です。
 ですので、やったことがあるという人も、もう一度トライしてみてください。
 続いて「書いた内容からどのような考察を導き出すか」とは具体的にどういうことか、深堀りしてみます。
 例えば、「⑩よく見る雑誌・サイト・TV番組」で、「よく見るサイト:Yahoo!」「よく見る雑誌:ゴルフ雑誌」と想定できた場合、皆さん、それからどんなことを予想しますか?
 私なら、週末のゴルフを楽しみにして、通勤中は「Yahoo!」を見て、時間をつぶすサラリーマンと予想します。
 しかも、付け加えるとしたら、「スマートニュース」や「グノシー」ではなく、「Yahoo!」であることも注目です。スマホアプリではなく、「Yahoo!」なら、「スマホのリテラシーが低い」とも予想ができるわけです。
 さて、その一方で、「よく見るサイト:zuu online」「よく見る雑誌:雑誌はあまり読まないで、日経新聞を読んでいる」と想定できた場合は、どうでしょう?
 同じサラリーマンでも、きっと金融や経済に興味があり、何となく仕事ができそうな人のイメージ。そんな予想になるのではないでしょうか?
 このうように考えてみると同じサラリーマンでも、頭の中や興味があることが別であることがわかってきます。
 先ほどもお伝えした「書いた内容ではなく、書いた内容からどのような考察を導き出すか」が重要とは、こういうことなのです。皆さんはいかがでしょうか? もう一度見返して、いろんな想像を巡らせてみてください。

【ステップ❷】ペルソナの心理を知る

 そもそも、なぜあなたの商品やサービスを買おうと思うのでしょうか?
 他の商品ではなぜダメなのでしょうか?
 この2つの問いについて考えてみてください。
 もしかすると、ここから少し難しくなってきたと感じるかもしれません。でも大丈夫です。皆さん、少しここで手が止まってしまうと思いますが、そもそも正解を導き出すための問いではないので、ちょっと気を楽にして進めていきましょう。
 コツは、とにかく手を動かすことです。
 箇条書きで、書きなぐった感じでも構いません。書いているうちに、思考が整理されてきます。そして、書いているうちに、自然とどんどん筆が進んでくるはずですので。
 では、本題に戻りましょう。
 なぜお客様は、あなたの商品やサービスを買おうと思うのでしょうか?
 例えば、「安い」「対応が丁寧」「他社よりも実績があって安心感がある」などなど、いろんなことが出てくるでしょう。
 では、次に、他の商品ではなぜダメなのでしょうか?
 この質問は、他社との差別化を意識する質問ですね。
 先ほどの「安い」を理由に商品を買うと書いた場合、このように考えてみてください。
 そもそも「価格」がまず頭に浮かんできたということは、価格競争が当然の業界にいるのかもしれません。
 そうなると、すでに限界近くまで値下げしているとも考えられ、競合他社も同じなのでしょう。
 そう考えると、数千円の価格差が出てきているとは到底考えられませんよね? せいぜい数百円の差でしょう。
 どちらでもいいと判断されるレベルのわずかな差なのであれば、価格以外の何かしらの理由があってあなたから買っているのです。
 まずそこを理解しておく必要があります。
【なぜ買ったのか】→【安いから】では、まったく戦略になりませんし、ユーザー心理をわかっていません。
 もちろん安いから買うことは多いでしょうが、買う理由を安いから以上に掘り下げられない程度であれば、その商品は誰が売っても同じでしょう。

【ステップ❸】ペルソナの心理を深掘りする

 ステップ2で出た理由からペルソナの心理や性格を読み解いてください。
 ここからはさらに深く考えていただく時間になります。
「ステップ2で出た理由からペルソナの心理や性格を読み解く」なんて言われても、いきなりだとなかなか想像できないかもしれません。
 ただ、これも慣れの問題です。今までは、このような視点から物事を考えることがなかっただけなので、これを機に、いつもとは違う考える視点を身につけてください。

 さて、そう言いつつ、まずは具体的な例をお見せしますので、そこから皆さん自身のペルソナについて考えていただこうと思います。
 では、企業の名前は伏せますが、汚れがよく落ちる洗浄機の会社の例です。
 この企業は、ステップ2で「他社よりも汚れがよく落ちるから」「歴史のある会社で実績と信頼がある会社だから」、他社ではなく、自社の商品を買ってくれたと書いていました。
 では、その汚れがよく落ちる洗浄機を購入する人の心理を考えていきましょう。
 その商品を購入する人は、
「そこまでして落としたい汚れがある」
「手間をかけないでキレイにしたい」
 という現状と、それに伴う心理があると考えられます。
 なぜなら、ちょっとの汚れでしかないのに、そんな洗浄機を買う必要がないからです。
 自分でさっと掃除すれば済む話なわけですから、「そこまでして落としたい汚れがある」という理屈は成り立ちます。
 しかも、手作業ではなく、洗浄機という選択をするということから「手間をかけないでキレイにしたい」という心理もあると考えられます。
 ここまで考えて、その洗浄機の会社は、ユーザーの心理や性格を「きれい好きである」と考えていました。
 しかし……!
 私は、これに異論を唱えました。
 なぜでしょうか?
 では、ここで質問です。

【質問】
汚れがよく落ちる洗浄機を購入する人の心理は「そこまでして落としたい汚れがある」「手間をかけないでキレイにしたい」。だから「きれい好きである」は間違っています。なぜでしょうか?

 理由は、いたってシンプルです。
「そこまでして落としたい汚れがある」ということは、きれいな状態ではないですよね?
 少なくとも、きれい好きの人は、そこまでして落としたい汚れになるまで、汚れを放置しません。こまめに掃除するはずです。
 ちょっとの汚れを放置し、また少し汚れてもまた放置し、「そのうちやればいいかな」と思い続けた結果、意外と落ちにくい汚れになってしまったと考えるのが自然ではないでしょうか?
 きれい好きの人にとっては、我慢ができない状態です。だから、「きれい好き」は間違っているのです。
 そう考えると、答えは見えてきました。
 そのユーザーの性格は、「きれい好き」ではなく、「面倒くさがり」です。面倒くさがりだから、「そこまでして落としたい汚れがある」というわけです。
 今までその会社は、「きれい好き」という想定で、サイトをつくっていました。しかし、よくよく考えると、自社商品を買うお客様は、真逆の面倒くさがりだったのです!
 そうすると、どうなるでしょう。
 面倒くさがりは、面倒くさがりなので、あまり細かい説明などは見ないのではないかと想像できませんか?
 なので、細かい説明は控えめにして、イラストで直感的に説明すれば、面倒くさがりでも簡単に理解できるサイトができあがるのです。

 このように、今までのペルソナ設計では見えてこなかった、むしろ間違っていたことが明確になるのが、このステップ3の特徴です。
 コツは、「今までの考えを一度疑ってみる」こと。
「本当にそうなのかな?」と考えてみることが、まず第一歩です。
 ぜひ、先の例にならって、本当にそうなのかじっくり考えてみてください。

【ステップ❹】ペルソナの不安を知る

 サイトを訪れる人には、いろいろな気持ちがあります。それは、マイナスな気持ちも含めてです。
 つまり、「何が不安なのか? 心配なのか?」を考えること。
 ステップ4では、それを考えます。
 ちなみに、よくあるサイト設計のミスは、この不安に寄り添っていないことに起因していることが実に多いのです。
「メリットばかりを押し出してしまい、他に目がいっていない」と言えばわかりやすいかもしれません。
 先ほども述べたように、メリットばかりを出されると、ユーザーは結構引いてしまうことが多いものです。それは、決してWEBに限った話ではないのですが、相手が見えないため、どうしても「押しを強くしないと売れない」と思ってしまう心理が、こちら側にはたらいてしまうのかもしれません。
 押しを強くしても悪くはないですが、その分、引かれてしまう可能性もあるので、不安に十分に寄り添ってあげることが大切です。
 ユーザーが抱える不安とは、例えば、次のようなものです。

【ユーザーが抱える不安】
●「安さ」を売りにしていた場合、「その値段で大丈夫かな?」「すぐ壊れたりしない?」という不安。
●「速さ」を売りにしていた場合、「なんでそんなに速いの?」「ちゃんとつくってる?」という不安。
●先ほど例に出した洗浄機の場合、「ホントに汚れが落ちるの?」という不安。

 言ってしまえば、ユーザーは、ワガママなんです。
 安いほうを好む割りに、壊れないか心配したり、速いとうれしいのに、速すぎると不安になったり……。
 私もユーザーとして買い物をするのでよくわかりますが、結局、こんな感情が入り乱れているのです。
 皆さんのペルソナは、どんな不安を抱えていそうでしょうか?
 今一度、よく考えてみてください。

【ステップ❺】ペルソナの不安の解決方法を探る

 ペルソナの不安はどのような情報により解決できますか?
 今度は、ステップ4で出てきた不安をどのようにすれば解決できるかを考えていきましょう。
 せっかくペルソナの不安を認識できたので、それを解決しない手はありません。
 では、もう一度先ほどの例を見ながら、解決方法を探ります。

【ユーザーが抱える不安と解決方法】
●「安さ」を売りにしていた場合、「その値段で大丈夫かな?」「すぐに壊れたりしない?」という不安。
【解決方法】➡ 値段の根拠を示す。耐久テストのデータ(動画)を示す。お客様の声を示す。

●「速さ」を売りにしていた場合、「なんでそんなに速いの?」「ちゃんとつくってる?」という不安。
【解決方法】➡ 速い根拠を示す。例えば、運送のスキームが他社と違う、生産ラインが他社とは違うから速くお届けできるという根拠を示す。

●先ほど例に出した洗浄機の場合、「ホントに汚れが落ちるの?」という不安。
【解決方法】➡動画で汚れが落ちるシーンを示す。

 いかがでしょうか?
 不安になったり、心配になっているのであれば、シンプルに根拠を示してあげればいいのです。
 さらに、保証をつけたりするのも効果的なので、試してみてください。

書籍『売れるWEBデザインマーケティングの法則』(野口哲平・著)では、野口さんがWebデザイナー&ディレクターとして長年の経験と知恵から見いだした、ユーザー心理から逆算した法則「顧客心理逆算式デザインの法則」を完全公開しています。今回ご紹介した「ペルソナ設定新メソッド『ピョン吉』の法則」も、その1つです。

【顧客心理逆算式デザインの法則】(一部)
◎心理トリック口コミの効果を最大限にする――「印象コントロール」の法則
◎「よくある質問」の有効活用――「安心感増大」の法則
◎見る人によって、欲しい情報とタイミングが違う――「味噌汁はアツアツ」の法則
◎「迷ったらここに来てね」という場所をつくる――「迷子相談所」の法則
◎良い記事でなくてもサイトを回遊させられるコンテンツ配置――「避難所」の法則
◎お問い合わせをアップする簡単な方法――「競走馬」の法則
◎顧客に努力させる――「宝探し、ディテクティブデザイヤー」の法則
◎過度な親切心は逆効果を生む――「ツンデレ」の法則
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▼関連記事はこちら(2本あります)

▼音声でもどうぞ(著者・野口さんの生解説を聴けます)






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