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【2022年元旦企画】(勝手に)出版業界の2022年を予測してみた。

あけましておめでとうございます。

本年もフォレスト出版公式noteをよろしくお願いいたします。

これまで「1記事に1学びあり」をモットーに1日も欠かさず更新して参りましたが、これまで同様に本年も引き続き更新していきます。

よろしくお願いいたします。

ツッコみ満載だと思うけど、書いてみる。

今日は新年ということで、何を書こうか、正直迷いました。

出版業界に身を置く自分として、いつも思うのは・・・「出版業界だいじょうぶか。俺、大丈夫か」です。

年末に思うこと、正月に思うこと、だいたいこれです。

なので、超個人的観測なのですが、出版業界の2022年予言的なものを発表したいと思います。

※超個人的予言なので、信じないでください

【予言1】PODの本格普及

PODって、なにかわかりますか。

Print On Dmandの頭文字を取って「POD(ピーオーディー)」と言います。たぶん、業界の人以外には通じません。
※POD=ポッドとは読みません。

PODの何がいいのかっていうと、「この本がほしい」と読者から要望があった場合、その1冊だけ作って渡せる点です。

通常の出版の場合は【初版5000部】とか【初版部数】を決めて刷ります。売れれば増刷をかけて数万部をどんどん刷って売りますが、売れなかったら5000部のほとんどが廃棄処分となってしまいます。

初版5000部刷るのに、だいたいミニマムで300万円くらいかかります。つまり、1冊書籍を作って売れなかったら300万円をドブに捨てるに等しいのです。

ギャンブルですねー。

300万円出資して ドカーンと売れればリターンは億単位ですが、売れないと300万円持ち出しです。こんな投資話にあなたは乗れますか?

乗れないですよね。

自分が投資家でも、こんなギャンブル話には乗らないと思います。

でも、そんなギャンブルを毎月のようにしているのが出版業界です。

『鬼滅の刃』の作者がデビュー当時、ここまで売れると確信していた人はどれだけいたか。たぶん、皆無でしょう。

そこで「POD」です。

小学館から出ている『運慶大全』という本は、なんと6万円以上するのですが、これが年間100冊程度売れていて、PODらしいのです。

この本はコニカミノルタのAccurioJET KM-1という 29インチ枚葉UVインクジェット印刷機で低コストで印刷されているらしく、低コストで必要な読者に届ける出版社の新しく、かつ本源的なやり方を実現しているのではないかと思います。

PODはあまり表に出てこない話なので、うまいことやっている出版社も多いかもしれません。業界関係者は要注意です。

【予言2】中小出版社の合従連衡

出版業界ほど「不況産業」と長年言われ続けた業界はないのではないでしょうか。おそらく20年以上もずっと「出版不況」というワードが飛び交っていました。

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この佐野眞一の本が出たのが2001年。

活字離れ、少子化、出版界の制度疲労、そしてデジタル化の波―いま、グーテンベルク以来の巨大な地殻変動。未曾有の危機に、「本」が悲鳴を上げている!!この「事件」を、豪腕「大宅賞」作家が取材・執筆に丸2年1千枚に刻み込んだ渾身のノンフィクション。

この本が出てから、20年が経ちます。

当時、読みました。いまもほとんど変わらない感じです。

ちなみに、「出版不況」を背景に、2021年に倒産した出版社は、サンガ、枻出版社、海竜社・・・と、どこも中小出版社です。

業界地図的なところを解説すると、以下のようになります。

【業界大手】=年商4桁億円
講談社
集英社
小学館
KADOKAWA

【ビジネス系大手】=年商3桁億円
日経BP
東洋経済新報社
ダイヤモンド社

業界的には上記以外の出版社が年商1~2桁億円で60%を占めます。うちもそこに入ります。正直、しょぼいですが、がんばってます。はい。

でも、小さいもの同士くっついたほうがいいケースもあると思うんですよね。それこそ営業部門同士が連携して別会社をつくったり、編集部門の連携があったり。

いまは競争相手だけど、一緒になった方が幸せになれるケースもあるはずです。そういう合従連衡が今年は進むのではないかというのが個人的読みです。

【予言3】高額書籍の出版

予言1で出した『運慶大全』の例がこれです。

「必要な人に必要な数を届ける」

出版の本来の使命である「必要な人にしっかり届ける」という思想がこれからはどんどん貫徹するだろうという読みがあります。

実際に弊社でもこうした事例が成功しました。

10万部、100万部だけが正義じゃない!

けして、ミリオンセラーを出せない編集者の負け惜しみではありません。

いや、・・・負け惜しみです。爆

【予言4】他業界とのコラボ

小説に登場した食べ物を食品メーカーが発売したり、人気キャラクターの服をアパレルが販売したり。

そーいうのですね。

【予言5】電子書籍コンテンツの本格化

各社出版社のみなさま、電子書籍の売上がうなぎのぼりではありませんか?

電子書籍はまちがいなくこれから伸びる市場。これまでの単なる紙の本の電子化ではなく、純粋な電子書籍(いわゆるボーンデジタル)には大いなる可能性が秘めていると思うのであります。

初期コストの問題はあれど、挑戦すべき。

【予言6】ストリーミング読書

マンガをスマホで読むことが普通になったように、ビジネス書もオンラインでストリーミングで読む時代がそろそろやってくる。端末にダウンロードして読む時代の終焉。読みたいと思ったときに瞬時に読める環境を用意してほしいという意味では、デバイスの問題かもしれません。

スマホメーカー、アプリの各社。開発のほど、よろしくお願いします。

【予言7】NFT×出版

2021年には若干バブル状態となっていたNFT(Non Fungible Token)の波が出版界にもやってくるのではないでしょうか。昨年すでに以下のような動きがありました。

大暮維人さんのカラープリントのNFTとは、萌えますね~。

講談社はかなり先行して攻めていますね。

ファッション雑誌の世界ではこんな動きも。

【予言8】出版の目的の多様化

これまでもいわゆる「コーポレート出版」ということで、企業あるいは有力な個人の自費出版が各社花盛りで、噂によると某 G冬舎さんは自費出版部門がウハウハで儲かっていて、担当者が社内で風を切って歩いているなんて聞きますが、この流れは変わらないと思うのです。

企業が名刺代わりに出版したり、人材を集めるリクルーティングメディアとして出版したり、あるいはもしかしたら個人が婚活のための出版したり、販促チラシとして出版したり。

【出版社から本を出すメリット】は以下にあります。

・取次を介した全国配本
・伝統的な看板によるブランド力

「kindleで誰でも出版できる時代」だからこそ、出版社の価値は上がると個人的には思います。いや、そうあってほしい。そうあらねばならない。そう、思うのです。

以上、8つの予言でした。

当たるかな(笑)

答え合わせは来年の正月!ということで、筆を下ろします。

(編集部:寺崎翼)

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