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【フォレスト出版チャンネル #52】ゲスト/教育|わが子や部下に、短時間で「学び」を定着させる方法

このnoteは2021年1月26日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

アスリートの座学現場から生まれた、
「学び」を定着させるメソッドとは?

渡部:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティの渡部洋平です。今日も素敵なゲストに来ていただいております。株式会社ホープス代表取締役の坂井伸一郎さんとフォレスト出版の編集長の森上さんです。お二人とも本日はよろしくお願いいたします。

坂井・森上:よろしくお願いします。

渡部:さっそくなんですけれども、坂井さんにはフォレスト出版から書籍を出版していただいておりまして、『残念な部下を戦力にする方法』という本を出していただいています。坂井さんから簡単な自己紹介をお願いしたいと思います。

酒井:はい。改めまして株式会社ホープスという人材育成の会社を経営しております、坂井伸一郎と申します。よろしくお願いいたします。アスリート向けの研修というのが当社の大きい特徴の1つになっていますが、一方で、そのノウハウを企業で人材育成に携わっている方々にもご提供していると、そんなお仕事をしています。どうぞよろしくお願いいたします。

渡部:よろしくお願いいたします。今日もリスナーの皆様に役立つ情報をお話いただけると思いますので、ぜひ最後まで楽しんでいただければと思います。さっそくですが、森上さん、『残念な部下を戦力にする方法』という本なんですけれども、どういう経緯で生まれたんですか? タイトルを聞くと、結構ドキッとする人多いんじゃないかなと思っているんですけれど……。

森上:そうですね(笑)。まず最初に、実は坂井さんと共通の知り合いの方がいらっしゃいまして。実は私が大学のOB会にちょっと顔を出しているときに、リスナーの皆さんもご存じだと思いますが、生島企画室という生島ヒロシさんたちが入っている芸能事務所があり、その生島企画室の代表の生島隆さんと、OB会で会って以来、定期的に連絡を取り合っているんです。その関係で、「坂井さんというちょっとおもしろい人がいるから、もしかしたら森上さんのところで何か良い企画ができるかもしれないよ」ということで、ご紹介されたのがきっかけなんですよね。

渡部:そうなんですね。

森上:先ほどもちらっとお話しされましたけど、「スティッキーラーニング」って、元々アスリート向けに作られたプログラムなんです。スポーツをやっている方が座学で何か知識を学ぶという機会がある中で、学びを定着させるメソッドとして、このスティッキーラーニングが使われているんですよね?

坂井:そうですね。元々私がそういう学びなり、ノウハウが必要なんじゃないかなと思ったのは、まさに今、森上さんがおっしゃっていただいたとおりで、アスリートの方々に座学を提供していると、やはりまずは「フィジカルトレーニング」とか「技術練習」とか、そういう時間が圧倒的に多くてですね。もしくは、試合ですよね。なかなか座学に時間を割くということが難しい、と。さらにはその座学に時間を割いたとしても、みんなすでに疲れちゃっているとか、もしくは、明日の試合なり、練習のために、なかなか集中して本を読んだり、座学を聞くことが難しい。そういう状況の中にあっても、短時間でも確実に学びを効果に結びつける。「そのためにはどうしたらいいのかな」と試行錯誤する中で、この「スティッキーラーニング」という考え方にたどり着いています。

森上:そういうことですよね。これがまた企業研修でも使われているんですよね? うちもビジネス書を出している出版社なので、結構いろいろ情報が入ってくるのですが、「人材不足の時代」というものありました。その課題がここ数年ずっと言われている中で、「今いる人材のレベルアップを図って、会社を伸ばす時代」。その時代の流れにとてもマッチしているなと思って、坂井さんといろいろとお話をさせていただいて企画を固めたのが、今回の本なんですよね。で、ポイントなんですけど、先ほど坂井さんがおっしゃったとおり、「重要なこと、伝えたいこと、それを絞って伝えて反復させる」。これがポイントなんですよね?

坂井:そうですね。とにかくそぎ落として大事なところにいかに絞り込んで、それを忘れさせないために反復して刷り込んでいく。それが、メインのエッセンスですね。

「スティッキーラーニング」5つのポイント

森上:そういうことですよね。すごくシンプルでわかりやすいと思うんですけど、これを実際やるとなると、結構いろいろとコツがあるんですよね。

坂井:そうですね。コツがありますね。本の中でも書かせていただいたんですが、大きくポイントは5つあると私は考えていて、それを実際に研修・教育の場でも活かしています。
 まず1つ目は、「5感を通して情報を受け取る」。そういうふうに工夫をすると。
 2つ目は、「新しい情報を届けるときは、必ず既存の知識と結びつくように促したり、工夫をする」。なぜならば既存の知識と結びつくと、人は記憶にとどまりやすいからです。
 3つ目は、「何らかの感情を伴って、新しい知識なり大事なことを受け取ってもらう」。感情というものを、その時間の中でどう刺激するかということも大事なポイントだと思っています。
 4つ目はまさに今繰り返しお話をしているところなんですが、「エッセンスをいかに絞り込むか」。伝えたいこと、言いたいことはいっぱいあるんですけれども、大事なことはどれなのかというのを精査して絞りこむ。
 最後5つ目は「繰り返し脳に刺激を与える」。記憶が定着するものですから、いかにそれを短時間の中で反復するか。
 こういった5つのことが大事だと考えています。

渡部:ありがとうございます。今、上げていただいた5つのポイントですが、書籍でも詳細が書いてあると思うんですけれども、今回も1つひとつもう少し詳しくお伺いしたいのですが、まず1つ目、「5感を通して情報を受け取る」という点について教えてもらえないでしょうか?

坂井:はい。人間っていうのは、必ず5感、5つの感覚器のどこかからしか情報を取れないわけですよね。その中で、「複数の5感を同時に刺激していく」ことが1つポイントかなと思っていますが、中でも特に視覚から視覚イメージ、ビジュアルイメージみたいなものを通じて情報を伝えていく。受け取っていただく。そんなことがまず1つ目の「5感を通して情報を受け取る」ポイントと考えています。この視覚イメージは、言葉の情報よりも6000倍も早く処理される。これは、人間の脳みその機能なんですけれども、そう言われていますので、5感の刺激、特に視覚イメージから情報を伝えています。研修とか指導って、結構、言葉で耳から伝えることにかなり偏っているんですが、視覚も充分に使っていく。これが1つ目です。
 2つ目は「既存の知識と結びつける」という話をしたんですが、新しい知識をまっさらな状態で覚えさせようとするんじゃなくて、何らかの既存の知識と結びつける。その人が過去に経験してきた、スポーツとか、一般的に人が体験するであろうシチュエーションに当てはめながら大事なことを伝えていくとか。これが2つ目のポイントですね。

森上:そういった具体的な例とかが話の中に出てくると、橋渡し役になりますもんね。

坂井:そうですね。おっしゃるとおりだと思います。

森上:新しい情報と古い情報を結びつけるための何か橋渡し役みたいなものを、具体的に例示するといいですよね。

坂井:そうですね。たとえ話をしてあげるとかですね。男性だと野球にたとえると結構伝わったりするんですね。

森上:例えばどんな?

坂井:そうですね。例えば「ピッチャーがいて、バッターがいるだろうとか、そういうときにピッチャーというのは闇雲に投げるんじゃなくて、必ず相手の構えとか、何を狙っているかって想像するよね。それと同じなんだよね。」とかですね。男性の方は、スポーツと結びつけると、結構記憶が定着しやすいという傾向があると思います。
 続けていきますけれども、3つ目のポイントとして「感情を伴う記憶が長続きする」っていう話をさっきしたんですが、この「感情」も実は記憶とものすごく密接な関係があると、脳科学の世界では言われています。感情が強ければ強いほど、記憶は長い時間にわたって定着しますので、裏を返せば思い出すのも容易だとこういうことなんですね。
 例えば本の中でも紹介したんですが、「1970年生まれなんです」とただ言うだけだと、2週間ぐらい経つと「あの人何年生まれだっけな?」と思い出せない。でも、例えばエピソードをくっつけて、「大阪万博が開催された1970年に生まれたんですよ」なんていう話をすると、特に年長者、私は今50歳なんですけども、65歳、70歳の人なんかとそういう話をすると、その方の持っている大阪万博のイメージと私の生まれ年みたいなものが自然と紐づいて、1970という数字を覚えてなくても、「たしか君、万博の頃生まれたって言っていたよね?」と、そういう形で記憶に残ってくれたりするんですね。

森上:確かに、確かに。それはありますよね。

坂井:こんな工夫も大事だと考えています。

渡部:これはちょっとした工夫ですけど、自分の自己紹介のときとかでも、ちょっと入れるだけで一気に覚えてもらいやすくなりますよね。

坂井:そうなんですよね、本当に。簡単なちょっとした手間なんですけれども、それがあるとないとで、全然違うんですよね。
 続いて4つ目、「エッセンスを絞り込む」ということを先ほど申し上げました。これは今、情報がたくさんあったり、もしくは「こういう場合はこうだよね」みたいな話がすごくあるんで、どうしても伝える側、教える側はいろいろなことを言っておきたいんですよね。どうなるかわかんないから、一応言っておこうみたいな。でも、なかなかそういう情報って記憶にとどまりにくいので、伝える側の努力として思い切って本当に大事なこと以外はそぎ落としちゃえ、と。で、エッセンスだけに絞り込んで、それだけを繰り返し伝えていくんだと。
 これは、ある意味、(伝える)相手を信じての行動と言えると思うんですね。伝える側が相手のことを信じていれば、これだけ伝えれば、あとは気がついてくれるはずとか、応用できるはずと。相手を信じてないからこそ、信じ切れてないからこそ、あれもこれも言いたくなっちゃう。ですので、「相手を信じて伝えることを絞り込む」ことも大事なんだと考えています。

渡部:あれこれ言っちゃうっていうのは、すごく経験がありますね。

坂井:言った記憶も、言われた記憶もありますよね。先輩とかに。

渡部:そうですね。どっちもありますね。

坂井:これも勇気を持って思い切って絞り込むと。これ大事だと思っています。
 最後5つ目なんですが、4つ目と連動していくんですけれども、そうやって絞り込んで、何のために絞り込むのかというと、大事なことをしっかり記憶に定着させるために絞り込むわけですね。じゃあ、記憶に定着するためには、どうすればいいかというと、「限られた時間の中で、同じエッセンス、同じメッセージを繰り返し相手に伝えていく」ことで相手に感覚的に、「何度も何度もこの話をされているってことは、これが重要なんだな。ということは、覚えておかなきゃいけないんだな」と感じてもらったり。もしくは、脳みその機能としても短時間、1つの目安として15分という時間を推奨しているんですが、1つのメッセージを15分使って伝えて、15分経ったら、また形を変えて同じメッセージを伝えていく。こんなふうに15分の反復をしていくことで、絞ったエッセンスがちゃんと相手の中に定着していくんだと、こういうことを皆さんにお伝えしたいと思っています。

部下育成だけでなく、子育てにも応用できる

渡部:本当に大切なこと1つに絞ってお伝えしていくっていうのがすごくよくわかりました。今、解説していただいた5つのポイントを押さえながら、部下を育成していくわけだと思うのですが、お話を聞いていると、部下の育成だけではなく、すごく応用が効きそうなメソッドだなって感じましたね。

森上:そうですよね。例えば子育てとか、そんなところにも応用できそうな感じがしますよね。

坂井:本当にそのとおりだと思いますね。なぜならば、私も娘をですね、娘ですから育成しているわけじゃないんですけど。娘と向き合うときも、やっぱりこういう方法を取っていくと、何が大事なのかとか、本質的なところは何なのかっていうことを理解してくれるようになるんですよね。

森上:なるほどね。

坂井:17歳の娘とのコミュニケーションの中でも有効だなと思って、今も使っています。

森上:そういう意味では、リスナーの皆さんでも子育てをやられている方っていらっしゃると思うんですけども、そういった方にも参考になるようなメソッドですよね。

坂井:そうですね。絶対そうだと思います。

渡部:部下に限らず、コミュニケーションをとるときに、この5つのポイントを押さえておくと、相手に伝えたいこと、伝わってほしいことがすんなり伝わりかつ定着する。そんなような気がしましたね。

坂井:ありがとうございます。

渡部:すばらしいお話をありがとうございます。今回のお話しいただいた内容が、坂井さんの書籍『残念な部下を戦力にする方法』にかなり細かく書かれているということで、興味のある方はぜひチェックしていただければと思います。

坂井・森上:よろしくお願いします。

渡部:それでは最後に、本日ゲストの坂井さんからリスナーの皆さんにメッセージいただきたいと思います。よろしくお願いします。

坂井:はい。人とのコミュニケーションの中で、もしくは相手に育ってもらいたいと思ったときに、我々育てる側、伝える側が工夫をすることで、成果なり、育成の結果に全然違うものが生まれてくる。そんなことが私はお伝えしたくて、この本を書かせていただきました。ぜひお読みいただけるとうれしいです。

渡部:本日は、株式会社ホープス代表取締役の坂井伸一郎さんとフォレスト出版の森上さんにお越しいただきました。お二人ともありがとうございました。

坂井・森上:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)



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