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世界の列強が特に欲しがったスパイスとは?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

15世紀から約400年にわたり(19世紀まで)世界の列強がスパイスを巡った争いをしていたことは、以前、このnoteでも紹介しました。

スパイスは、世界の列強が争うぐらい価値があったともいえます。それは、調味料としてはもちろん、薬のルーツにもなっていたことからもわかります。

スパイスとひと言で言っても、いろいろあるわけですが、特に世界の列強が欲しがったスパイスがあるんです。ヒントは、この記事のヘッダー写真に使用しているもの。

そのスパイスとは……、

「クローブ」

です。

スパイスコーディネーター協会の理事長としてスパイス活用の普及に努め、日本国内はもちろん、欧米諸国のスパイス研究者に高く評価されている、日本におけるスパイス研究の第一人者として知られている武政三男さんは、監修した書籍『スパイス活用超健康法』の中で、列強が熱狂的に欲しがったスパイス「クローブ」の特徴や効用について、わかりやすく解説しています。今回は、本書の中から該当箇所を一部抜粋・編集して紹介いたします。

クローブ概要図

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世界史を変えたスパイス

 クローブは高さ10〜20メートルになる常緑樹です。インドネシアのモルッカ諸島(香辛諸島)の原産で、その獲得を巡って列強国がしのぎを削り「世界史を変えたスパイス」として知られています。この小さな群島でしか生育しない特殊な種であったことが、彼らを熱狂させたのでしょう。
 1605年にポルトガルから主権を奪ったオランダは、モルッカ諸島のアンボイナ島以外のクローブを根絶して貿易を独占しましたが、1770年にピエール・ポワーブルという人物が密輸し、初めてモルッカ諸島以外での栽培に成功しました。今ではポワーブルが若木を持ち込んだタンザニアのザンジバル島が世界一の生産地となっています。
 しかし、年間雨量が2500ミリ以上の熱帯性気候が生育の条件であるため、生産地域は限定されます。
 スパイスとして使うのは、長さ2センチほどのピンク色のつぼみです。花が開いてしまうとスパイスとしての価値は失われます。収穫したつぼみを4〜5日天日干しにすると黒っぽくなって独特の香りが出てきます。
 ホールの状態では釘のような形をしていて、その形状から中国では「丁字」と呼ばれ、日本名にもなっています。

オーバースパイスにしないのがコツ

 クローブの強い芳香はオイゲノールという香り成分によります。甘辛両方の料理によく合い、利用価値が高いスパイスです。さすがに列強を狂わせただけあります。
 特にひき肉料理にはよく合い、ミートソースやハンバーグには欠かせません。そのほかステーキなど広く肉料理に用いられ、矯臭効果を発揮します。
 焼き菓子にもよく利用されます。焼き菓子に使うと、バニラに似た甘い香りが引き立ちます。
 また、オレンジやレモンに挿しておき、香りが移ったフルーツをカクテルや紅茶に添えるとセンスのいいアレンジとなります。
 いずれにしても、香りがとても強いので、少量を使うことです。釘状のクローブを肉や野菜にさして使うのは、調理の途中で抜き取りやすいからです。強く効きすぎると、オーバースパイスとなって嫌われます。

漢方では腹痛を治癒する薬

 インドネシアでは紙巻きタバコに混ぜて使います。吸っているとパチパチとクローブが爆(は)ぜて、独特の香りが立ち上がります。現地では「クレテック・タバコ」と呼びますが、日本では「ガラム」という商品名がよく知られています。
 サーファーやアーティストにファンが多いようですが、もちろん麻薬的な幻覚作用はありません。
 薬理効果としては、抗酸化作用が認められています。漢方の生薬の1つでもあり、主に腹痛を治癒する薬として処方されます。胃を温め、痛みを和らげる効果があるといわれています。

いかがでしたか?

武政さんが監修した『スパイス活用超健康法』では、スパイスの効用を活用した健康法をスパイス別、効能別でわかりやすく解説しています。興味のある方はチェックしてみてください。

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