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なぜビジネスエリートはこぞって落語を聴くのか?

フォレスト出版編集部の山田です。

あなたは、落語というとどんなイメージを抱かれるでしょうか。

もともと落語は「大衆文化」として江戸時代に花開いた文化ですが、現代人にとっては少し敷居が高いものとして捉えられがちかもしれません。

一方、ビジネスでの成功者、いわゆるビジネスエリートがこぞって親しんできた娯楽としてもよく知られています。一体、なぜ彼らは落語をよく聴いていたのでしょうか。

本記事では、『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』(立川談慶 著、サンマーク出版)から成功するエリートビジネスマンは落語を聴くのかについてご紹介いただきます。

著者によると、吉田茂元首相も落語をこよなく愛したビジネスエリートの一人だったそうです。吉田元首相は、敗戦後の日本の政治や経済を復興させた総理大臣です。戦後日本は連合国軍総司令部(GHQ)の支配下にありました。そんな中、すべてアメリカの言いなりではなく、日本側のメリットも守れるよう、さまざまな交渉術を駆使して大役を果たしてくれた偉人です。また、「日本資本主義の父」と称される渋沢栄一氏をはじめとする経営者にも落語を日常的にきく人が多くいるそうです。

では、なぜ彼らは落語をこぞって聴いていたのか。
その理由として、落語は「人の心をつかむ術」を身につけるツールであるからだと著者は言っています。

そもそも落語とは、人に物語を聞かせる話芸として時代を超えて伝承されてきました。そのため、人を惹きつける話し方のエッセンスが豊富に詰まっていると考えられます。

たとえば、落語の噺の構造からは相手に聞いてもらえる話し方の「型」を学べます。

落語の基本構成は、「枕」「本題」「オチ」で成り立っているといいます。
例外もありますが、たいていの落語家はこの「型」に沿って話すそうです。
著者は、落語の基本構成について以下のように説明しています。

 時代を超えて受け入れられていた落語の噺は「枕」「本題」「オチ」で構成されています。
 まず「枕」でお客さんの緊張を解いて、「本題」である「噺」をじっくり聞かせ、物語の結末である「オチ」で感動させたり、笑わせたりする。
 落語とは、このような一連の「型」で成り立っているのです。

特に、重要なのが「枕」であると著者は言っています。なぜなら、枕は噺の導入部分なので、ここで客をどれだけ「本題」の世界にまで引き込めるかが決まるからだそうです。そのため、「枕」を聴くだけで、演者である落語家の個性やセンス、もっと言えば腕前がわかるのだそうです。

落語の枕は、次の4つに分類できると著者は述べています。

①  「本題」のバックボーンである時代背景などを解説する(昔の慣習や言葉を「本題」で初めて聞かされても、理解が難しいことがあるため)
②  お客さんの反応を探る(どのようなネタ、どのような本編のアレンジがウケるか、落語家がリサーチできる)
③  「オチ」への伏線を張る(噺の最後のオチで「枕で聞いたあのエピソードは、オチへの伏線だったのか」と気づいてもらえると、感動や笑いが増幅する)
④  「オチ」とは逆の伏線を張る(「オチとは真逆のメッセージ」を逆算して「枕」で伝える手法も有効。たとえば、親子の情愛がテーマの本題の場合、「親なんかいらない」というエピソードを枕でしておくと、お客さんの感動が増す)

ビジネスにおいても、上司や顧客にいかに興味をもってもらうか、納得してもらうかが問われる場面が多くあります。上記は落語の構造の話ですが、落語家がしている「枕」での場の和ませ方や、「本題」にもっていくためのトークのつなぎ方など、プレゼンやスピーチにも活用できるのではないかと思います。

以上、なぜエリートは落語を聴くのかについてご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

ビジネスでの成功者がよく落語を聴くといいますが、その理由は「人の心をつかむ術」を落語から学べるからということでした。本書には、そのほかにもビジネスエリートが落語を学ぶ魅力について語られているので、もしご興味がありましたらご参考になさってください。

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