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デキるビジネスパーソンの夜の過ごし方

フォレスト出版編集部の寺崎です。

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山際、少し明かりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。

かの有名な清少納言「枕草子」の一節です。

「春はあけぼの」とは「春は明け方がいいものだ」という意味ですが、春先は異動や変化が多い季節ということに加えて、「春眠暁を覚えず」な季節のため、「あけぼの」を目にすることはほとんどありません。起きた時にはすっかり夜が明けています。

ちなみに清少納言に言わせると「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて(早朝)」がいいそうです。

清少納言が過ごした平安時代は電気もなかったため、さぞ夜は暗く、太陽が昇る朝は明るかったことでしょう。でも、煌々としたネオンを発した街で暮らす現代人は常に「昼」な状態です。

その結果、よく眠れないといった睡眠障害を起こしがち。

私自身も夜寝る前の脳の切り替えがうまくいかず、つねに睡眠不足気味なのが正直なところです。

そんな人に即使えるバイブルが『働くあなたの快眠地図』(角谷リョウ・著)です。本書から「夜の快眠スキル」をいくつかご紹介します。

仕事モードのスイッチは○○でオフにする

 最近、入浴をシャワーで済ませるビジネスパーソンが増えているようです。
 入浴しない人に直接理由を聞くと「水道代とガス代がかかる」「お風呂に入る時間がもったいない」など、なるほど納得できる答えが返ってきます。
 しかし、「快眠を手に入れる」という観点からすると、入浴しないことはNGです。おそらくほとんどの睡眠指導の本で入浴を勧めていると思いますが、入浴の最大のメリットは「仕事モード」のスイッチを強制的にオフにできることです。
 今まで多くのビジネスパーソンの快眠サポートをしてきましたが、睡眠に困っている方のほとんどの根本的な問題は「仕事モード(緊張モード)のスイッチが切れないこと」です。ゲームをしたり、ネットサーフィンをするとリラックスできている感じがしますが、実際にはすることが変わっただけで、仕事モードは変わらずオンになったままです。ですから、多くのビジネスパーソンがなかなか寝付けず就寝が遅くなり、朝起きられなくなるのです。
 ただ、この仕事モードを切るのはなかなか厄介で、切り替えるには少し時間と刺激が必要になります。
 ところが、実はこの厄介な「仕事モード」を強制的にオフにする簡単な方法があります。それが「バスタブに浸かる入浴」です。入浴は「肌にお湯がふれる」「浮力作用による脱力」など強制的にオフスイッチを押してくれることが千葉大学の研究で実証されています。実際に入浴を行うことで睡眠の質が上がったり、入眠に問題がなくなったりなどの研究報告も多数あります。
 人は深部体温がいったん上がって、それが下がる時に深い睡眠に入りますので、女性や帰宅後うたた寝して体温を下げがちな方は特におすすめです。
 シャワーより半身浴、さらに全身浴のほうが水圧や浮力による作用が大きくなるため、精神の疲労も肉体の疲労もより回復することが分かっています。
 最後に注意してほしい点は、お風呂の温度を上げすぎないことです。40℃〜41℃のお湯が最もおすすめです。基本的に42℃以上は交感神経のスイッチを入れてしまうので、熱いお風呂やシャワーは目覚めに活用してください。

忙しいと「シャワーで済ませるか」となりがちですが、快眠のためには「バスタブに浸かる入浴」がいいそうです。

寝る前に仕事モードをOFFにするためのポイントは次の3つ。

①リラックス効果が最大に保証できるのは全身浴
②4 2℃ 以下の湯温でリラックスすべし
③体温が低い人やうたた寝で体温を下げてしまう人は特におすすめ

しかし、我々現代パーソンの睡眠を妨げる最強の悪役がいます。

それは・・・スマートフォンです。

快眠最大の敵「夜のスマホ」対策

 この本を読んでいるほとんどの方が寝る前にスマホを見ることが睡眠によくないことを知っていると思います。しかし同時に、ほとんどの方が寝る前までスマホを見ている可能性が高いでしょう。
 それもそのはずで、現代のSNSやゲームは、私たちが1分1秒でも長く画面を見続けてもらうため、世界的に最も優秀な人たちが工夫に工夫を重ねて設計しているからです。さらに最近では、AI(人工知能)が私たち各個人のデータを常に取り続けて、最も興味を惹くように常にアップデートし続けています。
 SNSを開発した設計者がこのような事実を赤裸々に語るドキュメンタリー動画を観ましたが、そういった動画を見ると、人間の本能が持つ「生存的危機感」まで刺激していますから、意志の力でスマホ依存を解決するのは、ほぼ不可能であることが分かります。
 ましてや、仕事で疲れた体が解放された深夜であればなおさらでしょう。
 しかしながら、その事実を知ったうえでもスマホはもはや生活必需品であるため、スマホを手放す勇気が私たちにはありません。
 意志力ではやめられないのであれば、仕組みや機能を使うしか対策はないでしょう。そこで一番簡単でおすすめなのは「ナイトモード」の活用です。
 指定した時間帯に画面が暗くなったり、白黒になったりする機能です。どこまで暗くするかにもよりますが、これだけでもスマホ依存が数分の一に低下して、やめやすくなります。
 最も強力なのは「スクリーンタイム」といって、自分が指定した時間帯に強制的にロックがかかる機能です。私はこの機能を使ってスマホのマネジメントをしています。もっと原始的でおすすめなのは、スマホを視界に入らないところで充電することです。多くの人はスマホが視界に入るだけで「見たい」という欲求に勝てないそうです。
 ここまでに挙げた方法を使って、寝る15分前から始めると、8割以上の方が「寝る前のスマホ」をやめることに成功します。

ナイトモードの活用は私の周りでもやっている人がいるのを聞いたことがあります。お風呂入ってせっかく仕事モードがOFFにできても、寝る前にスマホで目が冴えてしまったら元も子もないですからね。

スマホ依存から抜け出すポイントは次の3つです。

①SNSやゲームは本能レベルでやめられないように天才が作っていると知る
②スマホについている制限機能を使うしか対策はない
③寝る15分前から始めると成功率は8割以上

寝ている間は「胃がからっぽ」が快眠のコツ

 睡眠の質が決まる重要なもうひとつの要素が「夕食をいつ、何を食べるか」。栄養素とか添加物といった話になりますと、とてもややこしくなってしまいますので、快眠のための夕食のポイントをひとつだけ挙げるとすれば「寝ている間に胃の中に食べ物が残っていない状態」を目指すことです。
「胃」と聞くと、なんとなく胃液を出して消化する臓器のイメージがあると思うのですが、実は胃液を出して消化する時に、食べたものを混ぜたり、腸に送り込んだり、筋トレレベルで激しく動いているのが「胃」です。体の中でそんな激しい臓器が活動していたら、いかにも睡眠の質が下がりそうな気がしませんか?
 サッカーのレアルマドリードなどの超一流チームは、就寝の3時間前にはメインの夕食は食べ終わっておく厳格なルールがあるそうです。選手から「では、夜遅く食べたらその分遅く寝るのですか?」という質問が出たそうですが、それに対して「その分、寝る時間をずらしてください」と返答があったくらい徹底しています。
 実際に胃の中に食べ物が残っていると、寝ている時の心拍数も下がりにくくなり、寝起きの気分もスッキリしないと感じる方が多いはずです。寝起きは少し空腹の方がスッキリ起きられる感じがするのは、体感として理解しやすいでしょう。
 ただし、ビジネスパーソンはアスリートと違って1年中ずっとオンシーズンですから、あまりストイックに夕食に気を使いすぎるとうまくいきません。
 実際の対策として最も有効なのは、夕食の時間を早めることです。最近は会食の時間も早くなっている傾向があり、自炊にしても外食にしても、今より1時間早くすることでかなり快眠に近づきます。特に焼肉や揚げ物など、胃に負担が大きい食事の時だけ早く食べるというやり方も有効です。
 帰宅が遅い方は、夕方に一度軽く食べておく「分食」がおすすめです。帰宅後の軽めの食事なら、寝る90分前でも睡眠に悪影響はありません。ここで最も重要なことは「幸福感」を下げないことです。夕食と幸福感は深く結びついています。
 この視点が抜けると長続きしませんので、ご注意ください。

ろくに食事もせずにお酒を飲んで帰って、地元の駅で「締めのラーメン」なんてパターンはたまにアリエールですが、こういう行動は健康にも悪いだけでなく、睡眠にも悪影響を及ぼすわけです。

快眠のための夕食3つのルールはこちら。

①寝る時点で胃の中に食べ物が残っていない状態にする
②夕食の時間を少し早める
③幸福度が下がってしまうと続かないので、ほどほどに

これらのほかにも「寝る前に何を飲むか」「寝る前の”書く瞑想”のやりかた」「快眠ストレッチ法」など、デキるビジネスパーソンが夜寝る前にやっていることを第4章で解説したのが『働くあなたの快眠地図』です。

ぜひ、ご参考ください。

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