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【Webデザイン】Webサイト制作のセオリーは本当に通用するのか?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

Webサイト制作においての定石、いわゆるセオリーはいくつか存在します。たとえば、こんなものです。

◎赤いボタンのほうがクリック率が高い。

これは、以前のnoteで検証しました。

その他にも……、

◎ロゴは、左上に置く。
◎ユーザーがサイトを見るときは、ZやFの文字のように視線を動かす。
◎メインビジュアルの高さは抑えて、下のコンテンツを少し見せたほうがスクロールされやすい。
◎メインビジュアルを開いて、3秒ほどで判断し離脱する。
◎ボタンは、ボタンとわかるようにデザインする。

などなど、セオリーと呼ばれるものが存在します。

果たして、これらのセオリーは、本当に通用するのでしょうか?

10年間で、10倍売り上げるページを1万ページ以上を制作してきた圧倒的な実績を誇るWEBデザイナー&ディレクターの野口哲平さんは、著書『売れるWEBデザインマーケティングの法則』の中で、次のように述べています。

 私がデザインを始めた15年ほど前は、このようなことが当たり前で、それに従うのが良しとされてきました。
 しかし、先ほど挙げたもののいくつかはすでにセオリーとは言わなくなってきたので、何を言いたいかはご理解いただけると思いますが、結局、セオリーに則ってデザインするかどうかは、ケースバイケースなのです。
 むしろ、セオリーに縛られすぎるのであれば、いっそのことセオリーなんて知らなくてもいいとさえ思います。
――『売れるWEBデザインマーケティングの法則』より

今回は、野口さんの著書『売れるWEBデザインマーケティングの法則』で語られている「WEBデザインのセオリーを無視して成功した好事例」、多くのサイトが入れている情報をあえて入れない「売上をV字回復させた『引き算デザイン』」について公開します。

セオリーを無視して成功した好事例

 ここで、もう少しわかりやすいように私がかかわらせていただいた具体的な事例を交えながら解説します。
 オンラインショッピングサイトでは、「買い物かごの近くに電話番号を掲載しないほうが良い」と言われることがよくあります。
 なぜなら、せっかくオンラインでの効率化を図っているのに、電話されたら、効率化にならないからです。
 しかし、あるサイトでは、そのセオリーを無視して、買い物かごの近くに電話番号を掲載しました。

図1

▲セオリーを無視し、買い物かご上部に電話番号配置。

 理由は、そのお店では一点ものの商品を多く扱っており、どうしても欲しいというユーザーにとっては、「買い物かごに入れて、カード情報を入れて……」という手間も惜しいと感じてしまうと予想できたからです。
 すると、どうでしょう。
 売上をアップさせることができました。実は、「カード情報を入れて……」という手間も惜しいと感じると同時に、「その間に他の人に買われたらどうしよう」という気持ちになることを予測したことが最大のポイントです。どうしても欲しいという商品を見つけるときのうれしさと同時に起こる感情の変化を見逃さなかったということですね。しかも不思議なことに、店舗に電話をして購入する方も、オンラインショップ上で購入する方も、両方増えたのです。
 当然、運営しているお店の方々の努力があってのものなので、すべてがこの戦略のおかげではありません。
 しかし、きちんとした根拠があるのであれば、セオリーを無視することはとても重要なことであると実感した案件でした。
 もし「セオリーに縛られてしまっているな」と感じることがあれば、一度、「本当にユーザーのためになるのか」という視点で考えてみてください。そのときに、セオリーが取るに足りないことだと気がつくと思います。

すべてをWEBに掲載しない|売上をV字回復させた「引き算デザイン」

「すべてを掲載しない」なんてことを書くと、どうしても反発を受けてしまうので、書くかどうか迷ったのですが、とても大切なことなので、書くことにしました。
 WEB上に掲載するコンテンツは、どれだけ増やしても問題はありません。しかし、あなたの自社サイトでも、厳密にはすべてを載せていないのではないかと思います。
「この内容は専門的すぎるから、お問い合わせいただいた方にのみ説明しよう」
「ここはなくても問題ないから、掲載しないようにしよう」
など、理由はさまざまだと思いますが、すべてを掲載していないことはよくあるはずです。
 それを応用したのが、今回の話です。
 心理学では 「ツァイガルニク効果」 とも呼ばれ、続きが気になる心理を活用した手法です。
 このような効果の名前を出すと、「あー、知ってるよ」となるので、あまり出したくないのですが、私がここで出す例は、よくあるツァイガルニク効果を、ひと工夫もふた工夫もしたものです。

 とある店舗のサイト制作での話です。
 店舗のサイトでよくあるのは、店舗の電話番号を明記し、その下に営業時間を書くパターン。
 しかし、私は、電話番号の下に営業時間を書きませんでした

図2

▲営業時間をあえて書かないのも、理由や狙いがあればOK。

 その結果、お問い合わせが増えたのです。
 なぜなのか、わかりますか?
 答えはとてもシンプルです。
 電話番号の下に営業時間がないことで、「今日は何時まで営業していますか?」というお問い合わせが増えたのです。
 それを見越して、営業時間をあえて掲載しませんでした。
 ここまでの話で「なんだよ、お問い合わせが増えただけか」と思うかもしれませんが、ちゃんと売上も上がったのです。
 なぜなら、その店舗のスタッフの方は非常に対応力があり、電話でお問い合わせしてきたお客様をちゃんと来店まで誘導できることが、サイト制作の前にわかっていたからです。
 しかも、そもそも「今日は何時まで営業していますか」というお問い合わせをする方は、行くことを前提にしているケースがほとんどです。
 そのように、行く前提のユーザーに丁寧な対応が加わり、来店が増えたというわけです。
 シンプルだけど、すべてを掲載しないことで売上が改善した例です。
 あなたも聞いたことがあるであろう、ツァイガルニク効果。知っているだけできちんと使えていますか?
 ありがちな「続きはこちら」では、今の時代、もう古いのです。しっかり効果を最大化する工夫をしたいものですね。

いかがでしたか?

セオリーやルールの存在を知ると、どうしてもそれに頼りがちになってしまうものです。ただ、それがお客様視点で考えた場合に、自社サイトに本当に有効なのかどうかは、自社のお客様やペルソナから逆算して徹底的に考えていく必要があるんですね。

野口さんの著書『売れるWEBデザインマーケティングの法則』は、野口さんがWebデザイナー&ディレクターとして長年の経験と知恵から見いだした、ユーザー心理から逆算した法則「顧客心理逆算式デザインの法則」を完全公開しています。

【顧客心理逆算式デザインの法則】(一部)
◎今までのペルソナに命を吹き込む――ペルソナ設計新メソッド「ピョン吉」の法則
◎心理トリック口コミの効果を最大限にする――「印象コントロール」の法則
◎「よくある質問」の有効活用――「安心感増大」の法則
◎見る人によって、欲しい情報とタイミングが違う――「味噌汁はアツアツ」の法則
◎「迷ったらここに来てね」という場所をつくる――「迷子相談所」の法則
◎良い記事でなくてもサイトを回遊させられるコンテンツ配置――「避難所」の法則
◎お問い合わせをアップする簡単な方法――「競走馬」の法則
◎顧客に努力させる――「宝探し、ディテクティブデザイヤー」の法則
◎過度な親切心は逆効果を生む――「ツンデレ」の法則
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【会社でWEBサイトにかかわっている方】
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▼関連記事はこちら(4本あります)

▼音声でもどうぞ(著者・野口さんの解説が聴けます)


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