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【探究学習編④】探究学習の通して、生徒にどんな資質・能力・態度を育んでほしいのか

こんにちは。一般社団法人Foraの藤村です。
さて、今回のnoteでは探究学習を通して得てほしい資質・能力・態度について考えていきたいと思います。

細かくは様々にあるのですが、特に能力面に要点を絞ってお伝えできればと思います。
検討を進めるうえで、学習指導要領解説の図を用いて説明できればと思います。学習指導要領の解説では、総合的な学習の時間と総合的な探究の時間について、以下の図を用いて整理しています。その図に、Foraなりの考え方を足してみたうえで、今回説明させていただければと思います。

探究_渉外用資料

この図をもとに整理すると、以下のようにまとめられます。

総合的な学習の時間(中学校段階まで)
他者から与えられた課題に対してその解決を行うことを通して、自分自身の生き方を考える姿が描かれる
総合的な探究の時間(高校段階)
自分自身の在り方や生き方を考えながら、課題を発見して解決する姿が描かれる

つまり、理念的に言えばですが、よりよく課題解決を自分自身で行うことを中学生段階、それに対して、よりよく課題発見を自分自身で行うことを高校段階では求められているということです。

課題解決に向けて

それでは課題解決に向けて大切と思うことを絞ってお伝えします。

調べ学習のリテラシー
探究学習や課題を解決する際には、情報を集め、情報を吟味し、情報を取捨選択し、そららを整理できる情報リテラシーが必要不可欠です。特に大切なのは、漫然と目的意識がなく手当たり次第に集めるのではなく、自分なりに問いをもって、目的を持ちながら情報を探していくことや、得た情報を目的に沿って取捨選択したり、編集する姿勢です。この調べ学習のリテラシーについては、探究学習のもっとも基礎的な部分にあたる部分であり、社会に出てからも大切な資質能力です。この力を探究学習を通して育むことが大切です。

論理的な思考力
また、探究学習では、生徒の思考力が問われる場面が多くあります。テーマ設定から問いの設定、仮説や検証方法までの論理的な一貫性が問われます。テーマ設定でも仮説設定でも、常に抽象的に考えたり、具体的に考え、帰納的に考えたり演繹的に考えることを繰り返します。他にも、理由や要因を整理するときには、因果関係を一つ一つ整理することを行います。このように探究学習を通して、論理的な思考力の基礎を養っていくことが大切だと思います。ここで養った力は、教科学習や特別活動・部活動への転用や、日常生活にも活きてくる力と思います。

仮説を立てて、検証する姿勢
そして、答えのない問いに対して向き合う探究学習で大切な姿勢は、仮説を立てて、それを検証しようとする考えと姿勢だと思います。仮説がないと、「正しい答えが全然わからない。どうやって進めてよいかわからない。」と探究活動が止まってしまう原因ともなりますし、表面的にわかった範囲のことをまとめるだけの活動になってしまう可能性があります。問いに対して、合っていると思える仮説を立てて、その仮説が合っているかどうかを確かめる検証活動を行うことで、一つ一つ答えに迫っていくことができます。

この考え方は、進路選択などにも有効です。自分自身がなにをしたいかなどは答えがないため、止まってしまう生徒も少なくないと思います。その時には、仮説を立ててそれを確かめてみることが大切です。私たちは、これを「仮決め」という言葉で説明しているのですが、仮でもよいから決めてみて、良いなと思ったら深めてみて、違ったら違うものを調べてみる姿勢があれば、進路選択にしても一つ一つ進めていけるのだと思います。

課題設定について

総合的な探究の時間では、課題設定を自分自身で行うことが大切だとされています。では、課題設定を行う上で、大切なことや生徒に持ってほしい態度はどのようなことでしょうか。

様々な領域を知る
探究学習を通して、社会には様々なトピックや領域があることを知ってほしいと思っています。例えば、キャリア教育として企業で働くイメージを考えることをした際に、多くの高校生からすると、店舗での店員さんなど普段の生活で見れる範囲の職業や職種が多く、視野が狭いと感じられる先生方も多いでしょう。実際、企業には人事を行う人や経理を行う人、経営を行う人など様々な人が様々に働いますし、様々な業界も存在ます。同様に探究学習や社会課題の解決でも、例えば、SDGsでは17テーマ、169のゴールが設定されていますし、学問分野でも様々です。そのように高校生が総合的な探究の時間を通して、様々な領域を知り、視野を広げた上で課題を設定しようとする姿勢が大切と思います。

様々な見方や観点があることを知る
例えば、高校生と一言で言っても、下記の図のように様々な見方ができます。ここでお伝えしたいのは、1つのことも様々な学問から捉えることができ、その捉え方がそれぞれ違うということです。

探究_渉外用資料 (1)

例えば、高校生を「生徒」と言っている際には、その捉え方は教育学的な捉え方です。他にも「高校生はまだ未成年だ」と言った際には、それは法学的にとらえています。同様に、消費者と捉えれば経済学、場合によっては現代人とも捉えることもできれば、ヒトと捉えることもできたり、患者にもなりえます。このように、一つの事象に対して、様々なものの見方ができることが大切です。
このような学問的なものの見方については、高大接続としても重要です。自分自身の探究テーマが学問分野と関連させて捉えることができれば、探究学習は深くなりますし、その分、自分自身の将来的な興味関心もまた深まっていくことにも繋がります。

様々な要因を考えられる
1つのことを探究しようと思っても、様々な要因が関わってきます。言い換えれば、様々な因果関係が出てきます。この因果関係を整理することがまず大切です。情報を整理し、優先順位をつけ、ボトルネックを探ったり、早期に解ける問題や着手しやすい課題を整理する態度が重要です。
探究学習の課題設定を行う際には、この大きく3つの資質能力態度が大切だと考えています。

いかがでしたでしょうか。今回までが教育目標を考えるパートでした。これからはそれを実現するためのカリキュラム、コンテンツ、教員、そして評価と検討していきます。次回は数年間の探究学習の時間を、どのようなカリキュラムで進めていけばよいかを考えます。

連載「生徒の学び続ける意欲と能力を育む探究学習を実施するには」

①2020年から始まる探究学習って実際どんなことするの?
②探究学習を導入する社会的背景とは(前編)
③探究学習を導入する社会的背景とは(後編)
④探究学習の通して、生徒にどんな資質・能力・態度を育んでほしいのか
⑤数年を見越した探究学習のカリキュラムについて
⑥探究学習の教材や核となるコンテンツ
⑦探究学習での教員の関わり方
⑧探究学習の評価方法



ここまでご覧くださり、ありがとうございました。
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