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チームの衝突は避けるべきか?受け入れるべきか?

前回までコモンパーパスについて解説しました。

コモンパーパスを作っても現場でアクションが起こらなければ何も変わりません。今日はコモンパーパスから現場でできるアクションを導いていく流れについてご説明します。

ブレストしてみよう

コモンパーパスができれば、次にコモンパーパスに向けて実行できるアイデアをチームでブレストします。

ブレストのルールとしては

①誰かの意見を否定しない

を大切にし、リーダーであるあなたが話しやすい雰囲気を作ることを大事にしましょう。

もちろん現実的に難しいアイデアや、経験不足から稚拙なアイデアも飛び交うでしょうが、それらを否定するとアイデアが生まれにくい雰囲気になり、発言ができなくなってしまいます。

よく会議で「うちの部下はアイデアを言わない」という管理職の話を聞きますが、優秀なリーダーは視野が広く、予見も上手なため、部下のアイデアの不足部分に目がいってしまい「この場合はどうする?」を連発しすぎて、「優秀さのジャックナイフ」で悪気なく部下のアイデアを引き裂いてしまうのです。

ディズニー式ブレスト

ウォルト・ディズニーは、アイデアを考える際、まずは徹底的に空想し、妄想し、もう出ません、というところまでアイデアを出しきったのちに、視点を切り替え、そのアイデアを今度は否定的な目線で徹底的にボコして叩きまくったそうです。

そうして、最終的に空想と現実の折り合いがつくアイデアに変えていくという手順を取っていたとのこと。

ここで大事なのは「一旦アイデアは出し切る」「叩くのはその後」というように、フェーズを切り分けるということです。一旦、チームで現実を無視して妄想にふける時間をしっかり区切ったミーティングをしてみるのをお勧めしてみます。

あなたのチームからとんでもないドリーマーが見つかるかもしれませんよ。

アイデアを出すときの視点

コモンパーパスを強化し、習慣化させるために前回ご紹介した「ビジュアル」「儀式」「物語」などの観点から思いつくアイデアを出し合いましょう。


特に「儀式」に関しては、どんな儀式を加えるか、よりも、自分たちが現在行なっている儀式について見直し、

「何をやめるか」について考える方が有益なことが多いです。

特に、リーダーやメンバーが気付かずに取ってしまっている無意識の行動で、負のメッセージを伝えているようなものは、自分では気づきにくく、メンバーからの的確なフィードバックが必須になります。

負の儀式を葬り去るために

ここで必要になるのが、以前ご紹介した5Cのコミュニケーションや巷で話題の「心理的安全性」です。

よくない儀式に対して率直に意見を話し合える関係性がないと、ここで話し合いが止まってしまいます。

メンバーと一緒に本気でアクションに取り組みたいのであれば、メンバーからダメ出しを含めたフィードバックをもらい、意見を出し合って改善アクションを決める必要がありますよね。

でもこの時点で、もしもメンバーからアイデアが出ない状態であれば、リーダーが出したアイデアに従わせるだけになり、結局コモンパーパスは形骸化してしまいます。

こういう状態の時は、このまま進めてもうまくいきません。急がば回れです。きちんとメンバーと信頼関係を築くために、メンバーから耳の痛い言葉を含めて受け止める覚悟を決めて、メンバーのアイデアを(批判も含め)「聞かせてもらう」ところから始めて下さい。

進むために衝突する

前に進みたいなら衝突は避けてはいけません。例えそれが自分にとって快くないことでも。

以下の図はイタリアのコンサルタント、パトリック・レンシオーニが提唱しているものです。

もしメンバーがあなたのチームの結果に無関心であるなら、その根本の理由は「信頼の欠如にある」と彼は言います。

相手に対して信頼がなく、仕返しされる恐怖、馬鹿にされたり無知と思われたり、批判されたりする恐怖が大きい状態では、衝突は起こりません。そんなエネルギーを使うより「沈黙は金」とやり過ごす方が楽だからです。

しかし、自分の意見やアイデアを十分に言い合えた感覚が持てないまま、物事が決まっていく環境では、決定事項に関われたという感覚は生まれません。

誰かが決めたことを言われたからやってるだけなので、責任感が醸成されず、うまくいかなかった時や失敗した時に、責任逃れの思考が発生します。

「自分が考えたわけではない」「上からの指示に従っただけ」なので、結果については、責任も関心も持てない、「知ったこっちゃない」というわけです。

逆に結果に関心と責任を持たせたければ、決定のプロセスに自分が参加したという感覚をメンバーたちに持たせる必要があります。そのために、「意見がきちんと話せた」という感覚を持たせられる環境をリーダーは整える必要があるのです。

アイデアが出切ったら

アイデアを出し切ったら、アイデアをまずは2つに分類します。

1.自分の部署で解決できること
2.自分の部署だけでは解決できないこと

2はたとえば、セールスに所属してる自分に回ってくるお客さんが欲しいお客様と属性が違ってるからマーケになんとかしてもらいたい、とか、給料が安くて離職が多いので給料を上げてほしい、など、自分の部署だけで決裁や実行ができないものです。

もちろん、経営や他部署と話し合って解決へのアクションが取れそうなものはどんどんチャレンジして下さい。(リードの問題なんかは情報共有すればすぐに変えられるかもしれませんね。)でも給与体系は一般的に簡単には切り替えられません。

変えられないことに不満をぶつけるエネルギーがもったいないので、まずは変えられることに集中して行動していくのが良いですね。

チーム効力感を高める

最初のうちは、効果は考えずに、小さなことでもいいので、すぐできることをたくさん実行していくことをお勧めします。たくさん実行していくことで、「自分たちでチームを変えることができる」という感覚が生まれます。

自分の行動を変えるときに、「これならできそう!」という自己効力感が大事なのと同じように、チームの行動を変える時に「自分たちならできそう!」というチーム効力感を高めることが重要です。

「忘却バッテリー」では、野球部のキャッチャーである要 圭(かなめ けい)が、今まで難なくキャッチングできていた清峰 葉流火(きよみね はるか)の速球を、バッターのファウルチップが顔面を直撃したことをきっかけに、恐怖心で弾きまくる、というシーンがあります(キャッチャーあるあるらしい)。

最終的に「いままで捕れてたんだから結局は気持ちの問題」ということに気づき、仲間の協力を得て克服するわけですが、

「大丈夫、できる!!」

という感覚はパフォーマンスに大きな影響を与えるのです。

チーム効力感が高まるとマリオの亀増やしで残機が増えるのと同じように、失敗しても、何度でもアクションに挑むことができるようになります。

主体性あるチームには、衝突がエサになるのです。「衝突しないこと」を目指すのではなく、「上手に衝突すること」や、「衝突してもすぐに元に戻る」ことを大事にしたいものです。

そのために、関係性を整え、率直に話しあい、簡単にできることをたくさん実行してチーム効力感を高めるというステップを刻むことが大事です。

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