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誰でも使えるコモンパーパス浸透ツール3つ

前回まではコモンパーパスの作り方について解説しました。

今日はコモンパーパスをチームに浸透させ、習慣化、仕組み化するためのヒントをお届けします。


コモンパーパスを浸透させる強力なツール

コモンパーパスを作ったけど、1ヶ月後に「コモンパーパスって何だっけ?」とお飾りに成り下がるような悲しいことにならないように、強力なツールを3つご紹介します。

1.ビジュアル

ビジュアルは、「コモンパーパスに関連するもの」や「チームで大事にしているもの」あるいは「称賛に値するもの」などを目に見える形で表現する取り組みです。

たとえば、チームのロゴを作ったり、コモンパーパスのポスターを作ったりして、事務所に貼るのも「ビジュアル」です。

私自身もプロジェクトや新規事業をするときに、まずロゴを作ることが多いのですが、そのプロジェクトにかける想いを表現する象徴的なものを作ることがチームのモチベーションにつながるからです。

他にも、スタートアップの会社がお揃いのTシャツを着て展示会にでてるのもビジュアルの一つといえます。PCにステッカーを貼ったり、バインダーにロゴを入れてるのもそうですね。ちなみに私がいたスタートアップはVRの会社だったので、VRゴーグルにでっかい社名入りのステッカーを貼っていました。

他にもコモンパーパスやビジョンを表現した動画を作るのもいいですね。

昔在籍していた研修会社のチームで、チームのパーパスを一番表現した商品を決めて、そのプロモーションビデオを自分たちで作って勝手に販促したこともありますが、これもコモンパーパスを強めるのに一役買いました。

イメージキャラクターなどをつくるのも面白いでしょうね。

最近はロゴならCanva、イメージキャラクターなら自動生成AI、ビデオなどの動画も編集アプリを使えば簡単に誰でもおしゃれなものが作れます。費用もチーム内の雑費くらいの価格で製作できるでしょう。

前述の研修会社の時代はチーム4人で経費をうまく使ってTシャツを作れました。

ブランディングで企業の外に発信するロゴやビジュアルは高いクオリティが必要ですが、部内だけで使うのであれば、クオリティは気にせずチームみんなでわいわいと楽しく作ることをお勧めします。

2.儀式

リーダーが繰り返し行うことで、メンバーに固定した意味づけとして解釈されていることを「儀式」といいます。

たとえば、ある会議に毎回リーダーが5分遅れてくるとしますよね。そうすると、メンバーは、「この会議はリーダーにとってさほど大切じゃない」というような解釈をしてしまうかもしれませんね。

このように、「会議では必ずプライベートの話から始まるか」「あるいは本題からスパッと入るか」「常にリーダーから話し始めるか」「メンバーから話させるか」「毎回長引くか」など、繰り返される事象に、メンバーは自由に意味づけをしはじめます。そしてこれが固定され、定番になったものを「儀式」といいます。

ある会社ではオンライン会議でも、「部下が先に入室し、上席の方から退出せねばならない」が守られていますが、ここから受け取る意味合いとしては、「上位下達」「礼儀に厳しい」「体育会系の社風」「昭和の企業…」など様々なイメージが生まれますよね。これも儀式です。

私が20代の時に所属していた営業会社は「顧客第一」を謳いながら、現場では「受注第一」の風潮がありました。上司に顧客満足度を聞かれたことはありませんが、営業数字は毎日確認されました。

人間は言ってることよりやってることに大きく影響を受けます。「大好きだよ!」と言葉をかけながら、子供が近寄るとあっちへ突き飛ばすお父さんを想像してみるとわかりやすいですね。ですので儀式は「言ってること」ではなく「やってること」の中に存在します。

そして、企業全体の儀式を作っているのは経営陣ですが、チームの儀式はチームリーダーが作っていることが多いのです。

リーダーはコモンパーパスが決まったら、自分たちのチームで行われている無自覚の儀式をメンバーと一緒に全て書き出し、それらがパーパスに対してふさわしい儀式かどうかを検証しましょう。

たとえば、私が以前いた営業チームには、非常に営業能力には長けている一方で、経費精算や出勤簿などの期日を守るのが苦手なメンバーが揃っていました。

その時はチームで大事にしていたことの一つに、「他の社内チームの見本になる」があったのですが、いくら数字が取れていても、ルールにルーズだと心の底では信頼してもらえなくなるという意見から、「鉄の掟」と呼ばれるルールを作り、その中に「社内提出物の期日を守る」を入れ、メンバー全員が目にするWEBのダッシュボードに書き込みました。

みんなで決めた鉄の掟なので、提出していないメンバーがいたら「ダサい」という風潮を自分たちで作り、うまく機能させることができたのです。

ちなみに、リーダーがこの規律を破っても、メンバーから「ダサい」と言ってもらえるような関係を作っておかないと、崩壊するので注意して下さい。「リーダーは特別に許される」ではなく「リーダだから率先して守り注意する」と決めてないと、逆効果です。

3.物語

チームのコモンパーパスや価値観をエピソードやストーリーとして共有する方法です。

マクドナルドに「スマイルストーリー」という取り組みがあるのをご存知ですか?検索して貰えばサイトもあるので、一度見てみるといいかもしれません。

これはマクドナルドで称賛に値する行動をとった社員のストーリーをピックアップしたものなのですが、マクドナルドではこういった取り組みをずいぶん昔から行ってきたそうです。

マクドナルドの元人事責任者から聞いた話では、これらのストーリでいくつかは社内で象徴的なストーリーとして語られているそうです。「社内伝説」というやつですね。

これらのストーリーは社員が目指すべき象徴となる一方で、人の心を惹きつけ、目指す価値のある行動として伝播します。

コモンパーパスに即した行動が、称賛され、語り継がれるようになれば、それは強力なメッセージとしてメンバーに伝わります。

日本のラグビーを世界と戦えるチームに成長させた名将エディ・ジョーンズは就任当時「義を見てせざるは勇なきなり」と頻繁に叫んでいたそうです。

「正しいとわかっていることをしないのは勇気がないということだ。」という意味ですね。

エディーは日本人の真面目さ、ハードワークさという長所を見抜き、世界で戦うために彼らを鼓舞する言葉に、「義を見てせざるは勇なきなり」を選んだエディーのセンスには脱帽です。これほど日本人の特性に響いてやる気にさせる言葉はないかもしれませんね。

ストーリーの種は大体、過去のその会社で称賛された案件やサービスの中に含まれています。マクドなら接客やサービスなどの顧客接点に含まれがちですが、結婚式場には大体伝説の結婚式がありますし、コンサル会社なら伝説の案件があります。

どんなストーリーを創っていくべきかは、そういったものを参考にしながら、メンバーの良い取り組みを言語化し、ミーティングなどでリーダーが率先して共有していくことも非常に大事ですね。

最後に

今回、コモンパーパスを習慣化させ、浸透させる仕組みを3つご紹介しました。このビジュアル、儀式、物語を使えば、チームで合意したコモンパースを隅々まで浸透させることができます。

なぜなら、「チームを変える」ということは、日常的の何気ないやりとりや無自覚に埋め込まれた暗黙のメッセージに光をあて、ひとつひとつ丁寧に修正していくことに他ならないからです。

チームの変化は特別な施策で行うわけではなく、日常の中にヒントがあります。

実際のチームが取り組まれている幾つかのアイデアも紹介しておきます。

ぜひ参考になれば嬉しいです!


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