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【実話】グレートマネージャーと伝説の店長③

前々回から伝説のAUショップの店長、Sさんシリーズ。

赴任したお店でスタッフのやりがいを聞き、仕事を楽しめる環境を作り続けたSさん。キャンペーンを機に、メンバーの魂に火がついた件について前回お伝えしました。

今回はそのメンバーたちの情熱が使命感に昇華し、最弱店が売上日本一に輝いたエピソードをお届けします。


仕事の意義ってなんだっけ??

キャンペーンが終わり、お荷物店舗だったお店がキャンペーンレースで入賞するのが普通になってきた頃、仕事の順調さと反比例し、Sさんは人生に迷っていました。携帯電話はどこのお店で売っても同じ、なんなら家電量販店の方が安い。


世界平和や環境問題の解決につながるわけでもなく、携帯電話という商品を心から素晴らしいと思って売っているわけでもない。自分の仕事の意義を見つけられなくなったそうです。


そこでSさんはスタッフたちに聞いてみたそうです。


「俺たちのショップの使命ってなんなんだろうね??」


…もちろんスタッフからも返事は返ってきません。その答えは見つからないまま、時間だけが過ぎていったそうです。


そんなある日のことでした。
あるスタッフが一枚のチラシを持って、Sさんのところに走ってきます。


「店長、店長!!」


「どうしたの??」


「これ、、、見てください!!」



スタッフが手に持っていたチラシをSさんの前で広げます。
そのチラシにはこう書いてありました。



「世界の子どもにワクチンを」

そう書いてあった一枚のA4用紙は、恵まれないアフリカの子供達にワクチンを送ろうという募金の広告だったそうです。


「これがどうしたの?」
Sさんは聞きます。


目をキラキラさせてスタッフは答えます。
「私たちが携帯電話を1台売ったら、ワクチンを一本寄付するんです。」


素晴らしいアイデアだとSさんは驚きました。何よりスタッフから自発的にそんな素敵なアイデアが出てきたことをSさんは店長として誇りに思えたそうです。

「いいね!!でもさ、、、本当に申し訳ないけど、、、本部からそんなお金、出してもらえないと思うんだ…だからちょっと難しいかもしれない…。」


Sさんは自分でも情けない想いで、スタッフに正直に伝えました。もちろん、何とかして実現したいけど、本部を動かすまでの道筋が見えなかったからです。するとスタッフの口から出た言葉が、Sさんに衝撃を与えます。


「違います!お金は私たちのポケットマネーから払うんです。みんな賛成してくれてます。あとは店長の許可だけです。やらせてください!!」


それを聞いたSさんは心底驚きました。このお店では、正社員はSさんのみ。他のスタッフはみんなアルバイトさんで、時給は900円。もちろん販売台数に応じたインセンティブもありません。
 

そんなスタッフが、自分が携帯電話を売ったらポケットマネーでワクチンを寄付するというのです。


遊びから情熱、情熱から使命感へ

この日から、スタッフの「情熱」は「使命感」に高まっていきます。


何のために携帯電話を売っているのかわからなかった集団が、


ただ楽しく仕事をするだけのお店が、


「世界の子どもにワクチンを届けるために携帯電話を販売するお店」に変わったのです。


自分たちで考えて、「仕事をする意味」を見出したのです。


販売が苦手だったスタッフですら、お客様に「これが売れたら、子供が助かるんです!」と真っ赤な顔をしながらお客様に携帯電話をお勧めしています。

もちろんお客様はそんなこと言われても、なんのことだかわかりません。でも、スタッフの熱やまっすぐな想いはお客様に届いているように思えました。何よりみんなかつてないほど活き活きと接客をしていたそうです。


Sさん、そして伝説へ…

そして、ワクチンを届けるという使命感を帯びた負け組ショップは、程なくして、新規契約台数日本一に過去最高販売数に輝き、その記録はドラゴンクエスト、スターウォーズに次ぐ伝説となります。

Sさんはその後、3年連続日本一に導いた手腕を生かし、現在は人材育成・組織開発の分野でコンサルタントとして大成功をされています。


ーー


まとめ

さて、Sさんのエピソードはここまでです。

読者の皆さんはこのエピソードを読まれてどう思いましたか?ご自身が過去に所属した最高のチームと重ねられて、共通してる部分を見つけることができたかもしれませんね。

実はこのエピソードにはエンゲージメントに必要な5つの「C」、通称【5C】と呼ばれるエンゲージメントの中で最も大事なポイントがしっかり抑えられているのです。

そこで、次回はSさんの事例を題材に【5C】を使いながら、エンゲージメントに必要な要素をわかりやすく紐解いて参ります。

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