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ベンチャー企業一期生で入社した私が悩んだ小さなこと <一般社員編>

はじめに

今回このノートを書くにあたって、わたしが体験してきたことの中で、誰かのメリットになることを考えました。

もしあるとすれば、年間5万社も誕生し続けていると言われるベンチャー企業に一期生として入社してきた経験。

ベンチャー企業で、これから新卒採用を始めたい経営者の方や、新卒採用を始めたけどなかなか定着しないとお悩みの人事の方に読んでほしい。

一般的なベンチャーはわたしは知りません。わたしはわたしの体験ベースで、あくまでうちの会社と同じくらいの規模の会社で起こりうることを入社当初から振り返って出来るだけ具体的にも書きます。

多くの新卒採用に携わる人は、わたしを含めこれから書くような「小さな痛み」は自分のリアルな辛さとして記憶しておけないと考えます。

特に入社してから、社会人になってから何年も経っている人であればあるほど難しい。

わたしも忘れていることが多いから、思い出しながら、誰かの視点を変えるヒントがもし見つかれば嬉しいと思いながら書きます。


どんなベンチャーだったのか

創業して6年目のウェブコンサルティングを主軸とする会社でした。当時、社長は一回り違う35歳。従業員数はアルバイト、在宅を含め30名程度。
創業してから毎年毎年、売上を伸ばし規模は10億に到達するかしないかの規模。

経営者の間では10億の壁というものが存在するそうですが、まさにその壁を乗り越えようとする時期。

新卒採用は、2016年に正式に開始し5名が入社。

採用の状況は、中途社員を雇っては、強いカルチャーの影響で定着せず、入社してから半年すると辞めるという状況の繰り返しでした。

そんな状況で、社長の価値観に近い人を優先して採用した新卒一期生の私たちは「社長から直接英才教育を受ける」ことが必然でした。

目に入れても痛くないくらい可愛がられ、内定時代から「あなたたちは優秀だから、将来幹部にして会社を変えるんだ!」と言われて育てられました。

例えば、

課題のフィードバックも社長から
ボイスメールの返事も社長から
特別課題も社長から直接指示

という状況でした。

当時から同じくらいの規模の他社の内定者に聞いてもそんな人はいなかったので、一期生だからという部分が強いのだと思っていました。

今話しかけていいのかわからない

わたしの場合、内定時代のアルバイトで経験したことですが、社内はチャット文化だったので忙しそうにしている先輩や上司に話しかけていいのかどうかがわからず、もやもやした気持ちがありました。

上司になった今では、「話しかけていいですか?」と聞けばいいじゃんと思えますが、当時はその一言も言いづらいなあと思っていたのです。

そう思わせてしまう環境には、原因が二つ。

一つは、社内の相談が基本チャットベースであること。もう一つは業務の会話以外を先輩上司とほぼしたことがなかったことです。

もし同じ悩みがある方は、後者を解決するためにいろんな質問をして先輩上司のこれまでや、基本的な価値観を知ると解決できるようになると思います。

上司は自分のWチェック係だと思ってた

入社当初、もちろん一人で仕事ができないので先輩のアシスタント的な業務をして覚えることから始まりました。

アルバイトの感覚が抜けなかったわたしは、

お客様に送る文章に誤字脱字があるか自分で確認しないで上司にそのまま確認してもらっていた時期がありました。

ここで言いたいことは、新卒は今まで上司がいた経験がないから、上司の役割や仕事を理解できていないということです。

本来は上司は誤字脱字のようなチェックではなく、例えばお客様対応が方針通りか、見積金額が適正かなどのチェックが仕事です。

わたしの場合、仕事は速くこなすことが大事と思っていたので

いつまで先輩にチェックしてもらわないとお客様に連絡できないのか、と考えた結果気がつきました。

役職がある人だけではなく、メンバーの役割や、ホウレンソウの定義は同じにした方がいいなと思います。

社長になんでも聞いていいと思ってる

内定時代、社長から直接特別課題を指示されたり、営業同行したりしていた距離感でしたから、もちろん社長の仕事も理解していません。

つまり、社長ではなくても分かることも社長に聞いていました。

例えば、

「採用サイトの設計書の書き方を教えてください。」

「サイトはどうやって作るのですか?」

のような実務的な内容でも聞いてしまっていたわけです。

悪気はなく、社長から頼まれたから社長に質問して正しい答えを聞きたかったのです。

お金の困りごとや、人間関係の相談はベンチャーの場合には社長に集約されると解決できることも多いのでいいと思います。

しかし、こうした実務的な内容は本来はメンターやお世話係がケアする内容です。新卒一期生は、社長との距離が近い分『何を聞いてはいけないのか』が分からなくなりやすいと感じています。


事を叱られていても自分が否定されたように感じる

うちの会社では、人ではなく事を叱れ!という教育方針だったので失敗しても人格否定されるような叱られ方をしたことはありません。

しかし、起こった事実と自分の解釈が混同していた当時のわたしは、失敗を指摘されるだけで自分が否定されたような気持ちになっていました。

例えば、入社して2ヶ月後に確認不足が原因となるクレームをもらいました。

事実は

『先輩から原因と対策を考えて報告して下さい。』と言われた

でもわたしの解釈は

『確認不足なんて有り得ない。このクレームどうするのかお前が考えたなんとかしろ』となってしまう。

先輩は、わたしの確認不足に怒っているわけでも、クレームについて詰めているわけでもありません。

事実を正しく理解するために確認してくれているのですが、わたしは自分の失敗やできないことに対して指摘されるということは相手は怒っているに違いないという解釈をしていたのです。

これは育ってきた背景も関係する解釈ですが、

このように事実と解釈が混同してストレスに感じている人本当に多いと思うのです。

特に学歴が良くて優秀であればあるほど、失敗を指摘されるのが怖い人が多いように感じます。


失敗してもいいと言われても落ち込むし、先輩はそんな道通ってないように見える

うちの会社では社長も断言するくらい

失敗は成長の元という考えです。

自慢ではないですが、同期で一番早くコケるように教育されてきたわたしは、一番失敗も多いです。

そんなわたしでも、未だに失敗すれば半日寝たいくらいには落ち込みます。

失敗したとき、もやもやした気持ちや落ち込んだ気持ちは解決できる人に相談すべきなんですが、先輩たちがスーパーマンに見えて相談しづらかった記憶があります。

一年目で一人で大きなお客様の担当をしている先輩や、部長として活躍する上司。

失敗とは無縁な人に見えていました。

けれども、とても恵まれていたわたしは先輩がすごく優しい人だったので、わたしが落ち込んだ時に、自分が一年目に経験したありえない失敗談をたくさんしてくれました。

先輩が教えてくれなかったら、自分より上の人たちは、自分が失敗するレベルのくだらない失敗なんてしない人たちなんだろうって思っていたままだったと思います。


「誰に何を相談したらいいの?」

組織図も役職もわからない

入社して1年半たったころ、会社を社長の個人商店的な組織ではなく、体系立てた組織に変えようということで組織図がかなり意識されるようになりました。

それまでは社長に直接案件の相談や確認をしていたものが部長を経由して部長が集約、確認。判断できるものは部長が判断するという一般的な構造です。

当時はまだ始めたばかりだったので、部長が判断できず社長への伝書鳩役となっていました。

ここでも仕事を早く進めたいわたしは、

分からない部長をすっ飛ばして社長に質問するという手段を取ってしまっていました。

社会人経験豊富な人からしたら、組織図を見ればわかるのかもしれません。

けど、組織図によって伝達のされ方によっては分からなくて悩む新卒社員は本当に多いと思います。

なんのためにその構造になったのか、
誰がどの権限まで決定権があるのか、

この辺りは明文化し、きちんとビジョンを添えて伝えたらいいのではと思います。


自分のキャリアステップのイメージが掴みづらい

入社して三年目になる頃、一つの目標としていた課長になりました。このとき、わたしはこの先どうなるかなと漠然と感じました。

そもそも、わたしは入社を決めた時点で、社長を超えるという目標を密かに持っていたくらいで自分がどうなりたいと明確だったタイプではありません。

入社を決めたのも、いただいたご縁の中で、嘘をつかない自分で価値観が似ている会社だと思ったから。

実は最近、このどうなりたいがイメージできないことが根本的な問題となり退職してしまった後輩が二人いました。

価値観採用が、悪いわけでも

その採用した会社が悪いわけでもないとは感じます。

でも新卒採用はじめたての会社で、新卒社員が幹部になっていない時期の会社ではよくあることなのではと感じます。

お手本にしやすいキャリアステップが分かりづらいということです。

もしかしかたら、教育でなんとかなるのかもしれませんが、うちの場合、どうしたら解決できるのかまだ見えていません。


価値観が合わない先輩や上司に困惑し、信頼しづらくなった

入社して半年くらいたったとき、特に中途入社の人と話すときに「使う言葉が違うな」と感じるようになりました。

ここでの言葉とは、社内での言葉の定義や方針なども含め、社長が右といったときの姿勢もです。

別にわたしは100%みんな同じ価値観でなくてはいけないと思っていないので、それでもいいと思ってました。

しかし、価値観が合わないと自分と同じではないかもしれないから、「否定されるかもしれない」「社長が思う正しさと違うかもしれないのに相談していいのかな」と疑ってしまう場面がありました。

つまり、自分の価値観ではお客様のためにこうした方がいいと思って発言しても、上司にそこまでしなくていいと言い切られてしまうわけです。

おかしいなと思っても、どうにもできない。

信頼しないという選択になっていました。

中途の人が辞めることは会社が原因なのかもしれないと感じる

昔から新卒がたくさん入ると価値観が合わない中途が辞めるけど、悪く思わないでと言われてきました。

でも人事を経験するまでのわたしは

人が辞めること=嫌なことがあったのかもしれない、会社が悪いのかもしれない

といった具合に悪いことに感じていました。

今でこそ、合わないと感じた人は新しい環境で活躍した方が本人のためにもなり市場としても最適であると思えますが、

当時は、今いるメンバーに合わせて会社が調整できないことが、100%悪いと感じていたのです。

だから、幹部候補として新卒を入れるのであれば、中途の人が辞めた段階で会社が悪いわけでも、本人が悪いわけでもないという話をしてあげたほうがその子のためになると思っています。


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