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我々Foo Tokyo(ファッションブランド)が、この状況下、何を考え、何をしているのか

初めてのnoteになります。Foo Tokyoの桑原です。
3月から4月にかけて、世界は大きく変わりました。政府はリモートやテレワークを叫び、国民は外出自粛をし、かつての日常はもうありません。

ファッション業界においてもお察しの通り、状況はかなり深刻です。LVMHやケリングといったグローバルラグジュアリー企業が欧米中心という事もあり、新規生産が止まり、コレクションも中止という、前代未聞の事態が発生しています。

ファッションやアパレルは今、やばいでしょ、そういう雰囲気が有ります。確かに大変です。ブランドの多くは潰れ、半分になるとも言われています。いま、Foo Tokyoがブランドとして何を考え、何をしているのか。普段は発信しないことを何故発信しようと思ったのか。

このような非常時は、次の時代への新しい芽が生まれる瞬間でもあると思っています。この状況下、知恵知識のシェアをすることで力になり、1社でも多くのブランドが残ってほしい。参考になる部分が僅かながらあるかもと思い、noteにて発信することにしました。

本題に入る前に、Foo Tokyoについて。

我々Foo Tokyoは「ただいま」から「いってきます」のおうち時間をデザインするブランドとして2018年に産声を上げました。ブランドを始める際にブランドの軸として選んだのが、ルームウェアやパジャマでした。何故、ルームウェアだったのか。その一番の理由は、ファッションとしてまだまだ未開の地であり、突き詰めることで日本から世界を魅了できるファッションカテゴリーになると馬鹿正直に信じているからです。それは、縫製技術や生地のクオリティ、そして古来から我々に流れる美意識(ここでの美意識とは、これは良い、これはいけない、と直感的・本能的に意思決定できる才能)、日本に材料はすべて揃っているから。その技術や美意識こそ、人の肌に近しい服に応用すべきだと。多くのデザイナーは外行きの服を作りますが、我々は逆に、真剣に、ルームウェアを創っています。

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少し余談ですが、衣食住の「衣」、その語源は人の肌を隠すという意味の「隠」から来ているという説が有り、「衣は隠なり」と言われます。衣は元々、無防備な人を包み込む役割をもって生まれました。その本源的価値を再考・再構築する、その過程にダイナミズムも感じます。

ブランドのコンセプトは「何もしない=ラグジュアリー」

働き方改革が叫ばれる中、頑張っている人ほど、頑張り過ぎてしまうという現実。ブレインハッキングやAIなど、生身の人間の能力を超えたところで進む、技術の進歩。

そんな社会の中で、
「何もしない」ことを肯定してくれるブランドアイデンティティ。
「アナログ」でいることを、ラグジュアリーとして認める文化。

をブランドの根幹に据えています。

リラックスのスイッチが入る時、人は「ふぅ」と息を吐きます。
"Foo"というブランド名が広がれば広がるほど、世界は少しだけリラックスするよね、そういう想いをブランドの名前に込めました。

こちらは2018年、ブランドデビューしたての時に初めて受けたインタビュー記事です。設立以来、想いは何も変わっていません。

Foo Tokyoがいま何を考え、何をしているのか。

以下の3つが、Foo Tokyoの主な指針です。どのブランドにも、共通する指針ではないでしょうか。
①より多くの方が、ギフトを贈り、贈られる世界を創る一助となる
②クリエイションの灯を絶やさない
③既存のお客様を大切にし、ブランドコンセプトを体現する我々らしい貢献の仕方を考える

①より多くの方が、ギフトを贈り、贈られる世界を創る一助となる

Foo Tokyoはギフトとして使っていただけることがとても多く、9割がギフトです。ブランドとしてギフトに使っていただけるほど嬉しいことはありません。こんな時だから、ギフトを贈ろうよ、我々はそういいたい。たとえ新型コロナウイルスによる恐怖が世界を包もうとも、人の事を想い、祝う気持ちは侵されないと信じています。

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我々は、"今年の5月10日の母の日は「みんなの日」と言い換え、ギフトを贈る言い訳にしようよ" そう発信しました。金銭的ハードルを下げるため、ギフトカテゴリー内商品を50%オフ。ブランド初の割引です(この金額の割引は、今回のような非常事態宣言が発令されない限り、もう二度とないです)。各種メディアでの掲載などもあり、非常に多くの反響をいただきました。

実は、このプロジェクトには裏の理由があります。それは、今までブランドがお世話になった産地への発注を止めないため、という事。日本各地にある産地にFoo Tokyoは支えられ、創る商品は一級品のクオリティを保てています。ただ、このコロナ禍において、アパレルが厳しいというニュースは出てきますが、それを支える産地はもっともっと厳しい。今だからこそ、いくばくかの恩返しの気持ちで、このプロジェクトを決断しました。期間は緊急事態宣言発令中を想定しています(母の日ギフトは5/7中のご注文まで間に合います)。

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②クリエイションの灯を絶やさない。良いクリエイションは人の心を豊かにする

こんな状況下だからこそ、クリエイションを止めてはいけない。新しい商品の事を考え、製作し、世に問う事。素敵な商品に出逢った時、それを纏った時、その喜びを奪ってはいけない。リアルという場所が奪われても、今の時代、ツールは何だってあります。新商品についての発信を止めない事を大切にしたい。

我々Foo Tokyoは、今までもこれからも、商品を発表し続けることを止めません。クリエイションというエンターテインメントを提供することが、我々にできることだど思うからです。

4月20日には、日本の伝統色をモチーフにしたシルクパジャマを発表しました。一部、プレスリリースの文章を抜粋します。我々ながら、本当に良い商品が作れたと自負しています。

日本の古来から続く伝統的な美の色彩から着想した3色のバリエーション。日本人は古来より、染織物や陶芸などに多彩な色合いを古来から取り入れ、侘び寂びの世界などを表現してきました。人の五感の割合は、「味覚1.0%、触覚 1.5%、臭覚 3.5%、聴覚 11.0%、視覚 83.0%」とも言われており (*1)、視覚から得る情報は非常に多く、その構成要素のなかでも「色」というのはとても大きな意味を持ちます。1日の1/3程度を睡眠に当てるからこそ、視覚(デザイン)・触覚(着心地)の観点からもリラックスできるよう、日本の伝統色から着想を得た3色を製作しました。爽やかな【青磁色】のミントグリーン、柔らかな【薄色】のピンクベージュ、落ち着いた【勝色】エレガントネイビー、の3つのカラーバリエーションです。

シルクパジャマ3色

同時に、もう一つ大切なこと。それは生産を止めてはいけないという事。ブランド設立からお世話になってきた縫製工場さん、生地工場さん、今だからこそ、商品の生産を進めています。ルームウェアは確かに、コロナ禍において、ファッションの中では比較的需要は有る商材です。いまこそ、職人を支えられるブランドになれればと思っています。

③既存のお客様を大切にし、ブランドコンセプトを体現する我々らしい貢献の仕方を考える

我々は『何もしないことはラグジュアリーである』というコンセプトのブランドです。今以上に『何もしない』で良い時間は有るでしょうか。家に居るだけで、多くの人の命を助けています。

一方で、そんなこと言っても何もしない時間を長時間取ることもできない。SNSやTVではコロナの報道一色で心までコロナに侵されそうになってしまう人も多いのでは。

我々は、心だけは、コロナに侵されないように、そういう想いを既存のお客様に伝えたかった。

そこで、SNSやTVなど、新しい情報が常にアップデートされるものではなく、時間がゆっくりながれ、コロナの情報が入ってこない、【本】をおうちで読んでみては?という提案をしました。たまには、勉強の本ではなく、自分の好きな本を読んでもいいじゃないか、と。

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お手紙に、一言添えて、本の栞をお送りしました。個別にメッセージをくださる方、SNSでも「本を読んでみようかなと思いました」と紹介してくださる方、着実に、想いが伝わっているのが感じられました。

マスクを作って売るのはどうか?という考えも一瞬よぎりましたが、政府がマスクを配布し、多くのブランドがマスク生産に乗り出す中、我々Foo Tokyoらしい貢献を真剣に考えた結果、「本の栞」に辿り着きました。

最後に

尊敬している方から送られた、1998年のマルタン・マルジェラのインタビューがあります。ブランドとして、人々に夢を見させ続けること。"普通の"生活に戻る事への意志を取り戻させること。他ならぬファッションだからこそできる世の中に対する貢献。我々にも深く刺さりました。

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医療関係者をはじめとする多くの方の努力と協力の元、コロナは必ず終息します。世界中の全員で打ち克つ、この体験をした世界は、一段と素晴らしい世界になると信じ、今を過ごせればと思います。

(これからも、こちらのnoteで定期的に、発信していきます)

Foo Tokyo Twitter: 

Masaaki Kuwabara Twitter:


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