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世界一食べ物が美味しくないと言われる国で、食品開発をした話①

こんにちは、らびです。

日系グローバル企業の食品系事業部で営業・マーケティング・開発などをやっています。

普段は食に関わる情報を中心に書いているのですが、今回は「食の学び」ではなく、私の身の上話。この記事は・・・

・食の分野でのキャリアに興味がある人
・海外勤務を目指している/迷っている人

以上の方々の参考になったり、楽しんで頂けたら嬉しいな、という気持ちで書いております。

実は私、大学卒業後、何年か国内で仕事をした後に「食べ物が美味しくない」事で有名なイギリスで大学院を出て、現地の食品企業で働いた経験があります。

このシリーズでは何回かに分けて、私が海外勤務で働いた体験・学んだことや、海外生活のリアル話、イギリスの食などにスポットを当ててお話したいと思います。

1. イギリスのインターン事情

外国籍の人間が現地企業に勤める為の正攻法が、インターン経由での正規採用です。

大学院在籍中、幸運にもインターン経由で任期付き採用を頂きました。

数年前まで現地で働いていたのですが、インターンを勝ち取るには現地学生や他国の留学生達との熾烈な競争に打ち勝たねばなりません・・・。

これは現地学生達も同様で、日本と違っていきなり正社員で雇われる事はあまりなく、インターンを数ヶ月〜1年くらい経験してから正規採用となる場合が多いです。

賃金ですが、私の周りは無給が多かったです(私も当初は無給でした・・・)。

募集要項見ると、1/3は賃金あり、2/3は無給って感じでした。ユニリーバ、ネスレなどグローバル大手は給与有りが多かったです。給与ありでも、それだけで暮らす事は不可能な額でしたね。

今回は現地のフランス系香料会社でのインターンに受かるまでの詳細を紹介したいと思います!

● 書類選考

CV(履歴書)は大学のチューターに何度も校正を受け、大学の推薦状付きで提出しました。イギリスでは今だに推薦状(Reference)文化が根強く、就職や大学院入学では「その道のプロ」からの推薦状が必要です

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転職では元上司や同僚の推薦状、大学院では学部教授の推薦状など。

だから皆さん、留学・海外転職を考えている場合は、ケンカ別れはなるべく避けて上司や教授とは仲良くしておきましょうね。笑

● 1次面接〜Skype

1度目はSkypeで簡単な挨拶と志望動機。

Mattと名乗る男性(面接官)は、ユニリーバで10年以上紅茶開発をしていた紅茶開発のプロらしい。激務が嫌で香料屋に転身したんだ、と笑っていました。

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Mattのイメージ図
40歳になったエド・シーランって感じのおっちゃん。
朝は紅茶とポリッジ食べてます

「日本から来たの?イギリスの食べ物は日本より全然うまいだろ?」という皮肉か、本気かわからない事を言われ、少し焦る。

苦し紛れに、「フィッシュ&チップスは僕のソウルフードになりつつある」と言ったら、満足げな顔をしていました(と、思う)。

● 2次面接〜対面、香りの調合

1週間後、1次面接通過のお知らせと2次面接の日程が記載された、簡素なメールが届きました。面接では何をやるかなど書いていないので、念のため自己PRの資料を印刷して準備・持参。

そして驚いたのですが、2度目は実際にラボで処方箋(香りのレシピ)をいきなり渡されて、香料の調合をさせられました。。。

これを自分で計算して50ml作って、混ぜる順番気をつけて〜」

みたいな。

指示書には注意点が書いてある。混ぜる順番とかですね。

基礎的な演算能力、濃度計算、実験器具の使い方を見てるようでした。

5名の学生(アジア系は私一人)に指示書、白衣、ゴーグル等を渡し、30分で調合してくれと言われる。完成した香料を、指定した添加量で濃縮シロップに添加して、ストレートに割るところで試験が終了。

その後、配合量を計算した紙と、出来上がった香料、香料を添加した飲料の3つを面接官に渡して2次面接は終了。

帰り際、玄関に別の学生がやはり5名居たので「結構受けてるのか・・」と思い少し焦る。

● 3次面接〜30分間のプレゼンテーション

2次面接から通過のお知らせを頂くまで、3週間ほどの期間が空いたので、落ちたと思い落ち込んでいたが、何とか通過していました・・・。

この間は同級生たちが続々に内定を取り出したので、結構焦ってましたね・・・。

3次面接は「あなたが思う革新的な加工食品」について30分間プレゼンテーションして欲しい、と言われ内心ガッツポーズ!王道な質疑応答ベースの面接は非ネイティブだとやはり厳しい・・・それに比べてプレゼンは事前準備でほぼ決まるので、英語でも本領が発揮しやすいです。

課題を見た瞬間にヨーグリーナと透明のミルクティーが頭に浮かび、自己PRや香りの話にも繋げやすいのでその2品を選ぶ。

面接まで1週間だったので、親に頼み急いでDHLでヨーグリーナをイギリスに送ってもらう。

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本番当日は、1次面接で対応してくれたMatt(開発責任者)の他に、ラボの所長であるBrian、マーケティング部の女性2名に対応していただいた。

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Brianのイメージ図
ブルースウィルス似のダンディーなイケメン
開発、営業、マーケを一手に見る英国支部の上級管理職

香りの観点からは、香料表記のいらない「乳清発酵液」について説明(聞きかじりの知識ですが。笑)。私自身、香料表記の要らない発酵技術の研究開発をしていたので、この点がアピールポイントにはなったと感じてます。

発表後、受けた質問はプレゼンの内容半分(なぜ日本でそれが流行ったか?イギリスで売るとしたら同じ施策でも流行るか?など)と、経歴に関して(なぜ社会人留学したか?前職での実績は?大学を出たらどうするの?など)。

● 最後に

なんやかんやでプレゼンを乗り切り、無事インターンに受かることができました!

淡々と書いておりますが、当時のストレスは本当に半端なかったです。。。

私の通っていた修士は理系でありながら実学重視で、修士論文は原則企業との共同研究(ほとんどが企業先派遣)。大学はサポートはしてくれるものの、インターン先は自分で応募して合格する必要があり、冬休みのうちに内定を取らないと、修士論文なしの修士号、単位取得のみの「落ちこぼれ」の烙印を押されます・・・(修了証明書に「単位取得のみ」と書かれます)。

クラスメイト約30名中、インターン先を見つけられなかった人は3名いて、2人辞めて1人は留年すると聞いたので、やはり海外大学院は厳しく、ついて行くのに必死でした。。。

次回以降は、英国式とフランス式の労働環境(フランス系企業だったので)が混じりあった、自由で面白い職場や実際の仕事内容についても書ければと思います!

需要あるかわかりませんが、、まったり続けてみたいと思います〜。


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