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総合商社と食品業界のふかーい関係②

こんにちは、食品業界で働いているらびです!

前回の、「総合商社と食品業界のふかーい関係①」では、日本のフードシステムの概要と、総合商社・食品メーカーの関係性をお話ししました。

今回は総合商社と食品流通業(卸売業)小売業の関係性をお話ししたいと思います!食品業界の方はもちろん、異業種の人や学生さんでもわかるような噛み砕いた内容にしましたので、ぜひご覧ください。

食品卸と総合商社

商社と卸(問屋)の違いを簡単に表すと、"輸出入を行うのが商社、国内流通をメインに担うのが卸(問屋)"と言えます。

日本には "三代卸" と呼ばれる食品卸業者(この場合はメーカーから小売への商流)がいまして、三菱食品、日本アクセス、国分グループの3社になります。

食品卸と総合商社("業務提携・資本関係"のものを抜粋)
● 三菱商事:三菱食品(業界1位)
● 伊藤忠商事:日本アクセス(業界2位)、伊藤忠食品、伊藤忠食糧
● 三井物産:三井食品(業界5位)
● 丸紅:山星屋、ナックスナカムラ
※業界3位の国分は三井食品と提携、業界4位の加藤産業は三菱、三井、住友と提携 

上記のような食品卸のおかげで、小売業者は欲しい商品を仕入れて売ることができます。しかしながら近年はメーカーと小売が直取引を行う事例が増えてきたり、大手小売(イオンなど)、大手外食、コンビニの購買力が強まり、卸は薄利多売になりつつあります・・・

当然このままではまずい・・・

そこで、大手食品卸が力を入れているのがマーチャンダイジング(プライベートブランド(PB)開発など)です。大手卸の強みは、数十万の商品を数万店舗に卸したり、日本全国に全温度帯の物流拠点を持っている事です。このような卸売業者特有の情報・資産を駆使し、PB商品を開発したり売れる仕組み作りを行う人を「マーチャンダイザー」と呼び、メーカーで言うと「マーケター」や「商品開発」に近い業務内容になります。他にもコンビニのベンダーなども開発を担っており、商品開発をしているのは、食品メーカーだけでは無いのです。

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日本アクセスがオリジナル開発した植物性のMAL de MEAT(食品新聞より引用)

小売業と総合商社

最後に、私たちにとって最も身近な「小売業」と総合商社の関係を解きほぐしていきます。以下が総合商社と関係のある、小売業になります。

小売業と総合商社(業務提携・出資関係のものを抜粋
● 三菱商事:イオン、ローソン、ライフ
● 伊藤忠商事:ファミリーマート、ユニー(アピタ)
● 三井物産:セブン&アイ、
● 丸紅:イオンマーケットインベストメント

三菱商事は多くの人材をローソンに送り込んでおり、現サントリーの社長である新浪剛史氏も、三菱商事から出向でローソンへ行き、最終的に商事を退職してローソンのCEOを務めました

新浪氏が社長に就任し、社長直轄の商品開発部発足の際、開発経験者を一斉排除し、未経験者のみでメンバーを構成。さらに、当時100円前後のおにぎりが主流だったコンビニで、200円弱の高級おにぎりを開発。当時社内からは、社長の大胆な施策に不安の声が多かったものの、実際におにぎりの高級路線は成功。しっかりと成果を残す事ができました。

また、近年伊藤忠がTOBでファミリーマートを子会社化し、上場廃止したニュースも新しいですね。

三菱、伊藤忠がローソン、ファミマをがっちり押さえているのに対して、三井物産はセブン&アイに出資しているものの、出資比率約1.8%と関係性は強固とは言えません・・・

しかしながら、実質的創業者である鈴木敏文氏の経営からの勇退やセブンペイやフランチャイズとの労働問題などで地盤が揺らいでいる中、三井物産がどのように動いていくかは注目かもしれません。

まとめ

商社はインフラ。

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記事で紹介した、MAL de MEATみたいな〇〇de〇〇ってネーミング、よくあるじゃないですか。一見安直に見えますが、実は一発で作り手の意図が伝わって、ネーミングとしては秀逸だったりするんです(小林製薬とか、天才的ですよね)。

でも、あれって凄く優秀なマーケティングや開発のプロがあれやこれや議論したり、時には社内公募したりして名前を決めてるんですね。

で、散々「本当にこれでいいのか?」て議論をして、最終的に役員会で発表するわけですよ。

「今回の新商品の名前は、MAL de MEATです!」
って。

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発表した後、多分シーンとした後に、ワラけてきたと思うんです。
「え?w散々考えてきた挙句、それ?俺でも思い付くわw」とか言う、厳しい社長もいると思うんです。
でも、それってチャンスなんです。

「でも社長・・・今、ちょっと笑いましたよね?????」
「社長、○○監査役も、今必死で笑いこらえてますよ?????」
「社長、ご覧ください。このネーミングは、全人類を笑顔にするキラーワードなんです」


きちんと企画内容や作り手の意思さえしっかりしてれば、こんな感じで心に訴えれば、必ず熱意は伝わると思います。しらんけど。




おしまい


※本記事は以下の書籍から一部情報を引用しております。業界についてもっと知りたい方はぜひご覧くださいませ!

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