店をあえて荒らす勇気
もうこのタイトルにおいては完全に自分のこと。
6月に入り、自身で販売しているBaseショップを解体改革していってる。
2月から5月まで一貫して自分の商品を販売して本当にたくさんのお客様とのやり取りやアドバイスを頂いた。
6月に入ったら自粛生活も終わるにつれて売り上げもどんどん落ちるだろうと予測していたし、
2月から5月にかけての販売数の上昇は僕の店を始めるタイミングがちょうど新型コロナと一緒のタイミングであったことの偶然だとも思っていた。
僕はあまり自分の実力を信用していない。
お客様から頂いたオーダーは全力を持って取り組んでいたし、全力を出すからこそ発送が遅れてご迷惑をおかけした方も多くいたと思う。
その分言い訳になるが妥協はしていないし、少しでも乳化が失敗した商品は容赦なく捨てた。
そんな中、食材にも悪いし自分の焦りがお客様に対して迷惑をかけている状況に違和感を持ち、商品数を減らした。下にあげた記事のとおりである。
その中で販売を続けていく中でお客様から次のような嬉しいメールを頂いた。
前回、注文して、力のある方かもしれない、と思い、他のお菓子も
食べてみたいと思いました。もう少し先でもいいかと思っていましたが、
商品の数を減らしているとのことでしたので、気になっているものが
あるうちに注文しておこうと思いました。ちなみに、商品数を減らすことについては、悪く思っているわけではありません。
誠実に作られたものは、味に表れると思います。雑に作られたものも
伝わってしまうものです。
まだ試行錯誤の段階のようですが、お客さんと、お菓子と、しっかり
向き合える範囲でやっていくというのは、多分、よいことなんじゃ
ないかな?私としては、おいしいものを届けてもらうことが大事です。
本当にありがたいお言葉で、いまだに自分に自信がなくなるときは読み返している。
そしてまた店のカタチを変更した。
店のレシピを公開した。私自身特段特別な配合でやっているとは思ていないが、
だからこそ、特別な配合ではないからこそ、お客様自身が試せるのではないかと思い始めた。
レシピには価値がある。超有名店のレシピはあまり明かされることはなし、僕自身触れられるなら見たいとは思うが、
それはそれ。僕のレシピははっきり言って有名でも価値があるとも思っていない。
奢った言い方にはなるが、僕のお菓子は「僕が作る」から価値がある と思っている。
それはやはり長年料理人として働いてきた知識や小さいけど大切なポイント、一瞬一瞬に込める集中力や、失敗したからこそわかる成功の形があるからだと思う。
本来料理人の価値はそこに存在しているわけであって、レシピをたくさん集めるという役得的な収集業務が価値ではない。
今は僕は店頭の商品を「sold out」にしている。
レシピを公開しているわけだから多分買う人も少なくなるだろう。そもそも自分の成長がフェーズ2に移行していてこれ以上利益を取らずに「信頼構築」を基本としているのだから、商品を販売している必要もないのではないかと思った。
フェーズ2の詳細はこちら↑↑↑
でもやはり料理人は作品を作っているときが一番生き生きしてると思うし、その「楽しみ」は捨てたくないので、機会として1か月ごとの新商品は販売している。
ある程度世間からの評価を頂いたら自分なりにその情報を分析しておしまいにする。
Baseのブログにもそのような内容はしっかりと記載していて、繰り返しこのように記載している。
しかしながらBaseではその紹介時に100円という表示を消すことが出来ません。購入のお間違えの無いようにお願いいたします。
僕のレシピを購入したいと言ってくれている人は意外と多くて、その人たちから100円頂いている意味がよくわからなくなったので、すべての購入者の方にこのような説明を一人一人させていただき返金していっていた中、それでも購入してくれてる人もいる。
注意書きを読んでいるのにだ。
その方は100円でなくても買うだろうし、今後もその意向だとおっしゃってくれている。
もちろん今まで通り無料でnoteにて読めるようにしていくつもりだし、baseで購入してくれているお客様の中にはnoteというものを知らない方も多いと思うので、base上にもnoteのURLと「無料です」という言葉は残し続けるけど、
こうやって理由を分かっていながらでも購入してくれている方々は本当に「幾らだから」という理由ではなく、クラウドファンディング的な考え方で支援してくれているのだと思う。
僕が求めていたお客様との関係はきっとこうゆうもので、「信頼」がお客様の方からやってきたことを本当にうれしく思っている。
本当に腹をくくらないといけない。どう腹をくくるかといったら、『店が潰れてもいい』と思うことだと思うんっす。
潰れたっていいっていう無責任な話じゃなくて、潰れても料理ができるところはどこにでもある。もっとそういうことが伝わって欲しいなと思ってますね。目先のキャッシュに目がくらんで、お客様にベクトルが向かわずに、優しくなくなるんじゃなくて。もっと料理の視点のあり方とか料理の力を信じてほしいと思う。
潰れたって俺たちは、どこでだって料理できるんですよ。僕は、いつだって店を潰す勇気を持ってる。だから全力でお客様に向き合えているんです」
sio料理長の鳥羽シェフの言葉が今の僕にとても響いたのは、鳥羽シェフが当たり前に頭の真ん中に置いていることを僕がやっと理解して自分なりの現実に当てはめれているからだと思う。
店をつぶしたいとも、潰れていいとも思っていない。
でも料理人の価値は何かを隠しながらの経営ではなく、みんなと仲良く料理を盛り上げることに僕は美しさを感じる。
昔夢見た料理人像はみんな笑っていた。料理業界では年を取るほど真剣だからこそかもしれないがしかめっ面をしてしまうことも多いけど、
きっと心から楽しいと思える方向に進めると料理も昔見てたみたいにもっと色鮮やかになって幸せな未来が手に入るんだと思う。
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。