【イベントレポート】#FOODlab開会式&農業用ドローンの今(2020.08.25)
本記事は、2020年8月25日に実施した、『【8月25日】祝!#FOODlab開会式&トークセッション「農業用ドローンの今」』というイベントのイベントレポートです!
2020年8月25日、FOODBOX株式会社が#FOODlab というオンラインコミュニティを開設し、記念すべき1回目のオンラインイベントを開催いたしました。コミュニティ自体は月額費用1000円 / 月(学生は500円/月)と有料ですが、初回ということで本イベントは無料で実施されました。
タイムテーブルは、前半は運営のご紹介もかねて
FOODBOXについてのご紹介
#FOODlab の目的とその目指す形
今後のイベントスケジュールの共有
を行い、
後半は本イベントのメインである
農業用ドローンを取り巻く現状のご紹介
を行いました。基本は運営側がスピーカーとなりお話をし、最後に質疑応答という形で参加者の方からの質問を募集し、回答する形のセミナーとなりました!
本記事では、『【8月25日】祝!#FOODlab開会式&トークセッション「農業用ドローンの今」』のイベントでスピーカーが話した内容を要約する形で、記事にしてご紹介します。
今回は初回ということで、特別に話した内容を細かくご紹介します!
セミナーの要点だけをまとめた切り抜き動画も貼っておきますので、動画で見たい方はこちらをご覧ください!
#FOODlab の目的とその目指す形
農家は、地域に根ざしてお仕事をされている場合が多く、地域や作物を超えて自由に出会う機会がそう多くない。実際、農協の部会などはありますが、農協に所属していない農家が集まる、自由な組織はあまりありません。
「農家を中心に、食・農業に興味のある企業・個人が集まり、新たな価値を生む場所にしたい」という想いから、この#FOODlab というオンラインコミュニティを立ち上げました。
活動内容としては、facebook非公開グループ内での交流はもちろん、月2回のオンラインイベントと、不定期開催のオフラインイベントを想定しております。
イベントの内容は、
日頃出会えない食・農業界のプロによる発信
サロンメンバーの農家さんによる発信
FOODBOXからの発信
といった形で行っています!
#FOODlab自体についてご紹介している記事がHPにありますので、気になる方はそちらもご覧ください!
農業用ドローンを取り巻く現状のご紹介
▼世界の農業用ドローン
世間一般にドローンというと、映像や写真の撮影が主な用途のものを想像すると言いますが、今回お話しするのは産業用ドローン、とりわけ農業に特化した「農業用ドローン」についてお話しさせていただきます。
農業用ドローン・一般ドローンに関係なく、有名なメーカーは、中国のXAG社とDJI社でしょう。DJI社は、一般向けドローンだとシェア70%を持っていると言われています。
農業用ドローンに関して、中国のXAG社は、2019年末時点で顧客として630万の農家を抱え、2000万haもの農地の農薬散布をサポートしていると言われています。ドローンの販売台数は約6万台で、うち中国国内で販売されているものが4万台を占めているようです。
XAG社では、今飛行中のドローンが何台で、飛んでいるドローンがどのような画像/映像を撮影している、というようなデータが本社でわかるようになっているそうです。そのデータを活用して、日々製品の品質向上が行われています。
XAG社は、「ドローンで取得したデータが、現地のロボティクスのトラクターや人にリアルタイムで共有されて、それをもとに現場が動いていく」といった世界の実現を目指しています。
▼日本の農業用ドローン
日本では、農業用ドローンは農薬散布のために活用されるのがメインとなっています。中国では当たり前に行われている肥料散布や播種への応用も日本では徐々に進んで生きている、というのが現状です。
その他にも、受粉や荷物の運搬、農作物の生育 / 病害虫の発生状況のモニタリングなどへの応用が想定されています。
「農薬散布を行う機械」という印象が強い農業ドローンですが、これからはアタッチメントをつけてドローンをいろいろな用途で活用していくことが一般的になっていくでしょう。
▼農業用ドローンの手動と自動
農業用ドローンには、大きく分けて手動 / 自動のものがあります。
手動のドローンは手動で動かすため、飛ばしたドローンがどこかにぶつかってしまうなどのリスクが存在します。そのため、手動の農業用ドローンを扱う際は、3-5日間の講習を受けることが義務付けられています。
また、手動の農業用ドローンを飛行させる際は、操縦者1名だけではなく補助員を入れた2名体制で行うことが推奨されています。
バッテリー1つで10分~15分、面積でいうと1ha分ほど農薬散布を行うことができます。夏など、高温下での作業では、バッテリーの持ちは上記より悪くなることがあります。そのため、一度に広い面積に農薬を撒こうとすると、正直10-15本のバッテリーが必要になるが、このバッテリーが高価で、ドローン導入のネックになっているのが現状です。
操縦者の負担が少ないため、今後は自動ドローンの方が手動ドローンよりも普及していくと考えられる。ただし、機体が手動のものより高価なことが多く、導入のネックになっています。
自動農業用ドローンは、自動で発着・飛行・散布・障害物回避を行うことができます。
自動ドローンにも講習はあるが、手動ドローンより扱いが簡単であるため、講習の期間も1-2日と短くなっており、費用も安くなっています。
農業用ドローンの許認可について
ヘリコプターと違い、農業用ドローンの操縦に原則としてライセンスは必要ありません。ただし、操縦者には農林水産省から認定を受けた機関で講習を受けることが義務付けられています。現状はライセンスはありませんが、今後ライセンスが必要になる可能性もあります。
また、飛行自体は国土交通省に届出を出す必要があります。
農業用ドローンの操縦資格と初期費用について解説した記事もございますが、気になる方はそちらも併せてご覧ください!
農業用ドローンのメリットとデメリット
農業用ドローンのメリット / デメリットは下記です。
メリット
1名から作業可能で、人手不足解消になる
小回りが効くため、無人ヘリでは作業がしにくいような障害物が多い圃場で活躍する
共同防除で、防除時期に農薬散布を行うことができないときに、手軽に対応可能
雨続きでブームスプレイヤーが圃場に入れない場合でも、農薬散布が可能
作業時の騒音がヘリコプターより小さい
生育診断をリアルタイム且つより作物に近い状況で行うことができる
デメリット
農薬などの積載可能量が8-16L/kg と小さい(ラジヘリは 32L/kg)
バッテリーが持続時間が短く、1つのバッテリーで10-15分(1ha分)ほどしか作業ができない
風に弱く機体が煽られ、散布した農薬が他の場所に飛散してしまうことがある
農薬散布面で、根元まで散布が届かず、散布ムラが生じる
自動操縦機能が使える圃場条件が少ない
生育診断への活用
従来は、生育診断は人工衛星などを活用するのが一般的でした。
しかし、人工衛星を使うと地球から遠いところからの撮影になるため、どうしても画質が粗くなってしまいます。また、衛星から撮る画像はリアルタイムではなく、画像の取得が1週間から10日に1回になってしまいます。リアルタイムではない場合、画像の生育診断への活用を十分に行えるとは言いづらいでしょう。
一方、農業用ドローンを使うと、リアルタイムに圃場の状況を把握することができます。より解像度が高く、リアルタイムの情報は収量の予測や生育ムラの把握に活用することができます!
経年データをの蓄積も可能であり、ベテランが経験と勘で行っていた判断を、若手もデータをもとにして実現することが期待されています。
質疑応答
最後に、イベントを終えて、参加者の方から質問を募集し、回答を行いました。
その一部をご紹介します!
A. まず、保険の加入に12万円/年ほどかかります。
大体の農業ドローンは自分で洗浄ができるため、基本的なメンテナンスを外部に依頼する必要はありません。
しかし、故障したりなど修理が必要になった際は、入っている保険と自分の持ち出しで対応していただくことになります。
A. 中国ではお茶栽培が盛んで、実際活用もされています。
しかし、まだまだ葉裏に農薬が届かないという課題はあるながらも、ドローンを低く飛ばしたり、農薬に展着材を入れたりして、葉裏まで届かせる工夫は行なっているようです。
参加者の声
今回のイベントにご参加いただいた方からは、次のようなコメントをいただきました!ご参加いただき、ありがとうございました。
いかがでしたか?
#FOODlabへの加入は、下記ページから行なっていただけます。
皆様のご参加、お待ちしております!
関連情報
このオンラインコミュニティは、朝日新聞系webメディア『ツギノジダイ』で紹介されました!
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